正念場の米政策 需給安定へ環境整備を

 米の需給安定に向けた対策が問われている。政府は、需要に応じた生産に関係者が一体となって取り組めるよう、必要な環境整備をすべきだ。

 国による生産数量目標の配分廃止2年目となる2019年産は、まさに正念場と言える。需要減による適正生産量の減少は避けられない。仮に需給が大きく緩和する事態となれば、価格の急落を招き、米の安定生産は崩壊しかねない。この危機感を共有すべきだ。

 産地主体の需給調整初年度となった18年産は、国が示した適正生産量が前年の生産数量目標と同じ735万トンだったこともあり、6割の県域の農業再生協議会が生産の目安を前年と同水準に設定した。ただ、一部産地で作付けを増やす動きもあり、主食用米の作付面積は前年比1・2%増の138万6000ヘクタールとなった。

 天候不順で作柄が悪い産地もあり、10月15日現在の全国の作況指数は「99」。結果的に予想収穫量は732万9000トンで、適正生産量の735万トンを下回っている。それでも、JA全中は来年6月末在庫について、適正とみる180万トン程度を大きく上回る197万トンと試算する。作況によっては大きく需給バランスが崩れる展開も懸念された状況だった。

 19年産に向け、危ういバランスの上に成り立つ需給の安定を保つには、政府による環境整備が必要だ。全中は需要に応じた生産に向けた政策提案をまとめ、政府・与党に実現を訴えている。

 課題の一つが政府備蓄米の運用だ。18年産の備蓄米の落札は20万トンの年間枠に対し、6割にとどまった。備蓄米の作付面積は前年比1万3000ヘクタール減。その分、主食用米が増えたとの見方もできる。主食用米並みの買い入れ価格とすることなどにより、全量が確実に落札される運用が求められる。

 水田フル活用に向けて、水田活用直接支払交付金の予算確保も重要だ。主食用米の需要が減る中、引き続き転作拡大を支援する必要がある。飼料用米の単価水準なども維持し、万全の予算を恒久的に確保すべきだ。

 需要に応じた生産を進めても、豊作などで大幅な需給緩和が起こる可能性もあり、こうした場合に備えた対策も必要だ。

 需給安定に向けては、米の関係団体でつくった全国農業再生推進機構(米の全国組織)に対する期待も大きい。適正生産量の減少が見込まれる中で、各県域の農業再生協議会がいかに需要に応じた生産の目安をつくり、それを実現していくかがポイントとなる。全国組織がより効果的な情報発信ができるよう、国の支援も求められる。

 与党は19年産に向けた米政策の議論を始めた。全国で多くの生産者が、今後の需給と価格動向に不安を抱えている。需要に応じた生産が実現できるか、まさに岐路に立っている。まずは政府による環境整備が必要だ。

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