新しい農業の幕開け 広がる商機を逃すな ナチュラルアート代表取締役 鈴木誠

鈴木誠氏

 台風や豪雨、干ばつ、地震──。自然災害の脅威がとどまるところを知らない。今年はとりわけむごく、観測史上初や、数十年ぶりといったことも頻発した。「晴れの国おかやま」と呼ばれるほど、天候が穏やかで災害が少ないと言われてきた岡山県も、例外ではなかった。

 農業や農村を巡る情勢の変化は気象や自然災害にとどまらない。今年は明治維新から150年、来年は元号も新しくなる。大きな節目を迎えた今こそ、新しい農業の幕開けとすべきだ。
 

改革待ったなし


 自然災害に加えて、農業経営を直撃しているのが段ボールをはじめとする資材や燃料、運賃、人件費などのコスト上昇だ。米国を除く11カ国との環太平洋連携協定(TPP11)や日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)が相次いで発効し、輸入農産物との競争激化が追い打ちをかける。日米の物品貿易協定(TAG)交渉も年明けには始まる。

 日本が人口減少時代を迎える中で、農業者数の減少に拍車が掛かってきた。日本農業は既に構造疲労を迎えていることは間違いない。これまでの農政は必ずしも有効に機能しなかったのだ。農業についての多くの統計が農業の衰退を示しているのにもかかわらず、過去の仕組みに執着し、歯止めをかけられなかった。

 政治は結果責任を負う。改革に臆病なのは世の常だが、改革こそが未来を切り開く唯一の選択肢でもある。改革なくして国内農業の成長はない、との認識で新たなスタートに踏み出す必要がある。
 

高まる農の価値


 農業の社会的な価値(ニーズ)が、損なわれているわけではない。世界の人口は爆発的な増加が続き、将来の食糧危機への懸念が強まっている。世界情勢を考慮すると、日本農業の社会的価値は高まっており、重要性は増すばかりだ。価値が高まる以上、農業への取り組みは強化すべきであり、そこに新たなビジネスチャンスも広がる。

 今、農業に求められているのは評論家ではなく実務家だ。私は、青果物流通の新たな潮流を主導する神明フレッシュの代表に就いた。農業の強化のためには、青果物流通改革を同時に行う必要があると考えたからだ。輸出戦略特区にも参画し、輸出事業の拡大にも取り組んでいる。EUをはじめ世界各国や地域で日本の農作物の評価が高まっている。中国向けの農産物輸出の品目が広がる可能性もあるとみている。

 日本農業でとりわけ遅れているのが、情報や最新のITなどを活用した事業戦略だと思う。このため仲間と連携して農業ポータルサイトの構築を進めている。異業種も含めて、可及的速やかに、農業改革という国民的課題に挑戦しなければならない。生産コスト低減のため、資材の流通チャンネル見直しも不可欠で、実践していきたい。

 新しい農業の幕開けへ、改革は待ったなしだ。前を見つめて挑戦する勇気を広げ、農業の未来を切り開く大きな潮流を巻き起こしたい。

<プロフィル> すずき・まこと

 1966年青森市生まれ。慶応義塾大学卒。東洋信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)を経て同大大学院でМBA取得。2003年に(株)ナチュラルアートを設立。著書に『脱サラ農業で年商110億円! 元銀行マンの挑戦』など。 

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