二宮金次郎、大日本報徳社、茶草場農法 「チャバコ」で地域学ぼう 観光PR作戦始動 静岡県掛川市
2018年11月14日

5種類の「掛川観光記念チャバコ」と「金のチャバコ」を持つ森川さん(静岡県掛川市で)
茶どころ掛川を満喫して、「金のchabacco(チャバコ)」をゲットしよう──。掛川市で、粉末茶のスティックを、たばこのような箱に収めた商品・チャバコを使ったPR作戦が始動した。掛川茶100%の地元限定版5種類を用意。パッケージに二宮金次郎像や大日本報徳社など同市に縁のある人物や名所をあしらって、市内に専用の自動販売機を設けて販売する。五つ全てを集めると非売品の「金のチャバコ」をもらえるなど、遊び心満載の仕掛けで地元の魅力をアピールする。
仕掛け人は、同市で食育イベントや茶関連の商品企画などを行う会社「ショータイム」代表取締役の森川翔太さん(34)。「世の中を、茶化(ちゃか)そう。」をコンセプトに、チャバコを開発した。チャバコは縦10センチ、横5・5センチの箱に、掛川産茶葉を100%使ったスティック粉末茶が8本入っている。
市内5カ所に設けた自動販売機に、限定パッケージの新商品「掛川観光記念チャバコ」を置いた。パッケージには、二宮金次郎像、大日本報徳社、掛川城、地場産農産物、イルミネーションの5種類のデザインがある。全てを集め、同社内にある“ちゃまり場”に持参すると、「金のチャバコ」を無料で手に入れられる。
ちゃまり場には、地元茶農家や作業風景のパネルが展示され、世界農業遺産である「静岡の茶草場農法」実践地域の一つ、掛川市東山地区の茶業を感じることができる。地元の小学生らが宿題に励む場所としても活用されている。
自動販売機は、不要になった、たばこの自動販売機を再利用して作った。これまで、出張する形で県内外のイベントや物産展などに出していた3台に加え、5台を新たに準備。10月上旬に、JR掛川駅構内「これっしか処(どころ)」、「つま恋リゾート彩の郷」、JA掛川市「お茶処いっぷく」などに設置した。
森川さんは「掛川市東山地区を訪れてもらい、一杯のお茶のために農家がどのような努力をしているのかを感じてもらいたい。皆さんにお茶を飲んでもらうことが、茶農家の応援や、茶畑のある風景の維持につながることも伝えていきたい」と語る。
ちゃまり場での「金のチャバコ」への引き換えは、午前11時から午後6時30分まで(火・水曜日休み)。チャバコには観光記念品の5種類の他に定番品として、茶草場深蒸し茶と茶草場ほうじ茶のスタンダードシリーズ、有機煎茶と有機玄米茶のオーガニックシリーズ、茶草場「べにふうき」とプレミアム有機抹茶の特許製法シリーズがある。1箱500円で、JA掛川市の緑茶加工場などで作られている。
スティック粉末茶入り 5種類集め「金色」
仕掛け人は、同市で食育イベントや茶関連の商品企画などを行う会社「ショータイム」代表取締役の森川翔太さん(34)。「世の中を、茶化(ちゃか)そう。」をコンセプトに、チャバコを開発した。チャバコは縦10センチ、横5・5センチの箱に、掛川産茶葉を100%使ったスティック粉末茶が8本入っている。
市内5カ所に設けた自動販売機に、限定パッケージの新商品「掛川観光記念チャバコ」を置いた。パッケージには、二宮金次郎像、大日本報徳社、掛川城、地場産農産物、イルミネーションの5種類のデザインがある。全てを集め、同社内にある“ちゃまり場”に持参すると、「金のチャバコ」を無料で手に入れられる。
ちゃまり場には、地元茶農家や作業風景のパネルが展示され、世界農業遺産である「静岡の茶草場農法」実践地域の一つ、掛川市東山地区の茶業を感じることができる。地元の小学生らが宿題に励む場所としても活用されている。
自動販売機は、不要になった、たばこの自動販売機を再利用して作った。これまで、出張する形で県内外のイベントや物産展などに出していた3台に加え、5台を新たに準備。10月上旬に、JR掛川駅構内「これっしか処(どころ)」、「つま恋リゾート彩の郷」、JA掛川市「お茶処いっぷく」などに設置した。
