[あんぐる] ミカンは諦めない。 豪雨から3カ月、奮闘する産地 愛媛県宇和島市

温州ミカンを収穫する清家光平さん(左)と父の平助さん。背後に見える茶色い山肌は西日本豪雨で崩落した場所だ(愛媛県宇和島市で)

講習会でモノレールの復旧方法を学ぶ玉津地区の若手農家(右)。業者の手が足りずに農家が直す必要が出ている(愛媛県宇和島市で)

 西日本豪雨の発生から3カ月。「ミカン山」が崩れるなど甚大な被害が発生した四国地方を中心とする果樹産地では、今も農家やJAが懸命に復興を進めている。愛媛県宇和島市吉田町の玉津地区では、若手農家が農道復旧に尽力するなど、産地一丸となって温州ミカンの出荷にこぎ着けた。

 「初めは絶望した。でも仲間と復旧に明け暮れるうちにミカンが黄色く色付き、それを見てやっと前向きになれた」

 温州ミカンやポンカンの園地30アールが崩れた若手農家、清家光平さん(34)は、被災した7月7日以降を振り返る。

 「仲間」とは地区の若手農家34人のグループ「玉津後継者」だ。被災直後から重機で土砂をかき分け、寸断した農道の復旧に打ち込んだ。

 同地区は農家180戸、園地約500ヘクタールの大産地。昨年は約6200トンのかんきつを収穫した。だが、豪雨で園地の2割以上が被災。運搬用のモノレール、スプリンクラーなども多くが使えなくなった。

 「受け継いだ産地を絶やすまい」。奮い立った若手農家は1カ月で地域に100キロ以上ある農道の9割以上を通行可能にし、農作業を支えた。

 一方、被害で手入れが行き届かなかった温州ミカンには、果皮の傷などの課題が生じた。同地区の今年の収量は昨年の6割と見込まれる中、「被災農家の手取り確保を」と考えたJAえひめ南玉津共選は、規格外品の出荷方法を検討。『諦めない強さは、いつだってみかんが教えてくれた。』とスローガンを記した段ボール箱に詰めて販売すると決めた。

 例年より10日ほど遅い極早生種の初荷が9月29日、東京・大田市場などへ出発。仲卸から食味を「例年より良い」とする声が出ている。

 自らの園地も被災した共選長の山本計夫さん(66)は「若手がずっとミカンを作りたいと思える産地にしたい。数年後、笑って振り返るためには頑張るしかない」と力を込めた。(木村泰之)

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