[メガFTA] SG、輸入枠の水準 再協議規定焦点に 牛肉、乳製品なおざり

 米国を除く11カ国の環太平洋連携協定(TPP11)の12月30日の発効が確定し、「米国の復帰が見込めない場合」を条件として盛り込まれている再協議規定が焦点に浮上してきた。牛肉のセーフガード(緊急輸入制限措置=SG)の発動基準や乳製品の低関税輸入枠は、米国を含む当初の水準を維持。このまま発効すればセーフガードが機能しないことに加え、メリットを享受した加盟国が見直しへの再協議に応じる可能性も低くなる。かつてない大規模な自由貿易協定(FTA)に入り、生産現場では、安全網が機能するよう見直しを求める声が相次いでいる。
 

「見直しは当然」


 TPPでは参加国全体を対象にした「TPP枠」を設けた。牛肉のセーフガード発動基準とバター・脱脂粉乳で最大7万トン(生乳換算)の低関税輸入枠がこれに当たる。

 TPP枠は、米国の復帰が見込まれない場合、日本などの求めに応じて、再協議する趣旨の規定が協定に盛り込まれている。政府は国会などで見直しについて「関係国の理解を得ている」と答弁してきた。

 日米両国が物品貿易協定(TAG)交渉入りに合意し、来年1月にも始まる見込み。米国が日本との2国間交渉に向かうことで、米国のTPP復帰は見込めず、再協議規定が現実味を帯びている。だが政府は見直しの時期を明確にしていない。

 TPP11が発効されれば、乳製品ではニュージーランド、牛肉ではオーストラリアが、米国を含む当初の枠内で対日輸出を増やす見通し。「一度メリットを受けた国が、あえて縮小するような協議に応じるのか」(野党幹部)と発効後の再協議は難しいとの見方が広がる。

 輸入急増に備えるセーフガードは国内農業を守る重要な対策だ。だが、牛肉の発動基準数量は米国からの輸入を含むことを前提に設定された。米国が抜けたため、このままでは基準数量が実態と合わず、発動されない可能性が高い。

 生産現場では、政府の対応に憤りの声が上がる。宮崎県高鍋町で和牛と交雑種(F1)を計1200頭肥育する藤原辰男さん(66)は、牛肉のセーフガードについて「米国が抜けたのだから、発動基準数量を減らすのが筋だ」と強調。来年1月に日本で開くTPP委員会で、加盟国拡大に向けたルールを協議することに対し「まずは国内対策が十分か議論するべきだ」と訴える。

 北海道標津町で乳牛115頭を飼う安達永補さん(39)は「米国が戻らないなら、TPPを主導してきた日本が協定の見直しのイニシアチブを取るべきだ」と訴える。輸入牛肉急増など、TPP11発効の影響を懸念する。
 

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