ふるさと納税見直し 返礼競争待った 持続可能な運用を 地域応援こそ本筋

ふるさと納税の返礼品の数々。右上は「寄付活用の説明責任が大事」と話す茨城県境町の橋本町長

 高価な返礼品が問題となっているふるさと納税制度の抜本的な見直しに踏み切る総務省の方針を受け、自治体が対応を迫られている。同省は通知に従わず、寄付額の3割を超える物や地場産以外の物を返礼品とする自治体を制度の対象外とする考え。寄付を財源にしてきた一部の自治体から戸惑いの声が上がる一方、農家や農山村の自治体からは「持続可能な制度にするべきだ」「金額を集めるより寄付者と交流していきたい」などと、同省の見直しを支持する意見が相次ぐ。
 

農家の支持相次ぐ 


 年間75億円の寄付額を集めてきた宮崎県都城市。宮崎牛や焼酎など550品目の返礼品を用意するなど人気が高く、2017年度の寄付額は全国3位になった。農家に利益は大きくPR効果があったが、同市は今後、同省の方針に沿った対応を進める考えだ。同市の担当者は「見直しで安定的に運用され、平等な制度になる方がありがたい」と認識する。

 同市の獣医師でJA都城肥育牛部会員の綿屋福一さん(63)も「(返礼品として)過剰に買い取ってもらう“甘い汁”が続くのは産地にとっても良くない。寄付額を多く集めるより、寄付者に地域に来てもらうようにしていくべきだ」と総務省の見直しを支持する。

 北海道上士幌町は、寄付金を子育て対策、地域活性化に活用。移住者が増え、寄付者と交流も深める。17年6月から返礼品は寄付額の3割以内にするように見直した同町は「返礼品の豪華さではなく、地域を知ってもらい、使い道を応援してもらう地域を目指す」と言う。返礼品に野菜を供給していた同町の農家、加藤照夫さん(53)も「返礼品が過剰の地域が規制されるのはやむを得ない。これからはいかに地域をアピールし寄付してもらうか、工夫していきたい」と意欲的だ。

 寄付を財政健全化と町づくりに生かし、昨年14年ぶりに人口増加を実現した茨城県境町。米、牛肉、豚肉など地元農産物を中心に返礼品をそろえ、17年には関東で最も多い22億円を集めた。用途や効果を示すパンフレット配布など、寄付者や住民への“説明責任”を心掛ける。「用途をしっかり明確にして寄付を集め、何にどう役立ったかを説明する責任を果たす」と橋本正裕町長は話す。

 ふるさと納税で18億円を超す大幅な税収減となっている東京都杉並区。同区の担当者は「今回の見直しは都市部の自治体などからの問題提起と社会的な批判を受けてのもの」と前向きに捉える。全国町村会も「地場産がない地域はない。見直しは特産品の物語性をアピールする良いチャンスにもなる」とみる。

 一方、総務省の見直しには各地から要望も上がる。福岡県上毛町の担当者も「一律に線引きされると、特産品が多い自治体に太刀打ちできない」(税務課)とし、地域性を考慮し公平となるよう求める考えだ。
 

一律線引き反対の声も


 全国で最も多い寄付額を集めていた大阪府泉佐野市は「一方的に条件を決め付けている」と総務省に反発し、広く議論して決めることを求める。返礼品に伝統野菜を供給していた同市の農家、三浦淳さん(31)は「返礼品の金額が減れば量を少なく出せばいいだけ。台風でハウスは全壊したが、寄付者にこれからも泉佐野のおいしい伝統野菜を食べてほしい」と制度継続を願う。

<メモ> ふるさと納税制度

 08年に創設。出身地や応援したい自治体に寄付をすると、寄付額から自己負担の2000円を除いた額が住民税などから引かれる。寄付を受けた自治体は、返礼品として特産品などを贈る。17年度に全国の自治体が受けた寄付額は3653億円。同省によると9月1日時点で高額な返礼品を提供し続ける自治体は246、地場産以外を提供していた自治体は190あった。10月に新閣僚となった石田真敏総務相も過剰な返礼品にストップをかけるよう、制度見直しを引き続き検討する方針だ。

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