盗っ人許せぬ 青森 リンゴ被害多発 天災で品薄―果実、野菜がターゲット

雨が降り続く中で「ふじ」の収穫に励むJAつがる弘前の組合員(12日、青森県弘前市で)

 リンゴの盗難が続出している青森県では、緊張感に包まれる中、農家が収穫や選果作業を進めている。専門家によると、カーナビや地図アプリなどであぜ道や農道を簡単に把握できるようになり、売り先も多様化していることから、農作物を狙った犯罪は今後も増えるとみられる。特に自然災害が相次いだ今年は、他県でも農作物の盗難被害が多発。品薄となっている果実や野菜がターゲットになっているとの見方もある。

 青森県弘前市では今秋から各地で盗難事件が発生している。「1年間育ててきた中で、盗難は許せない。収穫は終わりに近づいているが、来年以降も心配だ」。JAつがる弘前指導課の盛孝之係長が農家の思いを代弁する。7ヘクタールを栽培する工藤昌弘さん(50)は同じ地区で大量のリンゴが盗まれる事件が発生していることに「なぜそんなことをするんだろうという怒り、残念な気持ちが込み上げる」と語気を強める。

 産地では、「園地に収穫したリンゴを放置しない」「早めに収穫する」といった注意点を防災無線などで呼び掛けるが、盗難に歯止めがかからない状況だ。市は11月、JAと協力し、市内の複数の園地に監視カメラを設置し、地域ぐるみで防犯態勢の強化を図る。

 青森県だけではない。自然災害が相次いだ今年は農作物を狙った犯行が各地で起きている。北海道のJA新すながわ管内では8月、収穫間際のトマトの盗難が相次いだ。同月上旬には砂川市のビニールハウスで100キロのミニトマトが盗まれ、同市の別の生産者のハウスでも50キロの被害があった。その後も大玉トマト40キロが盗まれている。関東などでも冬野菜を盗まれる被害が発生している。
 

一件の金額 増加傾向


 警察庁によると、2017年の農作物の窃盗の認知件数は2694件、検挙件数は1380件。農作物は盗難されたかは見た目で分からず、犯人を突き止めるのが難しいのが実態だ。窃盗の認知件数は5年前に比べて563件減っているものの「農作物の盗難は、一度の被害金額が増え、被害規模が拡大している」(防犯専門家)。同業者による犯行も少なくないという。
 

販売ルート多様化品種、場所選ばず 防犯機器導入を


 防犯アナリストで日本防犯学校の梅本正行学長の話 農作物を狙った犯罪が深刻だ。一度に何十万円という被害に遭うケースがあり、廃業する農家もいる。ここ数年、品種や場所を選ばない傾向があり、全国どこの農家も被害に遭うと考えた方がいい。特に自然災害の後は品薄高になるので、農作物の盗難が増える傾向にある。

 農作物の犯罪があれば「プロの犯罪」といわれがちだが、プロというより集団による犯罪とみた方がいい。地域に精通していなくても、カーナビがあれば山奥の農道でもあぜ道でも把握できる。犯罪が分業化されている今、犯人が分かりにくく、盗んだ農作物や農機を売るルートも場所もいくらでもあり、農家は狙われている。

 パトロールだけでは限界があり、人が侵入したらすぐに転送されるカメラやセキュリティー設備などの防犯機器の導入が欠かせない。農家個人の投資は難しいので、JAが防犯機械をレンタルするなどが有効だ。
 

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