世界経由農山村 青年海外協力隊→地域おこし協力隊 100人超が活躍

青年海外協力隊を経て、地域おこし協力隊員として活躍する川野さん(左)と滝下さん(徳島県神山町で)

 青年海外協力隊を経て帰国後、地域おこし協力隊に転身した若者が、各地で活躍している。国際協力機構(JICA)の調べでは、全国で100人以上に上る。海外で新たな価値観や語学、経験を培った若者が、日本の農山村に魅力を感じ、地域の課題解決に励む。

 青年海外協力隊は、アジアやアフリカなど開発途上国に原則2年間派遣し、派遣先で国造りに貢献できる人材を育てるボランティア制度。53年の歴史を持ち、隊員数は5万人を超す。地域おこし協力隊は、地方へ移住し農業など地域活性化に取り組む人に自治体が委嘱する総務省事業で、10年前に始まった。2017年度の隊員は985市町村で4830人に上る。

 JICAの小路克雄・相談カウンセラーは「現場で住民と関わるため、両協力隊は親和性がある」と分析。インバウンド(訪日外国人)の増加もあり、農山村でも外国語で会話できる人材が求められる。小路氏は「国際協力をしてきたからこそ感じられる農山村の魅力もある。国際協力と地方創生という二つの視点を持つ若者の存在は、今後の農山村にとって大きな意味を持つ」と指摘する。
 

グローバルな視点 足元の宝探しに有効 徳島県神山町・川野歩美さん 滝下智佳さん


 徳島県神山町では、青年海外協力隊を経験した2人の女性が地域おこし協力隊員として、スダチや梅の発信を担う。

 千葉県出身の川野歩美さん(30)は得意のデザインで特産をPRするちらしを作成し、地元ケーブルテレビでリポーターと通訳を担う。地域おこし協力隊を卒業する来春以降は、古民家でゲストハウスを始める予定だ。

 20代は、青年海外協力隊員としてバングラデシュで過ごした。農村をオートバイで巡回し農民の声を聞き、コミュニティーづくりを支援。何度も通ううち、家で一番いい果実を食べさせてくれるようになるなど、アジア最貧国とされる同国で、温かい対応を受けたことが忘れられない。「豊かさとは何だろう」と考える日々だったという。

 同国で金銭や数字で測れない価値観を育んだことが、神山町の暮らしにもつながっているという。町の人からは「モジャ」(ベンガル語で、おいしいの意味)の愛称で呼ばれる川野さん。「地域にある“宝”をよそ者目線で発掘するなど、やっていることはバングラデシュにいた時と変わらない。山の恵みを生かした料理や農業ができる、神山の人みたいになりたい」と見据える。

 もう一人の地域おこし協力隊員、滝下智佳さん(38)は、ボリビアで教育関連の仕事に携わってきた。「人と話すことで何かが生まれる。私が現地の人に指導するのではなく、互いの価値観を交換してきた2年間だった」と振り返る。

 帰国後、都会生活を送っていたが、子どもが生まれたのを機に「持続可能な暮らしをしたい」と、出身地の徳島市に近い同町に家族で移住。今は、ワークショップを通じてスダチの料理発信やジャム作りに奮闘する。

 時間をかけて信頼関係を紡いできたボリビア時代の経験が、今に生きているという。「人に伝えることは一方通行じゃない。地域と暮らしと、仕事がつながる神山町の暮らしの良さを、私なりに伝えたい」と話す。
 

おすすめ記事

地域の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは