豪雨乗り越え 稲収穫 作業請け負い「街に灯を」 委託料 市が全額負担 岡山県総社市

渋江さん(右)の力を借り、無事に収穫を迎えた下原集落の農家(岡山県総社市で)

 西日本豪雨による浸水被害で、多くの農機が故障した岡山県総社市の下原集落。稲刈りシーズンを迎え、営農を再開した被災農家が、農機などを準備できなかった農家25戸の支援に動きだした。災禍を乗り越えて実った米が無事に収穫でき、農家は営農継続、集落再建に意欲を見せる。

 50人以上の犠牲者が出た倉敷市真備町と接する総社市下原集落は、浸水に加え、近隣のアルミ工場が爆発する二重被害に遭った。被災から3カ月たった今も、爆風で倒壊、破損した屋根をシートで覆う住宅が目立つ。

 農地への被害は少なかったが、田植え機やトラクターなど農機が水没し、米の収穫が危ぶまれていた。事態を重く見た市は、収穫委託料金の全額負担を決定。約14ヘクタールで米を作る渋江仙太郎さん(80)、敬史さん(51)親子に、20ヘクタール分の作業を依頼した。

 渋江さん親子も被災し、大小含め50台以上の農機が故障した。それでも稲の収穫に間に合うよう100馬力のコンバインを購入。市の依頼にも「刈りたくても刈れない人が目の前にいれば、助けるのが当たり前」と仙太郎さん。受託料を下げて請け負う。

 9月末から始まった稲刈りは、作業を頼んだ農家も手伝う。機械で刈り取れない隅の手刈りや、田に入った木くずやごみを取り除くなどして、収穫の喜びを共有する。下原地区自治会長の小西安彦さん(71)は、「渋江さんには、頭が下がる」と市を含め周囲の協力に感謝する。

 下原集落では、被災した多くの住民が仮設住宅などに移った。小西さんによると、100戸以上ある住宅のうち、住んでいるのは3分の1だという。

 集落存続の危機ともいえる状況だが、収穫支援は農家の営農意欲も引き出した。小西昌示さん(65)は、自宅も倉庫も失い離農を考えたが、「周囲の助けを励みに、もう少し頑張る決心がついた」と話す。営農組合をつくる話も出ており、リーダー格の川田嘉さん(78)は「皆に帰ってきてもらわないと、街に灯がともらない」と、農業を核に集落再興を目指す。 

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