農高生が奮闘 名物この手で JA、行政 住民と連携 地域元気に

絶滅の危機にあった「出雲コーチン」の復活を目指す黒崎さん(島根県出雲市で)

パフェで標茶町を発信しようと語り合う関係者ら(北海道標茶町で)

 地域活性化に農高生が奮闘している。島根では地鶏「出雲コーチン」の増産に乗り出し、初の飲食店もオープン。北海道では飲み会の後の“シメ”として地元の生乳を生かしたパフェを考案していく。JAや地元住民、行政などと連携し、地域課題の解決を目指す。
 

ブランド地鶏復活へ 島根・出雲農林高


 【島根・出雲】県立出雲農林高校動物科学科の生徒たちが復活に取り組む地鶏「出雲コーチン」を活用した飲食店が27日、出雲市内にオープンする。産官学で地鶏のブランド化に取り組み、地元で畜産業を営む「藤増」が、生徒の熱意に応え出店。一時は十数羽しか確認できなかった「出雲コーチン」だが、今年9月時点で約250羽まで増えた。交雑種も育成し、初めて商業ベースに乗せる。

 「出雲コーチン」は、明治初期にコーチン種を地元の鶏と交配して作出。1922年に命名され、出雲地方を中心に飼育されていたが、戦後、外国種の拡大などで次第に衰退した。

 復活への始まりは、県畜産技術センターが2015年、同校に「出雲コーチン」の卵のふ化と育成を依頼したのがきっかけ。双方で飼育してリスク分散を図るのが目的だったが、生徒が「数が少ない出雲の地鶏を復活させたい」と提案。同校で復活プロジェクトが立ち上がった。

 17年から研究・育成に携わるのが、同校動物科学科3年生の黒崎彩夏さん(18)。当時の3年生から引き継いだ時は、羽数が少なく技術もなかった。「羽数が少ないと近親交配が増える。元気がない子が産まれ、死んでしまうなど精神的なつらさもあった」と苦労を話す。

 同校の熱意に関心を持ったのが藤増の会長、藤江昭雄さん(78)だ。同社は和牛専門だったが、「商品化ができれば増羽ができる。そのためには生産者の力が必要」と、16年に同校、同センターから卵や親鶏を譲り受け、繁殖を始めた。17年6月にはJAしまね出雲地区本部や行政も加わり、産官学7組織で「出雲コーチン利用促進協議会」を設立。種の保存と地鶏のブランド化に取り組み、18年度は新たな地鶏作出のための交配種決定を事業計画に掲げた。

 オープンするのは鉄板焼き店で、「出雲コーチン」と「名古屋コーチン」の交雑種を「藤増コーチン」として提供する予定だ。地鶏肉の日本農林規格に定める75日と比べても大幅に長い5、6カ月飼育する。「味が濃く、歯応えもしっかりする」(藤江会長)。同社はブランド化に向け、交雑種約1000羽を飼育し、年間2回転で約2000羽出荷できる体制を整えた。
 

“町の顔”パフェ開発 北海道・標茶高


 北海道標茶町の標茶高校は「札幌シメパフェ」ならぬ「しべパフェ」で、町の活性化に乗り出す。「シメパフェ」は、飲み会や食事後にパフェを食べる、札幌市で始まった食文化。酪農が盛んで良質な生乳を生産する同町をパフェの町として発信し、農業と観光産業のコラボレーションや6次産業化施設の実現などを目指す。 

 同校の総合学科酪農食品系列で学ぶ3人の生徒が「シメパフェ」の火付け役、札幌市の「ミライストカフェ&キッチン」のソフトクリームの原料乳が同町産ということに着目。「地場産食材を使った“標茶町パフェ”を創作したい」という思いをきっかけに「標茶町パフェの町プロジェクト」を立ち上げた。

 同町の佐藤吉彦町長、JAしべちゃの千葉孝一組合長、地元酪農家でミルキークラウン乳業の舘石吉貴会長、同町観光協会・佐藤紀寿会長の他、歌声合成ソフトウェア「初音ミク」を開発したクリプトン・フューチャー・メディアローカルチームの服部亮太チームマネジャーらが賛同。11月に同プロジェクトを進める「地域みらい連携会議」を設立し、活動の趣旨や各団体の役割などを確認した。

 生徒らは担い手の減少や希薄化する酪農の町のイメージ向上などの地域課題に取り組む。1年目は生乳生産から商品までの製造工程の研究と経済効果を調査し、2年目は協力店舗の仕掛けづくり。3年目は知名度アップを目指す。

 同校の三上拓志校長は「この事業が地域連携の核になる」と強調。千葉組合長は「地元雇用につながる夢のある試みだ」と語る。服部チームマネジャーは「地域性や高付加価値などブランド化のピースがそろった。対外的に発信したい」と生徒らを勇気付ける。

 今後、体験型の食品加工施設などの建設も視野に入れる。リーダーの2年生、佐々木梨乃さんは「夜空や星空をイメージしたパフェを作りたい」と早くも夢を語った。 
 

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