森川さんは「掛川市東山地区を訪れてもらい、一杯のお茶のために農家がどのような努力をしているのかを感じてもらいたい。皆さんにお茶を飲んでもらうことが、茶農家の応援や、茶畑のある風景の維持につながることも伝えていきたい」と語る。
ちゃまり場での「金のチャバコ」への引き換えは、午前11時から午後6時30分まで(火・水曜日休み)。チャバコには観光記念品の5種類の他に定番品として、茶草場深蒸し茶と茶草場ほうじ茶のスタンダードシリーズ、有機煎茶と有機玄米茶のオーガニックシリーズ、茶草場「べにふうき」とプレミアム有機抹茶の特許製法シリーズがある。1箱500円で、JA掛川市の緑茶加工場などで作られている。
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[あんぐる] すき振るえ雨よ降れ 砂かけ祭(奈良県河合町)
奈良県河合町の廣瀬神社で毎年2月11日、農家役の「田人(たひと)」や参拝者が境内の砂を掛け合う、「砂かけ祭」が開かれる。砂は田畑を潤す水の象徴で、激しく飛び交うほど十分に雨が降り豊作になると伝わる。
祭りの当日、同神社の境内に、竹としめ縄で四方を仕切って水田を模した一角が現れる。広さ約60平方メートルの砂地で、砂の掛け合いに備え、世話役の農家がトラクターで軟らかく耕した。
祭りは米作りの所作を一通り行う「殿上の儀」から始まり、その後、境内に頭巾をかぶった白装束の田人が登場。砂の水田を耕しながら一周した後、手にしたすきで集まった人々に勢いよく砂を浴びせ始めた。
参拝者も田人に砂を掛け返すのが、この祭りの特徴だ。ゴーグルや雨がっぱを身に着け、手ですくい取った砂をぶつけて“応戦”。砂の応酬は休憩を挟んで1時間ほど続き、境内に人々の歓声や悲鳴が響いた。
同県橿原市から友人と訪れた吉田緑さん(60)は「見物客に砂を掛ける祭りなんて聞いたことない。逃げ回ったが砂だらけになった」と笑った。
廣瀬神社は紀元前89年創建と伝わり、日本書紀にも名が残る。675年には雨乞いや豊作祈願の祭りを行っていたとする記録もある。
宮司の樋口俊夫さん(71)は「この辺りは昔からは雨が少ない。水を求める農家の思いが祭りを生んだのだろう」と話す。
祭りの終盤には、地元産のもち米で作り、農家らが「田」の文字を押印した餅と、厄よけになる松葉をわらで巻いた松苗をやぐらからまき、五穀豊穣(ほうじょう)を願った。
世話役の一人で、稲作農家の山崎清兆さん(80)は「1000年以上受け継いだ祭りを次の世代に伝えるのが私たちの務め。砂に勢いがあったので、今年も豊作が期待できそうだ」と話した。(富永健太郎)
2019年02月17日

キャベツ低迷 2割安 日農平均 降雨で入荷増続く
キャベツ相場が低迷している。2月上旬の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は過去5年平均(平年)を2割下回る1キロ81円。暖冬傾向に加え、適度な雨で生育が進み、潤沢な入荷が続く。業務筋の引き合いは弱く、スーパーの売り上げも前年を下回る。今後も安定した出荷が続く見込みで、卸売会社は「月後半も安値基調が続く」と見通す。
2019年02月14日
「怒りながら食べるものはすべて毒に変わってしまう」
「怒りながら食べるものはすべて毒に変わってしまう」。イスラムの教えだという。やはり心と体のためには楽しい食卓を囲みたい▼編集者で作家の北山耕平さんが、著書『自然のレッスン』に理想的な食べものと食べ方について書いている。食べものを愛している人の育てたものが最高においしい。料理をする人もその食べものを同じように愛したら、さらにおいしくなると▼思い出すのは、高田郁さんの時代小説『みをつくし料理帖』(ハルキ文庫)。江戸を舞台に若き女性料理人の成長を描く人気シリーズである。「食は、人の天なり」という医者の言葉を胸に、料理を通じて人に幸せを届ける物語は、読んでおいしく、心も温まる▼作中には、食にまつわる滋味豊かな言葉がたくさん出てくる。「口から摂(と)るものだけが、人の身体を作るのです」。真理であろう。調理する主人公の心構えもいい。「料理に向かう時は、胸に陽(ひ)だまり抱いていようと思う」。食材を作り届けてくれた人への感謝、食べる人の笑顔を思う心映えが、隠し味になる▼作中の料理を食べてみたいという読者の声に応え、『みをつくし献立帖』(同)というレシピ本もある。この時季は鍋。タラと白ネギ、シメジをダイコンのすりおろしで食す「白尽くし雪見鍋」などいかが。
