北海道地震1カ月 遠い復旧 迫る冬 募る危機感 地盤沈下 手つかず・・・

地下に埋まった導水管が破断した水田。畑嶋さんは来年春の作付けへの影響を懸念する(5日、北海道厚真町で=木村泰之写す)

 最大震度7を観測した北海道地震から6日で1カ月。被災地ではいまだ、復興の見通しが立たない。震源地に近い厚真町では、今年から一部運用を始めた総延長90キロの水路が地震で寸断。既存の水路にも被害が発生し、来年の水稲作付けへの懸念が募る。酪農では、全道的に生乳生産量が回復傾向にあるが、牛のダメージは完全に回復し切っていない。産地は厳しい冬を前に、危機感を強めている。

 「来年の作付けはどうなるのか。新しい水路に期待していたのに。残念でならない」

 同町で水稲34ヘクタールを栽培する畑嶋賢蔵さん(58)は肩を落とす。地震で、水田に埋めてある直径2メートルほどの導水路に沿って、30センチほど地盤が沈下した。一部で管の継ぎ目が破断したとみられ、地震直後に漏水した。畑嶋さんの水田11筆計12ヘクタールに通っており、部分的ではあるが来春の作付けはできなくなるとみる。

 用水路は、国営事業で2001年から整備を始め今年、ようやく3分の1ほどの27キロで通水。良食味米の安定生産に向け、代かき期間を集中させたり、冷害対策に深水管理ができるとして、地域の期待がかかっていた。今年度は事業費ベースで95%が完了する計画だった。

 北海道開発局によると、管の継ぎ目の破断や沈下などの被害は9月28日時点で310カ所、被害額は205億円に上る。「少なくとも来春の利用再開は難しい」(農業設計課)とみる。同局では、昨年まで使っていた用水路を再び使う考えで現在、被害調査を進めている。11月中に来年の用水利用に関する説明会を開く予定だ。
 

用水路が断裂


 既存の用水路の被害も広がっている。厚真町土地改良区によると、農業用水利施設などの被害は、9月26日時点で約300カ所で3億円ほど。用水路の断裂や、頭首工の被害が目立った。土砂崩れで埋もれた農地も、ほとんどが手つかずのままだ。

 JAとまこまい広域によると、管内の農業被害額は29日現在で、28億8000万円。厚真町や安平町を中心に組合員488戸が倉庫や畜舎の被害に遭った。農業施設の被害額が20億円と最も多かった。JAは「農業関係の復旧はまだ始まっていない。雪が降る前に少しでも進めなければ、来春に影響する」と心配する。
 

乳牛回復まだ


 酪農では、生乳生産量が回復傾向だ。ホクレンの9月下旬(21~30日)の受託乳量は、前年同月比1%増の10万3201トンと、被災前の水準に近づきつつある。

 だが、乳牛のダメージは回復しきっていない。今月から今年産牧草のサイレージ給与が本格化する。収穫期の天候不良で刈り遅れたため、品質低下による生乳生産への影響が懸念されている。(川崎勇)

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