鶏ふ化をNASAで発表 遺伝子研究 チャーハンのパラパラ度測定 先進的教育 舞台は世界 広島県立西条農高

植物の遺伝子について研究する佐山さん(左)ら(広島県東広島市で)

 科学技術分野で国際的に活躍する人材の育成を目指す「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定されている広島県立西条農業高校(東広島市)では、植物の遺伝子研究からチャーハンのパラパラ度合いの測定まで、生徒が幅広い研究に励んでいる。11月には米航空宇宙局(NASA)で鶏のふ化について英語で研究発表し、活躍を世界に広げる。独自の授業を組み、農業、食料の課題を解決するための力を培う。SSHに認定されるのは普通高校が中心で専門高校は数が少ない中、同校は存在感を発揮している。
 

スーパーサイエンスハイスクール指定校 成果上げ2期目 

 
 同校は7学科で823人の生徒が学び、文部科学省から2012年度からSSHの指定を受ける。5年間の成果が認められ、17年度から2期目の指定となる。SSHに指定されると独自のカリキュラムを設定することができることから、同校は1年生時に農業と理科を融合させた「アグリサイエンス」の授業を行い、その後2年かけて課題研究を深める。

 これまでに生徒が取り組んだ研究は、栽培や食品、エネルギーなどに関わるものから、部活動の競技力向上のための栄養摂取の方法、チャーハンのおいしさに欠かせないパラパラ度合いの測定といったユニークなものまでさまざま。11月には畜産科の3年生がNASAの学会で、微小重力下での鶏のふ化について英語で研究発表をした。

 同校では、創立から100年以上引き継いできた伝統とSSHの取り組みを合わせて、生徒自らが課題を発見して解決する力や目標を達成する力を身に付ける授業を展開する。研究の高度化と国際連携を柱に、地域の大学や企業が生徒の研究を指導したり、米国、イタリア、フィリピンの高校と連携して国際交流を行ったりと、豊富なプログラムを用意する。

 同校の小倉弘士教諭は「SSHを通じて農業高校の新しいモデルをつくりたいという思いがあった」と話す。グローバル化や人工知能(AI)といった技術の進歩などで農業が変化する中、SSHを通じて学んだことが、将来のチャンスにもつながると見通す。

 生物工学科2年生の佐山伊織さんは「遺伝子の研究ができるから西条農高に入学した」と話す。高性能な機械を使って研究でき、SSHの取り組みで学べることが多いという。この夏にはモロッコに2週間ほど留学し、日本と世界の農業の違いを体験した。

 園芸科3年生の曽利田風季さんはシクラメンの栽培を研究し、土壌肥料学会での発表にも取り組んだ。就職が決まったという曽利田さんは「毎日植物を管理して培った観察眼を生かしていきたい」と話す。

 同校はもともと、農業高校としては進学率が高く、4割が農業系や理系の学科など4年制大学へ進学するという。普通科と比べて大学入試では不利になることも多いが、研究発表を行う中で英語力を身に付けられるようにするなど、工夫を凝らす。

 福嶋一彦校長は、「生徒は学習意欲が高く、楽しそうに課題に取り組んでいる。農業に関する科目もしっかりと行い、それぞれの研究に取り組むことで本当の力が身に付く」と話す。
 
〈メモ〉 スーパーサイエンスハイスクール

 文部科学省の事業。指定された高校は理数教育に重点を置き、独自のカリキュラムを設定して大学、研究機関と連携した授業、地域の特色を生かした課題研究に取り組む。18年度の指定校は204校。農業高校は西条農高の他、北海道岩見沢農業高校、大阪府立園芸高校の3校。

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