2019年02月16日
通勤の駅に幼稚園の広告がある
通勤の駅に幼稚園の広告がある。どろんこになって遊ぶ園児たちの笑顔。そこに添えられた言葉は「やさしい心の元気な子」▼たった10文字だけど、子どもたちに願うこれ以上の言葉があるだろうか。親たちは等しく、わが子の成長を祈り、一喜一憂する。どろだらけになった体を見ては笑い、あきれるだろう。お風呂の湯気の中で、体を洗い、その日の出来事を聞くだろう▼〈子がわれかわれが子なのかわからぬまで子を抱き湯に入り子を抱き眠る〉。先年、乳がん闘病の末に亡くなった歌人河野裕子さんの歌である。2人の子育てに追われていた時期の作で、食べる時も寝る時もお風呂もトイレも一緒。自分が子どもなのか、子どもが自分なのか分からないような濃密な日々を詠んだ▼育児はさながら永遠に続く「戦争」のようで、早く終われと思っていた。でも嵐のような子育ての時間が過ぎ去ると、子どもたちとの毎日が、かけがえのないものに思えた。そうした時間が「人生の始まりの時に用意されてあることの必然。それは、生の大きな知恵のようにも思われる」(『現代うた景色』中公文庫)と書いた▼その知恵が、なぜこの親になかったか。お風呂は、親子がぬくもりを分かち合う幸せな場所。わが子を冷水で死に追いやる場所では、断じてない。
2019年02月15日

[達人列伝](81) 赤果肉リンゴ 長野県中野市・吉家 一雄さん(62) 甘さと色 改良で両立 栄養豊富 写真映えも魅力
長野県で、30年にわたり果肉が赤いリンゴの育成に力を注いでいるのが、中野市の果樹農家、吉家一雄さん(62)だ。鮮やかな果肉が目を引く外観だけでなく、味にこだわり育種に取り組む。国内外の品種を取り寄せ、現在園地では5000種もの赤果肉リンゴの実生を試験的に栽培。5種は品種登録され、大学や研究機関からも注目されている。
吉家さんが、赤果肉リンゴと出合ったのは、県農業大学校での学生時代。当時は観賞用だったが、その果肉の美しさに驚き「このリンゴがおいしかったら絶対に人気が出る」と直感した。就農後、通常のリンゴ作りと並行して、赤果肉の育種を試し続けた。
1990年ごろから本格的に品種改良に着手した。94年に、米国原産の加工用リンゴ「ピンクパール」と「紅玉」を交配し、約5年かけて結実。良好に着色したものの一つが、現在まで続く「いろどり」だ。この母種となる「いろどり」に「ふじ」を掛けたのが、「なかの真紅(しんく)」「炎舞(えんぶ)」、「ムーンルージュ」「冬彩華(とうさいか)」の4種。さらに「いろどり」と「王林」を掛けた「なかののきらめき」がある。「冬彩華」を除く5種は2018年5月、農水省に品種登録が認められた。
「赤果肉は酸っぱい」という固定概念を持たれないよう、爽やかな甘味の品種を全国区で販売。やや酸味の強いものは、優先的に市内販売や加工用に向けるなど、普及方法にも気を配る。吉家さんは「この6種を親にして、次の品種へつなげていく」と意欲を語る。目指すのは「ふじ」のように、誰もが知る品種だ。
園地には、欧州、オセアニアなど世界中から農家、研究者らが視察に訪れる。興味を示した料理人には「直接来て食べて」と誘い、その意見を育種に生かす。「オープンなやり方が、客観的な味の判断に役立ち、情報交換の場にもなる」と話す。
吉家さんは「赤果肉は栄養成分も豊かで、食卓に華を添える。話題の写真映えも強み」と、その潜在力にほれ込む。自身の農園では、現在7対3の割合で白果肉のリンゴの出荷が多いが、赤果肉の引き合いが強まり、1、2年のうちに逆転すると見込む。「世界で新品種が発表されると、悔しさよりわくわくする」と、熱意は増すばかりだ。(江口和裕)
経営メモ
園地1.8ヘクタールでリンゴを、0.7ヘクタールで桃を栽培。作業の省力化に努め、母親と妻の家族労働力だけで効率経営を実現している。
私のこだわり
「まず自分が楽しむ。すると人が楽しんでくれる。吸っては吐く呼吸と一緒で、与えることで与えられるものがある。地域の農家や若い挑戦者に、垣根なくノウハウを伝えたい」
2019年02月18日
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地鶏 遺伝子型選び増体 「天草大王」平均6・7% 農研機構など
農研機構と秋田、岐阜、熊本、宮崎の4県の畜産研究機関は18日、地鶏生産の元となる種鶏を遺伝子型で選抜することで、地鶏の発育性を高め、出荷時体重を増やすことに成功したと発表した。出荷時の平均体重は40~222グラム増えた。特定の遺伝子型を系統選抜の目印にすれば、発育性向上に役立つ。増体により、4県の地鶏合計で生産者の売り上げが、年間約6600万円増えると試算する。
2019年02月19日

「泊」は旅館、「食」は農家 おにぎり 里山料理 宿までお届け 宮城・鳴子温泉郷
宮城県大崎市の鳴子温泉郷で、農家グループが旅館に食事を届けるケータリング事業が活発化している。自ら調理して提供することで、収益の確保につなげる。旅行客の長期宿泊を狙う旅館からの需要や、温泉街で開かれる会議などの食事として需要がある他、今後は宿泊サービスと食事を分ける“泊食分離”で、訪日外国人(インバウンド)などからの需要も見込んでいる。(塩崎恵)
地元米 ファン獲得 NPO運営店
午後4時半、鳴子温泉郷の温泉旅館「宿みやま」に、木のおけに入ったおにぎり20個が届いた。同旅館が宿泊客の夕食用に注文したもので、鳴子温泉地域の農家らでつくるNPO法人鳴子の米プロジェクトが運営するおにぎり店「むすびや」が配達した。
同旅館では月に1、2回、同店におにぎりを注文する。館主の板垣幸寿さん(63)は「食事に変化を付けて、長期滞在につなげたい」と話す。
「むすびや」は、米「ゆきむすび」のおにぎりや弁当を販売する。価格は塩むすびなら1個80円から。大きさや具材は、希望に応じて対応する。旅館からの注文は、週1回程度。旅館で開かれる会議の昼食や、旅館の夕食に利用されており、宿泊客50人用の夜食の注文もあった。現在は旅館7軒が利用する。
法人の上野健夫理事長は「『ゆきむすび』を食べてもらい、ファンを獲得するチャンス」と話す。
目の前で調理 新サービスも
鳴子温泉郷では、農家が作るオードブル「農ドブル」も2019年度から本格スタートする。泊まりに来た客に里山料理を振る舞うケータリングサービスで、県産農産物を使った料理を農家が客の目の前でも作り、提供し、交流する。県内の米やトマト、養鶏農家など15人が参加する。
同サービスは農家の所得向上を模索する中、加工品などは全国の類似商品と価格競争になると感じ、地元での販路を考えていたところ、客が集まる温泉街に目を付けた。宿泊客に農産物を食べてもらい、最終的に購入してもらうことが目的だ。
18年度は、旅館1軒で試験的に行った。季節の野菜を使った煮物やサラダ、漬物など6、7種類を農家が調理し、出来たてを提供。料金は1人5000円からで、20人から予約を受け付けた。旅館では団体研修などが開かれることが多く、月2、3回の利用があり、手応えを感じている。今後は、インバウンド需要を見込む。
企画した同市の「ブルーファーム」の早坂正年代表は、海外では宿泊と食事をする場所が別であることが一般的とし、「日本だけでなく世界をターゲットにすれば、70億人の市場になる。農家が自ら調理して提供することで利幅を増やす」と意気込む。18年度の試験結果を基に、値段やサービス内容を検討していく。
2019年02月19日
TPP発効受け2月上旬分 牛肉輸入6666トン
