北海道 施設園芸や飼料作物に爪痕 台風、地震で二重苦 雪が降る前に…ハウス復旧急ぐ トウモロコシ倒伏で収量減「なすすべない」

強風で吹き飛ばされ、ひっくり返った桑原さんのハウス。中にあった道具などが散乱する(14日、北海道むかわ町で)

 北海道では、5日に接近した台風21号に加え、翌日の北海道地震による被害が生産現場に大きな打撃を与えている。地震でJAの農業施設が損壊した他、台風では全道各地でハウスの損壊や農作物の倒伏が発生。震源地の胆振地方では、JAとまこまい広域やJAむかわの生産者が地震と台風の二重災害に苦しめられている。(川崎勇、望月悠希、石川知世)

 胆振地方では、生産者が台風被害に次いで地震でも影響を受ける例が相次ぐ。JAとまこまい広域管内の苫小牧市美沢地区で乳牛110頭を飼う溝口憲昭さん(48)は、台風で飼料用トウモロコシが倒伏。「2016年の台風でも倒伏したが、これだけの被害は初めて。なすすべがない」。被害は13ヘクタールのうち約8割。ほぼ直角に折れ曲がったものも多い。品質低下や減収などの懸念がある。

 6、7月の日照不足で生育も悪い。溝口さんは「平年の7割収穫できれば良い方だ」と険しい表情を浮かべる。

 水稲や畑作物を13ヘクタールで栽培するむかわ町の桑原猛さん(60)は14日、台風で倒れたビニールハウスの片付けを始めた。強風でハウス全体が飛び上がり、骨組みが裏返った状態でつぶれていた。被覆していた部分は吹きさらしになった。

 桑原さんはハウスを前に言葉を失った。「しばらく何も考えられなかった」と衝撃を語る。ハウスは倉庫や作業場として使っていた。再建のためパイプなどを注文したが、震度6強の地震で自宅周りの整理に追われ、14日になってようやくハウスの片付けを再開した。

 台風に加え、地震の混乱で、パイプはいつ来るか分からない。「雪が降る前には完成させないと、肥料やトラクターを置く場所を確保できない」と不安を募らせる。

 同町でトマト約13アールなどを栽培する高橋志津子さん(63)は、台風でビニールハウスが被害を受けた。5棟のうち1棟でビニールが全て剥がれ、1棟で一部が破れた。

 地震ではトマトが落果。発災直後は選果施設が動かせず、熟し過ぎたトマトは出荷できなくなった。「味はおいしいのにと思うと、涙が出てきた」。注文したビニールが届かず、張り直しはできていない。「収量は半分くらい落ち込んだのではないか。収入も減ってしまう」と訴える。

 台風21号は道内全域に被害をもたらした。空知地方のJAながぬまはハウスの被害を937棟で確認し、うち40棟は全損だった。JAそらち南のハウス被害は約500棟で、うち150棟が倒壊した。後志地方のJA新おたるでは、ミニトマトのハウス約700棟でビニールが剥がれたり、パイプが曲がったりした。道南のJA新はこだては、施設被害の他、長ネギの倒伏やリンゴの落果など約160ヘクタールの農作物が被害を受けた。 
 

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