吉原由香里さん(棋士) 郷土料理で心が豊かに ネット使い名産品を入手

吉原由香里さん

 どもの頃は胃腸が弱く、ものすごく食が細かったんです。好き嫌いが激しかったんですが、果物だけはよく食べました。母親が好きなので、その影響だと思うんです。

 すごく真剣な表情で桃を食べている写真が残っていますし、よくイチゴをつぶして牛乳と砂糖をかけて食べていましたね。ツブツブのついたスプーンでつぶしてたんです。グレープフルーツのときは、先のとがったスプーンを使ってました。

 大学を卒業してプロになってからは、外でごちそうしていただく機会が増えました。そういった場では、出していただいた料理を残しては失礼ですよね。それで必死になって食べたんです。食わず嫌いの部分もあったんでしょう。そのうち自然に食べられるようになりました。

 この仕事をしていますと地方に行くことが多く、47都道府県全て制覇したくらいです。地方ではお魚を出していただくことが多いんです。以前の私は、おすしは嫌いでしたし、カニもいまひとつ喜びが分からなかったんですけど、24、25歳くらいになってなんでも食べられるようになってからは、魚や野菜など地元のおいしいものをいただくのが楽しみになって。

 田に行った時にいただいたきのこ類は素晴らしかったです。向こうではメジャーな種類らしいんですけど、東京で食べたことのない種類のきのこがたくさん出てきました。

 毎年おじゃまする青森でのお気に入りは、「嶽(だけ)きみ」というブランドトウモロコシ。これも東京ではなかなか手に入らないと思います。天ぷらでいただいたら、すごく甘くておいしかった。それと「けの汁」という郷土料理。細かく刻んだ野菜がたくさん入った汁物。こういう料理をいただくと、心の豊かさが全然変わってきますよね。

 北海道からアスパラガスを送ってくださる方がいます。めちゃくちゃ太くて、やっぱり東京ではお目にかかれない立派なものです。大分に行った時にはメカブのつくだ煮をいただき、これがまたおいしかったですね。

 果物好きとして忘れられないのは、宮古島のマンゴー。20年くらい前なのによく覚えています。宮古島出身の友達が結婚したので行った時に、タクシーの運転手さんが畑に連れて行ってくれて。その時が初めてだったんです、マンゴーを食べたのは。世の中にこんなにおいしいものがあるんだと、びっくりしました。それから20年間、毎年、お世話になった方々にマンゴーを送るようにしています。

 近はインターネットを使っていろいろ調べることができて便利です。今の時期にかんきつ類はないかと調べたら、晩かんというのを見つけて注文。気に入って食べています。

 夜中に眠れないと、やってはいけないと思いつつもつい携帯をいじってしまうんです。一時期オロブランコにはまったのも、携帯で調べて注文したのがきっかけでした。

 小学2年生の息子も私に似て果物好き。ミカンの時期には、こちらが油断すると1日に10個も食べてしまうくらいです。成長するにつれ、野菜もいろいろ食べるようになってきました。この夏はオクラが好きになり生のままマヨネーズをかけて食べていますし、モロヘイヤも気に入ったみたいです。

 息子は先日道路で梅を拾って来て、食べたいと言い張りました。それならと、梅ジュースを作ってみました。母が夏に梅ジュースを作ってくれたのを思い出しながら。時間をかけて地道に作ったのに、息子に全部飲まれてしまいました。でも子どもの頃を思い出せて、楽しい気持ちになりましたね。(聞き手・写真 菊地武顕)
 
<プロフィル> よしはら・ゆかり

 1973年、東京都生まれ。6歳の頃から囲碁を始める。95年にプロ試験合格。2007年、女流棋聖に。NHKの囲碁番組出演、漫画『ヒカルの碁』監修や、王唯任、万波佳奈両棋士と教室を開くなど囲碁の普及にも努める。 
 

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