財務省は18日、環太平洋連携協定(TPP)参加国からの2月上旬(1~10日)の牛肉輸入量を発表した。オーストラリアやカナダなどから6666トン。発効した昨年12月30日から同時期までの累計輸入量は3万9551トンとなった。
TPP参加国のうち輸入実績のあるオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、メキシコの4カ国からと考えられる。1月は前年を大きく上回るスピードで輸入されたが、2月は少し落ち着いた。
今月1日に発効したEUとの経済連携協定(EPA)ではTPP同様に、牛肉関税が38・5%から27・5%に下がった。2月上旬のEU産輸入量は48トンだった。極端に少なかった2018年2月(7トン)の7倍、17年2月(78トン)の62%を占めた。18年は568トンで、ポーランド、アイルランド、フランスなど7カ国から輸入した。
2019年02月19日

18年産輸入量105万トン 安価に手当て、簡便性… 冷凍野菜が過去最多
2018年の冷凍野菜の輸入量が105万トンと過去最高を更新した。100万トン超えは2年連続。猛暑や台風などの影響から国産生鮮野菜の市場価格が不安定となる中、安価の輸入物で手当てする動きが強まった。調理の簡便性を求める消費者ニーズから市場が拡大している背景もある。国内の野菜産地は、輸入冷凍野菜の増加に危機感を募らせる。国産を求める声は多く、冷凍野菜市場の拡大に合わせた業務向け野菜の拡大など、国内産地の基盤強化策が重要になっている。
国産の不安定を反映
財務省の貿易統計によると、18年の冷凍野菜(調製品を含む)の輸入量は、前年比4%増の105万2076トン。品目別で増加が目立つのは葉茎菜類だ。ブロッコリーは18%増の5万7330トン、ホウレンソウも14%増の5万1796トンだった。全体の4割近くを占めるジャガイモは1%増の38万1634トン。主力の北海道産の生産量が回復した後も、輸入量は高水準が続いている。
国・地域別に見ると、中国からの伸びが目立ち、7%増の46万3251トンと3年連続で過去最高を更新。米国産は3%減の31万7506トン。市場関係者は、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の発効を受け、「今後は欧州産フライドポテトの輸入が増える可能性がある」と話す。
日本冷凍食品協会は、冷凍野菜が増える要因を「年間を通じて安定価格で販売している点が評価されている」と分析。コンビニやドラッグストアでも扱う店舗が増えているという。「今後も市場拡大が続く」と見通す。
首都圏でスーパーを展開するライフコーポレーション(東京都台東区)も「昨年の(冷凍野菜の)売上高は前年を4%上回った」と話す。都内の別のスーパーでも「春先は10%以上伸びた」と説明する。
一方、国産の冷凍野菜に期待する声も高まっている。ライフは国産にこだわった冷凍野菜を販売している。安心感などから「売り上げは2割近くは伸びている」と手応えを語る。JA宮崎経済連の関連会社で、冷凍ホウレンソウなどを製造販売するジェイエイフーズみやざきの担当者は「天候不順などもあり、増える注文に応えられない状況」と原料野菜の調達に苦心しており、「チャンスを逃さないためにも生産体制の確立が急務」と課題を指摘する。
2019年02月18日
TPP11、日欧EPAで米国 対日輸出 乳製品 半減を予測 貿易交渉 加速を訴え 酪農輸出団体が分析
米国抜きの環太平洋連携協定(TPP11)と日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)によって、2027年までに米国乳製品の対日輸出が半減し、最終的に累計54億ドル(約5900億円)の損失が出るとする報告書を米国の酪農団体が公表した。日米貿易協定交渉で他の協定と「同程度」の成果が必要としており、日本市場の開放を目指し焦りを募らせる米国側の姿勢が改めて浮き彫りとなった。
