仕事の先輩とはどんな存在だろう

 仕事の先輩とはどんな存在だろう。怖い。煙たい。でも頼りになる。いつかは追い越したい。新米記者の頃、そう思っていた▼小説家佐藤愛子さんにとって先輩作家とは、そびえる山、屏風(びょうぶ)、衝立(ついたて)のような存在だったという。風よけのような感じで、その後ろにいると安心できたと。佐藤さんが50代の頃、70代の先輩たちが次々亡くなり、その屏風がまばらになっていった。いま95歳。いつしか先頭に立ち風を受けている▼作家を記者に置き換えれば、やはりそんな先輩がいた。仕事の流儀を現場や酒場で仕込まれた。数字と時間にうるさく「ためにならなくても邪魔だけするな」が口ぐせだった。本気で怒り、本音で付き合ってくれた。窮地に陥ると風よけの屏風になってくれた。家庭を顧みないところまでまねたのは失敗だったが。退職後も辛口は健在だった。この春、がんに倒れたが、病床からも叱責(しっせき)や激励メールが届いた▼先週末訪ねたJAで、組合長が「本気で部下を叱る管理職が少なくなった。叱るのは育ってほしいという愛情の裏返しなんだよ」。そんな話を聞いた帰り道、先輩の訃報を聞いた▼「金足農高の頑張りが抗がん剤以上に効く」。そう言っていたのに。享年70。早過ぎますよ先輩。もっともっと叱ってほしかった…。

おすすめ記事

四季の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは