多難な米国政権 対日圧力に厳重警戒を

 トランプ政権にとって大きな打撃となるのは必至だ。米中間選挙で、上院と下院で多数派の政党が違う「ねじれ状態」となった。2年後の大統領選での再選に向け、対外的な貿易交渉で保護主義を強める可能性がある。警戒を緩めるわけにはいかない。

 中間選挙は、議会の上下両院の議員選挙で、トランプ大統領の就任から2年の政権運営に対する信任を問うもので、保護主義的な政策に対する審判の意味もあった。下院での与党共和党の敗北は、有権者が政権に厳しい判断を示したことになる。トランプ大統領は、有権者の意向に配慮した政権運営に転換すべきだ。

 米大統領の権限は議会に制限される部分が大きい。通常、法案は上院と下院でそれぞれ審議され、内容が一本化される。どの法案を審議するかは多数派政党が決定することが多く、政権党が審議したい法案が審議されない可能性もある。

 民主党が下院を制したことで、政権は予算や法案で議会との調整にエネルギーを注ぐことになる。特に、民主党が反対する医療保険制度の見直しや法人税を軽減する税制改正は、上下両院を与党共和党が多数を占めたこれまでのように進めることは難しくなる。ロシアゲート問題では苦しい議会運営も予想される。

 一方で、苦戦が伝えられていた共和党が予想を超える接戦を演じたことも見逃せない。トランプ政権が取り組む政策への理解が国民に広がっていることがうかがえる。確かに、対米黒字国への報復関税など政権が打ち出した保護主義的な政策で米経済は堅調に推移し、雇用も増えた。雇用や経済面での評価は高いといえる。

 「ねじれ議会」で審議が滞るようになれば、2019年以降の景気対策に影響が及び、マーケットの不安定性は高まる恐れがある。そうした事態を民主党が選択するとは考えにくい。

 むしろトランプ政権は、2年後の大統領選に向けて自らの成果を示すため、これまで以上に保護主義を強めることが予想される。自動車などの労働組合に支えられ民主党は、もともと自由貿易主義には消極的だ。米国全体が保護主義を強め、中国との「貿易戦争」にも強気の姿勢を続ける事態も考えられよう。

 年明けからの日米物品貿易協定(TAG)交渉がトランプ政権の貿易政策を占う試金石となる。どのような姿勢で臨んでくるのか。農畜産物について日本政府は「過去の経済連携協定で約束した市場アクセス(参入)の譲歩内容が最大限」(茂木敏充経済再生相)としているが、自動車関税との絡みで予断を許さない状況だ。

 これ以上の市場開放は許せるものではない。保護主義を強めるトランプ政権を相手に、どのようにして日本の国益を守り抜くのか。安倍政権の力量も問われる。
 

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