米国酪農輸出評議会(USDEC)が日欧EPAの発効に合わせ、チーズ、ホエー(乳清)、乳糖、脱脂粉乳の対日輸出の影響について、民間企業に調査を委託した。
日本は日欧EPAで、EUの輸出意欲が強いソフト系チーズで最大3万1000トン(生乳換算約39万トン)の輸入枠を設定。枠内関税を16年目に撤廃する。チェダー、ゴーダなどのハード系はTPP、日欧EPAとも16年目に関税を撤廃する。
こうした内容に基づき、米国乳製品の対日輸出は、22年までの5年間で従来の予測よりも9000万ドル(約99億円)、19%落ちると分析した。
27年までに両協定の参加国に対日輸出の半分を奪われ、累計損失額は13億ドル(約1400億円)と試算。日本の関税削減・撤廃が完了する38年までに同54億ドル(約5900億円)の損失を見込んだ。
最も大きい影響を見込むのがチーズ。人口減の中でも日本の消費量を増えるとみており、魅力的な市場と位置付ける。両協定と同じ条件なら、10年間で対日輸出量を大幅に増やせると推計する。
ただ、米国はTPPから離脱したため、関税の格差などで競争力低下が進み、10年後には対日輸出が8割減るとした。
「日本との間に(TPPや日欧EPAと)同等の協定がないままだと、米国は危険なまでに市場シェアを失う」と危機感を示した。一連の分析を踏まえて、「早期に手を打たないと市場での居場所を失う」と、日米交渉加速の必要性を指摘した。
2019年02月18日

米の農産物検査の見直し 「制度継続」望む声 産地 手法効率化 流通 規格強化を 農水省調査
米の農産物検査の見直しを巡り、農水省は、産地や流通、実需など各段階の関係者に行った調査結果を公表した。同制度への要望を尋ねたところ、現状維持を求める意見が多く、同制度の廃止を求める回答はほとんどなかった。一方、検査員の確保に課題がある実態を踏まえ、産地からは検査の効率化を求める声も上がった。ただ、流通関係者は検査規格の強化を求める傾向となった。
同調査では、「生産者」「集荷事業者」「登録検査機関」「米卸」「米穀店」「炊飯事業者」の6段階の関係者に加え、「都道府県」に対し、同制度への要望を選択肢で尋ねた。
炊飯事業者は同制度について、「現状のままでいい」が43%で最多となった。炊飯事業者以外でも、全ての関係者で現状維持の回答が上位となった。一方、「(同制度の)全面的な廃止」を求める回答はどの関係者でも0~3%にとどまった。ほぼ全ての関係者が基本的に同制度の維持を求めている実態が明らかとなった。
ただ、産地からは検査の効率化を求める回答が相次いだ。「検査手法の合理化・簡素化」を回答した割合は、生産者で41%、集荷事業者で49%、都道府県で36%となり、それぞれ最多の回答となった。また、検査を行う登録検査機関では、「事務の簡素化」(49%)を求める回答が最多となった。
産地で検査員確保に課題がある実態を踏まえ、東北地方のJA関係者は「(等級などを判断する穀粒鑑定では)従来の検査員による目視鑑定に加え、機器による計測なども取り入れ、作業を効率化する必要がある」と指摘する。
一方、流通関係者からは「検査規格の強化」を求める回答が多かった。米卸で34%、米穀店で43%となり、それぞれ最多の回答だった。等級の判断に関わる基準の厳格化などを求める声がある。
同制度を巡っては、農業競争力強化支援法で今年8月までの見直し着手を明記。同省は1月下旬に産地や実需の関係者などを交えた意見交換会を開き、今回の結果を公表した。調査自体は2015年度に実施していた。
2019年02月17日
液体ミルク 災害用へ備蓄続々 国内製造・販売も加速
国内での製造・販売が解禁された乳児用液体ミルクを災害用に備蓄する動きが自治体で出ている。災害時に乳幼児を守るためとし、東京都文京区や群馬県渋川市、大阪府箕面市が2019年度予算案に盛り込んだ。国内メーカーも製造・販売の準備や商品化の検討に入っており、今後各地の自治体で備蓄の動きが活発化しそうだ。
