西日本豪雨から3カ月 前を向く産地 基盤整備むしろチャンス 作業しやすく就農呼び込み

基盤整備前後の地図を並べ話し合う住民ら(広島県呉市で)

崩れた園地でミカンを収穫する御手洗さん(愛媛県宇和島市で)

 西日本豪雨の被災から6日で3カ月がたった。産地では甚大な被害を受け止めながらも、復興に向けた基盤整備に動きだしている。新たな担い手が農業のしやすい農地を引き継げる環境を整えることで、地域農業の将来をつなぐ。「ピンチをチャンスに」。思いを共有し、前を向く。(丸草慶人、柳沼志帆)
 

広島県呉市


 広島県呉市安浦町の中畑・下垣内地区。谷あいに7ヘクタールほどある水田などのうち、半分が土砂などに埋まった。復興を目指し、住民はほぼ毎週集まる。県の担当者も招き、地区の将来を話し合う。

 「原形復旧の場合は水路はどうなるのか」「農道は広げられるのか」。被災していない農地も含めて整備し、一筆を大きく耕しやすい農地に変える。地権者約50人のほとんどが基盤整備に参加する見込みだが、水路や農道の設置場所など、根気強く話し合う。中畑自治会長の小林一司さん(67)は「農業の中心は60、70代。生産性が良くなれば、新しい人が来るかもしれない」と期待する。

 同町市原地区も、土砂で農地7ヘクタールや生活基盤が被災。復興に向けて、夜遅くまでの会議を重ねる。地権者は約20人。高齢者が多く、後継者は少ない。土地所有者の意向を聞き、耕作ができない高齢者からは土地を買い取る方向だ。農事組合法人の設立も検討中。市原自治会長の中村正美さん(69)は「担い手を養成するためにも、使い勝手の良い田んぼをつくる」と呼び掛ける。

 県は両地区を「復旧・復興のモデル」と位置付け、できる限りの支援を行っていく方針だ。
 

愛媛県宇和島市


 愛媛県宇和島市吉田町では、かんきつ園地の復興を目指す。全体の2割に当たる70ヘクタールが流亡したJAえひめ南玉津共選。有数のミカン産地としてブランドを確立してきた。豪雨により、谷に沿ってかぎ爪でひっかいたように土砂が崩れ、過去にない被害を受けた。

 「他のことができない土地だから、姿が変わっても園地を残したい」。共選長の山本計夫さん(66)は災害に強く、管理がしやすくなる園地再編に未来を託す。

 県は復旧方法を三つ提示。地域では、平たんに造成して作業負担を少なくし、軽トラックで入れる園内道を整備する方法に注目する。複数の園地がまたがる山の峰に沿って被害が出たため、原形復旧は難しいからだ。

 40アールが被害を受けた深浦地区の御手洗隆徳さん(36)は「人手不足はさらに進む。作業効率が上がる平たん地は憧れだ」と期待する。坂本辰幸さん(58)は「収穫できない悔しさを痛感した。産地を徹底的につくり変えるしかない」と意気込む。

 玉津共選では法人設立を検討。その法人を中心に、被災農家が他園地で収穫作業を手伝うなどのアルバイトで、収入を得る仕組み作りを進める。法人が農地を借り受け、苗を育て、未収益期間を短くする取り組みも構想する。育てた苗は、整備後の園地に植える。

 山本共選長は「基盤整備がうまく進めば、作業効率も上がり、日本一のミカンが作れる。ピンチをチャンスに変えたい」と強調する。 

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