日本農村医学会 地域特性生かす医療を

 第67回日本農村医学会が10日から3日間、東京都内で開かれる。今回は全国を「大都市圏・首都圏近郊」「地方都市」「中山間地」に分け、地域医療の在り方を考える。日本では50年ぶりとなる国際農村医学会も共同開催。高齢化の中、地域医療をどう提供するか。医師の偏在解消につながる議論を求めたい。

 メインテーマは「高齢化・生産人口減少社会の中での地域医療in the world 日本では首都圏、地方都市、中山間地のそれぞれにおいて」。

 日本農村医学会の中核と位置付けるシンポジウムも、①大都市圏・首都圏近郊②地方中核都市③中山間地――の病院に分けて問題点を掘り下げ、それぞれ3時間かけて展望や解決策を探る。例えば、大都市圏は医療需要の急増や医療過密地区での病院の競合、地方中核都市は医師と看護師の確保、中山間地は診療圏を超えたネットワークづくりの必要性といった課題を挙げている。

 過去3回のテーマは「地域活性化に向けた農村医学の将来展望」(66回)、「未来につなげよう地域医療」(65回)、「少子高齢社会と地域医療」(64回)。比べると、今回は踏み込んだテーマ設定になっている。学会として、地域ごとの病院で将来像を描こうという方向性を打ち出したことは大事な視点で、意義深い。

 メインテーマの設定で視野に入れたのは、将来予測される二つの社会状況。団塊の世代が75歳以上になることで社会保障費の急増が懸念される「2025年問題」と、人口減少と高齢者人口のピークで行政の運営が一番厳しくなるといわれる「2040年問題」だ。各病院が現状を正確に把握し、将来予測の上でビジョンを作ることが重要とした。

 日本農村医学会と国際農村医学会の共同開催は初。同時通訳を配し、双方の講演や演題に自由に参加できる。

 第67回日本農村医学会の羽田明学会長(千葉大学大学院医学研究院公衆衛生学教授)は共同開催について「高齢化の中での地域医療の在り方は、高齢化世界一のわが国だけでなく、世界中の国々に共通する課題。今回は極めて貴重な議論の機会になると確信している」と期待する。

 医療現場の取り組みと同時に、国の施策も地域特性を踏まえたものでなければならない。JA厚生連など5団体でつくる「地域医療を守る病院協議会」は9月、厚生労働省に地方の医療体制維持に向けた施策提言書を提出。地域による医師の偏り解消や、総合診療医の養成などを求めた。国にはこれらの施策を強く望みたい。

 地域医療を支え、JA組合員や地域住民が安心して住み続けるために厚生連病院の役割は大きい。学会では、それぞれの病院が地域に根差して行ってきた医療・保健・福祉の実践を基に活発な議論を展開すべきだ。 
 

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