乳児用液体ミルクは粉ミルクのように湯で溶かす必要がなく、災害時にも、すぐに乳児に飲ませられる。11年の東日本大震災、16年の熊本地震の際に海外からの救援物資として持ち込まれ、関心を集めた。日本では昨年8月に厚生労働省が製造・販売を解禁した。
東京都文京区は昨年11月に区内の私立大学4校や製造メーカー、出版社と共同事業体(コンソーシアム)を形成。4校を妊産婦、乳児向けの救護所に指定し、災害時に乳児160人が1日半利用できるよう、125ミリリットル入り液体ミルクパック2000個と使い捨ての哺乳瓶を備える。新年度予算案に備蓄関連費用で260万円を計上した。
群馬県渋川市も2月下旬開会予定の市議会に提案する新年度予算案に備蓄費用として約56万円を計上する方針を固めた。紙パック(125ミリリットル)入りの液体ミルクを3日分として420本、保健センターに備蓄する。
大阪府箕面市も19日開会の市議会に国産の乳児用液体ミルクを備蓄する費用12万7000円を盛り込んだ予算案を提出する。常時600個(1個125ミリリットル)を公立保育園に備蓄する。
乳児用液体ミルクの製造・販売の動きも加速する。江崎グリコや明治が製造に向け準備を進める他、森永乳業や雪印メグミルクが商品化を検討する。渋川市の担当者は「製造メーカーが増えることで価格や質の向上が期待され、液体ミルクの備蓄を検討する自治体は今後増えるのではないか」とみる。
2019年02月17日

世界のラン展開幕 多彩な「花々」 「光る」初公開
世界最大級のランの祭典「世界らん展2019―花と緑の祭典」が15日、東京都文京区の東京ドームで始まった。29回目の今年は、ランにとどまらず、多彩な「花々」や多肉・食虫植物などの「緑」があふれる。世界初公開の「光るシクラメン」などが見どころ。22日まで。
会場には世界18カ国・地域の約3000種、約10万株、250万輪以上の花を展示する。コチョウランやカトレアなどのランで彩った幅約20メートル、高さ約5メートルの「オーキッドゲート」や、華やかなシンボルモニュメントなど、写真映えする空間を演出。光るシクラメンは、深海に生息する海洋プランクトンから発見された蛍光タンパク質の遺伝子情報を導入した。
ランのコンテストは個別部門の最高位「日本大賞」に、東京都の櫻井一さん(71)が栽培したパフィオペディラム エメラルドゲート「グリーン グローブ」が選ばれた。
2019年02月16日

100年ぶりに地酒復活 若手が原料米作り協力 栃木県高根沢町
栃木県有数の米どころ、高根沢町で、町内産米を使った日本酒が100年ぶりに復活した。若手農家や隣接する那須烏山市の酒造会社などが協力。「縁も高根沢」と名付け、町内の食と健康をテーマとした複合施設、元気あっぷむらで販売を始めた。
酒造りは、加藤公博町長が発案し、昨年3月に本格始動した。同公社によると、同町では明治時代以降酒蔵がなくなり、日本酒の醸造が途絶えていたという。4Hクラブの若手農家3人が酒造好適米「山田錦」を計80アール作付け。収穫した米約3トンを、昨年11月末から島崎酒造が醸造した。
9日には完成発表会があった。同公社の神長政男代表は「カメムシ発生や台風、大雨など苦労があったが、多くの方の協力で完成した。若手農家の思いが詰まったお酒をぜひ飲んでほしい」と呼び掛けた。4Hクラブの代表・永井秀和さん(37)は「飲みやすく、すっきりとしておいしい」と笑顔を見せた。
2、3月に生酒2000本、4月以降に1回火入れ4000本を販売する予定。1瓶(720ミリリットル)1700円。問い合わせは元気あっぷむら、(電)028(676)1126。
2019年02月15日

第2回落札7・9万トン 「優先枠」累計は47% 備蓄米
農水省は13日、2019年産政府備蓄米の第2回入札(12日実施)の結果を公表した。今回新たに7万9775トンが落札され、初回を加えた「優先枠」の累計落札数量は9万7403トンとなった。累計落札率は年間枠(20万9140トン)の47%だった。初回で様子見した新潟や富山といった主産地で落札が伸びるなど、取り組み拡大に向けた動きが出ている。
2019年02月14日