暖冬どうする 生育前進 着色遅れ 水不足…

JA職員と結球レタスの出荷時期を打ち合わせる福田さん(左)(15日、北海道浦河町で)

 雪や寒さを生かして農作物を栽培、保存する農家やスキー場近隣の農家民宿の経営者らが、暖冬の気配に気をもんでいる。冬野菜の産地は、鍋物需要などへの影響に不安を募らせる他、暖冬対策に着手。水不足への懸念もある。気象庁は太平洋赤道域で海面温度が上昇しエルニーニョ現象が発生したとみられる影響で、今冬は雪が少なくなると見通す。同庁が15日発表した1カ月予報でも広い範囲で気温が高くなる見込みで、農作物の管理に注意を呼び掛ける。
 

レタス管理 気抜けぬ 北海道 


 冬取り結球レタスの産地化を進める北海道浦河町内では、9月~11月上旬が高温傾向で推移したことでレタスの凍結などがなく、品質良好で順調に生育。冷涼な気温を好むレタスに合わせ、温度管理に気を付けてきた一方、本格栽培から2年目ということもあり、一部でレタスの出荷が大幅に早まった。

 結球レタスを今年初めて栽培した福田豊さん(66)は、使用していない夏秋イチゴの高設ベッドで作付けし、16日に初出荷を迎える。日高農業改良普及センターやJAひだか東の助言を基に高温傾向の中、毎日側窓や入り口を開け閉めして温度を管理したという。福田さんは「暑くなり過ぎないようかなり気を配った。凍結などはなく、ほっとした」と話した。

 同町内では、道産の端境期となり、価格の高い11月下旬~翌3月を狙って出荷する。一方、一部のハウスでは、生育が急進し、出荷が前倒しした。同町で就農2年目の濱田憲一さん(48)は、10月中旬に出荷を開始。レタス前作のトウモロコシが今年の全道的な日照不足により大幅に減収した上、昨年は冷え込みにより出荷できない株が発生。挽回したい気持ちと、昨年の反省から、種まきを10日ほど早めたことが響いた。濱田さんは「種まき時期を見極められなかった」と悔しさをにじませる。

 JAによると町内では今年、10戸が78アールを作付けし、前年の4倍となる6万4000玉の出荷を計画する。 
 

寒締め心配 スキー客は?


 寒締めホウレンソウ栽培が盛んな岩手県JA新いわては、農家はハウスの換気窓の開閉で温度を調整するなど暖冬対策に着手した。同JA県北園芸センターの南黒沢直人営農指導員は「寒さに当てて糖度を確保する。今後寒さが強まらないようだと収穫が遅れることもある」と心配する。既に年末需要を見込む小松菜の生育が1カ月ほど早まるなど影響が出ている。

 日本有数の豪雪地帯、新潟県のJA津南町は、雪の下で熟成させる雪下ニンジンが特産だ。暖冬予想に、同JA営農センターの桑原武彦さんは「雪が少ないといっても平地でも1・2メートルくらいは積もる」として、品質や生育には影響はないと見通す。心配なのは雪不足でダムの貯水量が少なくなることだ。地域は昨夏、干ばつに見舞われ発芽不良などの被害が出ただけに事態を懸念する。

 温州ミカンの産地、和歌山県JAありだは、暖冬による露地ミカンの着色遅れや浮き皮、腐敗果を防ぐため、ジベレリンや防腐剤散布など対策の徹底を呼び掛ける。

 長野県のJA大北は、スキー場近隣で宿泊業を営むJA組合員もいることから、雪不足によるスキー客の減少は深刻な問題だ。暖冬だった2016年には、寡雪対策本部を設け、宿泊業を営むJA組合員向けに融資相談を行った。金融部の立岩満課長は「雪不足になれば地域経済への影響が大きい」と話す。
 

エルニーニョ2年ぶり 来月も気温高く 


 気象庁は11月、大気の流れや気圧に影響し、世界的な異常気象を引き起こすとされるエルニーニョ現象が発生したとみられると発表した。秋に発生すると、日本では西高東低の冬型の気圧配置が強まりにくく暖冬になりやすくなる。同庁が観測を開始した1949年以来16回目で、発生は2年ぶり。

 前回発生した、2015年から16年の冬(12~2月)は、最高気温の観測も各地で相次ぐ記録的な暖かさとなった一方、雪を伴う寒波も襲来。暖冬が続いていただけに、ハウスの倒壊や農作物の凍害など甚大な影響を及ぼした。

 同庁によるとエルニーニョ現象が発生している冬は、特に関東、北陸、東海、信越地域で平均気温が高く、降水量は北海道や東北の日本海側で少ない傾向。同庁が15日発表した12月16日までの予報では、北海道、東北、関東甲信、東海で気温がかなり高くなり、他地域でもやや高まる見通しで冬野菜や果樹の生育に影響が及ぶ恐れがある。

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