地震禍の北海道 迫る冬本番 牛舎仮住まい続く 再建いつ… 土砂撤去 水路から 作付け見通せず

土砂がなだれ込んだ池川さんの放牧地(北海道厚真町で)

繁殖雌牛の牛舎が全壊し、肥育牛舎で繁殖雌牛と子牛を飼う池川さん(北海道厚真町で)

 北海道地震の発生から6日で3カ月。被災農家は、いまだに先の見えない不安な状況が続く。牛舎を失った畜産農家は他の農家に牛を預かってもらい、毎日管理に通う日々。牛舎再建の見通しは立っていない。これから本格的な積雪シーズンを迎える。山肌が崩れ土砂がなだれ込んだ水田は、来春までに撤去が間に合わない場所もあり、経営への影響が懸念されている。(川崎勇、望月悠希)

 「土砂撤去の見通しが立たないと再建を進められない」。北海道厚真町で黒毛和種の繁殖、肥育の一貫経営を手掛ける池川勝利さん(61)は、頭を悩ませる。地震の激しい揺れで繁殖牛舎と分娩(ぶんべん)牛舎の2棟が倒壊した。約100頭いた牛のうち、全壊を免れた肥育牛舎に30頭ほどを残し、行き場を失った牛は隣の安平町の3戸の畜産農家に預ける。

 全壊した牛舎は既に撤去して更地にした。当初は元の位置に建て直そうとしたが、牛舎から放牧地までの約700メートルの山道が土砂崩れで寸断されたまま。建て直したとしても牛を放す場所がない。自宅前の水田を放牧地に使うことも考えたが、土砂が流入した上、牛舎を別の場所に建てないと作業動線が悪い。

 建てる場所を決められずに悩む間も、作業負担や経費は増える一方だ。預けた牛を世話するため、15キロほど離れた安平町へ毎日、長男らと手分けして朝と夕方の1日2回通う。牛舎の賃料に加え、高騰する燃料費などが日々かかる。全て自己負担だ。

 さらに、水田面積の4分の1に当たる約5ヘクタールに土砂や樹木がなだれ込んだままで、栽培できない状態だ。「費用負担は増えるが、収入は地震前ほど見込めない」と不安を募らせる。

 地震で大きな被害を受けた厚真町や安平町では、農地や用水路に流入した土砂の撤去が大きな課題だ。被災していない農地にも影響を与えるとして、道は用水路や排水路などに入った土砂撤去を優先する。12月10日から厚真町での作業を皮切りに各地区で進め、来年の作付けに間に合うよう、5月ごろまでに水を通せる状態にする計画だ。厚真町土地改良区は損壊した用水路や排水路、農道の復旧を急ぐ。

 農地に流入した土砂の撤去は、用水路などでの撤去作業完了後の来年度に着手する考え。来春の作付けは難しい農地が出る見通しだ。この場合、被災した農地の固定資産税など固定経費はかかる一方、栽培ができないため収入が確保できず、経営に影響を与える懸念がある。両町を管内に持つJAとまこまい広域は「収入確保のための救済措置が必要」(営農部)と訴える。

 暮らしの不安も募る。厚真町や安平町、むかわ町では仮設住宅の整備が進む。道は年内に、233戸の建設型応急仮設住宅を完成させる予定だ。民間のアパートなどを使う「みなし仮設住宅」や、町営住宅も活用している。

 入居者には農業者も多い。道は「高齢者が多く外に出たがらない人も多い。自治会組織をつくるなど、交流の場を用意することも重要」(保健福祉部)と指摘する。 
 

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