[あんぐる] 増える愛車尽きぬ愛情 トラクターコレクター 佐藤幸生さん(秋田県北秋田市)

ぴかぴかに再塗装したドイツのポルシェ社のトラクター。コレクションの中でも特に気に入っているという(秋田県北秋田市で)

自宅の庭に並べたトラクターのコレクションを眺める佐藤さん

 秋田県北秋田市の酪農家、佐藤幸生さん(67)は、旧式トラクターのコレクターとして地域の農家らの間でよく知られた存在だ。約50年かけて集めた数は150台以上。そのコレクションの充実ぶりには仲間の愛好家も一目置いている。

 佐藤さんが集めるのは製造から半世紀近くたつ“ビンテージ物”。自宅の庭やガレージには、新車同然に再塗装したものから、さびたものまで、さまざまな車両がひしめく。

 コレクションは往年の名車ぞろいだ。1951年製造の米国のインターナショナル・ハーベスター社製が最古。60年代のものと見られるドイツのポルシェ社製「スタンダードスター219」は赤い車体が輝く。53年に作られた神農工社製の三輪トラクターなど国産もある。

 携帯電話には毎日のように、各地の農家から譲渡の申し出が届く。運送業も営む佐藤さんは、引き取る車両の多くを最大8トンの大型トラックで自ら運ぶ。約500キロ離れた北海道紋別市にも出向いた。

 「その時代で最高の技術の結晶を、次の世代に受け継ぎたい」と、全ての動態保存を目指す佐藤さんだが、毎月2台ほど増え、修理が間に合わない。「トラクター収集は泥沼。一度はまると抜け出せないよ」と笑う。

 旧式トラクターの愛好家は各地にいる。佐藤さんが所属し、整備した車両をイベントなどで披露する「オールドトラクター保存会」は、会員26人が北海道から関東までに散らばる。

 会長を務める北海道音更町の元農家、茂古沼一さん(80)は「これほど多く集めた会員は他にいない」と、佐藤さんが集めた台数のすごさに舌を巻く。

 佐藤さんの収集活動の原動力は、貧しかった子ども時代の思い出だ。

 「今でも、小さい頃買えなかったものが捨ててあれば持ち帰りたくなる。トラクターは農家の宝物。役目を終えたからといって捨てるのはつらいことだ」と年代物の“愛車”たちを慈しむ。(富永健太郎) 
 

おすすめ記事

地域の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは