子ども食堂 食材調達に苦戦 法整備で寄付しやすく

子ども食堂「なかながや」を運営する和田さん(左)と、支援をする農家の鈴木さん(神奈川県横須賀市で)

 貧困家庭の子どもに食事を提供する「子ども食堂」の活動が多様化する中、企業やJAなどの食品・関係組織が寄付するための法整備を求める声が現場から上がっている。神奈川県横須賀市の子ども食堂では、生活リズム改善などの目的で夕食に加えて朝食も提供するため、運営者は「食材調達が大変」と話す。食べられるのに廃棄される食品の寄付を受け、子ども食堂や生活困窮者に配る「フードバンク」活動団体は、食品事故への懸念を抱く企業や団体が、安心して寄付できる仕組みを作るよう訴える。
 

活動多様化、負担増す現場


 2015年に横須賀市で子ども食堂を始めた和田信一さん(51)は、公民館2カ所で月に1回ずつ夕食の無料提供をしてきた。「もっと頻繁に子どもに寄り添いたい」との思いから、昨年5月からは古民家を借りて子ども食堂「よこすかなかながや」を新装開店し、運営を週3日に増やした。今年4月からは小・中学校の授業がある平日に毎日、登校前の子どもに朝食の提供もしている。

 「なかながや」を手伝いながら、3人の子どもを育てるシングルマザーの女性は「朝食のために子どもが早起きして、生活にリズムができた」と喜ぶ。「なかながや」では、利用者登録をしている6歳から15歳までの19人が夕食を食べる。登録の要らない朝食時には、多いときで40人の子どもが一斉に食卓を囲む。和田さんは「家庭での虐待や学校でのいじめによって、心の飢餓を抱えた子も多い。子どもの居場所だから、年中無休にしたい」と切望する。

 しかし、運営日を増やせば経費と必要な食材も増える。和田さんは、福祉施設職員として働く報酬を古民家の家賃と光熱費に充て、食材は近隣住民の寄付で賄っている。調理は近所のお母さんたちがボランティアで受け持つが、資金も食材も余裕がない。

 そんな和田さんを、市内で約80種類の野菜を栽培する農家の鈴木優也さん(34)が支える。鈴木さんは和田さんの趣旨に賛同し、週に1度、段ボール1箱分の旬の野菜を「なかながや」に寄付する。「地元の子どもが旬の地場産野菜を口にできないのはおかしい。生産者としてできることをする」(鈴木さん)と、毎回奮発して箱詰めをする。

 鈴木さんと和田さんは「地元は人口流出が多く、高齢化と空き家が目立つ。子どもを大事にすることで将来の地域振興につなげたい」と声をそろえる。
 

食品ロス関連法成立なお不透明 フードバンク支援「事故免責」検討も


 全国に増え続ける子ども食堂。支援自治体などで構成する「こども食堂安心・安全向上委員会」によると、4月時点で2286カ所と16年比の7倍に上る。貧困支援にとどまらず、居場所づくりや将来的な地域振興への足掛かりへと多様化している。しかし、全国フードバンク推進協議会は「フードバンクも子ども食堂も食品が集まらずに苦戦する団体が多い」と明かす。

 こうした背景を踏まえ、議員立法で今国会での成立を目指す「食品ロス関連法案」の骨子には、食品関連企業や団体のフードバンク活動支援が含まれる。フードバンクから食材を調達している子ども食堂の運営者の間でも法律の成立を望む声は多い。

 月に6日、子ども食堂の運営もしているNPO法人フードバンク和歌山(和歌山県御坊市)の古賀敬教理事長は「地域の交流拠点として、将来は毎日開催したい。さらに食材が必要になる。法の後押しが必要だ」と訴える。

 ただ、今国会に法案はまだ提出されず、見通しは立っていない。

 同協議会は今月28日に院内集会を開くなど、議員と共に今国会での法成立を目指す。同協議会の米山広明事務局長は「手作りの食事を出す子ども食堂は、JAや農家からの生鮮品の寄付が頼り。法案骨子には、寄付食品で事故が起きた際の寄付者への免責方法の検討も含まれているので、法が成立すれば寄付してもらいやすくなる」と話す。

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