台風21号禍の大阪 復旧資金CF(クラウドファンディング)で

CFのページを確認する杉本代表。「台風なんかに負けたくない」と訴える

杉本代表のハウス。廃ビニールが周りに積み上がる(大阪府富田林市で)

 台風21号の暴風雨でビニールハウスの損壊が相次ぐなど甚大な被害を受けた大阪府で、農家らがインターネット上で資金を募るクラウドファンディング(CF)を利用して、再起を目指す動きが出てきた。ハウスを施工する職人の不足や資金難から再建が思うように進まない中、農産物などを返礼品にし、ハウスの撤去やビニールの張り替えに必要な資金の調達を目指す。ハウスの撤去などにかかる人手を集める仕組みを作ろうと、CFを活用して資金を集める府内の民間企業も出てきた。(藤田一樹)
 

ハウス再建少しでも 富田林市若手農家


 富田林市の若手農家24人でつくるグループ「富田林市の農業を創造する会」は、10月からCFを始めた。

 発案したのは同会メンバーで、ナスやキュウリなどを栽培するファームスギモト代表の杉本一義さん(42)。台風21号で、所有するハウス60アールの半分ほどの9棟が倒壊し、残りもビニールが剥がれた。施工業者に問い合わせたものの、職人などの不足で来年夏ごろまで建て替えができない見込みだという。「ナスなどが栽培できないため、大幅な減収になる」と頭を抱えた。「国の支援では修繕費用の全額は賄えない。残りの費用はどうすれば」と焦りが募った。ハウスが損壊した同会メンバーからも先行きを心配する声が上がっていた。

 こうした状況を打破しようと府議会議員や行政関係者らに相談する中、CFの存在を知った。「何もしないでいるわけにはいかない」。同会メンバーに呼び掛け、資金調達に乗り出した。

 開設には約1カ月かかった。掲載する写真の収集や被害を訴える文章の作成、返礼品の調整など慣れない作業に苦戦。10月20日にようやく開設にこぎ着けた。募集期限は12月19日。同市特産のナスやトマトなどを返礼品に、同会メンバーの復旧費用の一部に充てる800万円の資金を集めることが目標。手数料として集まった額の2割はCFの運営会社に支払うため、少しでも多くの資金を集めたい考えだ。

 ウェブサイトには、被害を受けたハウスの写真と併せ「台風なんかに負けたくない」「若手農家に再建のチャンスを」と掲載し、思いを訴えた。

 同市では、10ヘクタールの農業用ハウスが損壊するなど深刻な被害が出た。ハウスの被害金額は1億8000万円に上る。台風から2カ月たった今もハウスの建て替えはほとんど進んでいない。

 杉本代表は「資金を集め、少しでも復旧を進めたい」と話す。
 

人手募るアプリ開発 大阪市民間企業


 農産物の宅配などを手掛ける「フードストーリージャパン」(大阪市)は、10月にCFを始めた。12月までに300万円の確保が目標だ。

 資金を基に目指すのが、ハウスの修繕などを手伝う人材と農家を結び付けるアプリの開発。「大阪は小規模な家族経営の農家が多く人手が足りていない。被災農家はハウスの修繕作業などに時間を取られ、満足に農作業もできていない」と同社の山口沙弥佳代表。消費者を農家の“お助け隊”として派遣できるようにし、人手不足の解消につなげたい考えだ。

 返礼品として、取引する府内の農家が栽培した米や農業体験などを用意した。山口代表は「取引する農家の惨状を見て、放ってはおけなかった。少しでも農家の助けになりたい」と力を込めた。

 CFを運営する「キャンプファイヤー」の関係者は「CFは、SNS(インターネット交流サイト)や口コミで情報が広がりやすい。復旧資金を集めるのに有効だ」と指摘する。
 

<メモ> 台風21号


 9月4日正午ごろ徳島県南部に上陸し、神戸市に再上陸、速い速度で近畿地方を縦断して日本海を北上した。25年ぶりに「非常に強い勢力」で上陸。西日本から北日本で非常に強い風雨となり、全国100地点で最大瞬間風速が観測史上1位を更新した。特に四国や近畿では、猛烈な風雨となり、最大瞬間風速は関空島で58・1メートル、和歌山市で57・4メートルを観測。記録的な高潮による浸水被害も発生した。関西国際空港が強風で漂流したタンカーの衝突や高潮被害により閉鎖した他、各地で断水や停電などが発生し、ライフラインに甚大な被害をもたらした。
 

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