低コストモデル普及 農家手取り最大化へ「見える化活動」 新たな栽培法や省力農機導入… 所得増大手応え 全農

汎用性播種機の点検をするファーム坊ノ森の得田さん(石川県白山市で)

 JA全農は、全国55のモデルJAと行ってきた「農家手取りの最大化」に向けた取り組み成果の水平展開を進めている。物財費削減や省力化、生産性向上の方策を総動員し、トータル(全体)での生産コスト削減を目指す。モデル経営体で2016年度から3年間かけて実証。18年度は、他のJAや農家にも周知・提案する「見える化活動」で全国的に広げる。

 全農は農家所得を増やすには資材の価格引き下げだけでなく、省力化による労働費低減、生産性を向上させる技術導入などと併せ、全体でコストを下げる必要があるとの考え。16年度から3カ年計画で、41都道府県の55JA・83経営体をモデルに効果を実証してきた。

 水稲を中心に農薬の担い手直送規格や肥料の満車直送、直播(ちょくは)、多収性品種の導入といった約50のメニューを提案。モデルJAや経営体がそれぞれの課題に応じて選び、組み合わせて使う形で試してもらった。

 取り組みの総括と位置付ける18年度は、「見える化活動」で他JAや農家に導入を促す。組合員座談会や生産部会の総会などの他、年度内に全モデルJAを対象にした成果発表会を開催。19年度以降も全国展開を目指す。
 

先行の石川・JA松任


 モデルJAの一つ、石川県のJA松任は、全農いしかわやJA石川県中央会などでつくるJAグループ石川営農戦略室と連携し、五つのモデル経営体での実証を進める。3年間で用意した16の実践メニューのうち、大豆の狭畦(きょうけい)無培土栽培や、高速の汎用(はんよう)性播種機が省力化につながり、水稲、麦、大豆の2年3作体系の確立や複合経営化を目指すJA管内にとって、特に有効と分かってきた。

 「培土の時間が空いた分、新規品目のネギや畦畔(けいはん)の除草など、別の作業ができる」

 白山市で水稲や大麦、大豆など40ヘクタールを経営するファーム坊ノ森代表の得田恵裕さん(57)は、大豆の狭畦無培土栽培に手応えを得る。モデル経営体として、16年産から導入。汎用性播種機と組み合わせ、10アール当たり作業時間を従来の播種機より6割削減できたという。

 JAと同ファームは毎年見直しながら、10前後のメニューを実践。水位を自動で測る水田センサーや、収穫と同時に収量を測れるコンバインを使い、水管理の米の収量への影響分析なども行う。メニューごとの物財費の削減や省力化、増収の効果や、全体の生産費、農業所得を確認。「実を結ぶもの、結ばないものが分かってきた」(得田さん)と、トータルでの所得増大を目指している。

 JAはモデル経営体での成果を毎年、JAの稲作経営部会の総会などで紹介する。19年度以降も実証を続け、「精度を高めて農家にノウハウを提供し、導入を促す」(東方与雄営農部長)。県内の別の4JAにもJAグループ石川営農戦略室を通じて普及していく。 

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