米中間選挙1カ月 「自国第一」交渉 警戒を

 9月25日の国連演説で、トランプ大統領は「われわれはグローバリズムを拒絶し、愛国主義を尊重する」と強調。世界中の首脳が集まる国連の場で、約200年前の孤立的な外交姿勢・モンロー主義を例に挙げた。そして、巨額の貿易赤字相手国である中国を名指しした。

 具体的には、2国間交渉による貿易不均衡の早期是正だ。日米首脳会談でも、同様の要求を安倍晋三首相に迫った。2カ国間協議の舞台を設けることで合意したが、いつ事実上の日米自由貿易協定(FTA)に衣替えするか油断できない。

 11月6日の米中間選挙は、結果次第でトランプ政権の機能不全を招く。同日は各地で州知事選も行い、今後の同国内の政治地図が確定する。主戦場は、435の全議席が改選となる下院の行方だ。下院の直近情勢では、専門家の間で与野党逆転の可能性が高いとの見方が強まってきた。下院で民主党が多数を握れば、「ロシアゲート」疑惑など大統領選に絡む不正を巡るトランプ氏とその一族の弾劾裁判の恐れも出てくる。そうなれば、一挙に政権運営は混迷を深める。

 トランプ氏は、長期的なプランを持たず、2年後の2020年11月の大統領選での再選を最大の政治目標に据える。政治行動は突発的で衝動的だ。早ければ月内ともされる2回目の米朝首脳会談などは典型例だろう。北朝鮮対応で前のめりの韓国、裏で影響力を強める中国など、周辺国の深謀遠慮が渦巻く。トランプ大統領が話題作りで形ばかりの米朝和平ムード、近視眼的な対応を優先すれば、在韓米軍が大幅削減され、その影響は日本の安全保障自体にも及ぶ。

 一方、トランプ氏は強固な支持基盤である自動車、鉄鋼など衰退産業の州や「ラストベルト」と呼ばれる工業地帯の有権者などを意識した対応に終始している。世界経済を揺さぶる米中の貿易紛争は、まさに「戦争」になりかねない危険水域に達する。中国も戦いをもって戦いを止める「以戦止戦」に方針転換した。

 報復合戦は、両国の貿易額で米国の方が中国の3倍以上ある。交渉はトランプ政権が有利だ。大型減税に伴う米国内の好景気も、トランプ氏を強気にさせている。

 紛争激化の背景にあるのは、中国・習近平国家主席肝いりの産業政策「中国製造2025」。単なる貿易紛争ではなく、20年代の世界の経済主導権を巡る2大国の覇権戦争の様相だ。トランプ氏が「中国が中間選挙に干渉している」と言い出し、中国側が反論する新たな火種もある。

 「自国第一」を前面に出す米国の通商政策は要注意だ。

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