猛暑 少雨 寡照 夏場の天候不順 師走にしわ寄せ

腰の強さが自慢の正月用切り餅が製造の最盛期を迎えている(新潟県長岡市で)

 猛暑、少雨の7、8月、日照不足の9月。この夏の天候が、年末年始に需要のピークを迎える農産物や加工品に影を落としている。新潟県長岡市では、水不足によってもち米の収量が減少。正月を祝う切り餅の生産量確保に苦慮している。小豆やカブ、ユズなどにも生育不良による収量低下や日焼けといった影響が出ている。
 

原料米減で餅ピンチ 新潟県長岡市


 11月下旬、新潟県長岡市の農業生産法人杜々で正月用切り餅の製造が始まった。しかし、今年は水不足の影響で、原料となるもち米が年間必要量の7割しか確保できず、年明け後の製造を諦めざるを得なくなった。

 法人設立と同時に餅加工を始め、12年目。原料米が不足するのは初めてで、対応に苦慮している。栃尾地域の名水「杜々の森」の湧水を水源に、標高300メートルに位置する棚田で水稲15ヘクタールを社員3人で栽培する。原料米の「こがねもち」は約2ヘクタールで栽培。通常なら120俵(1俵60キロ)の収穫を見込むが、今年は3割以上減収し、80俵ほどにとどまった。

 製造過程でも、水不足の影響が原料の品質に表れている。吸水に時間がかかり、歩留まりも低下傾向だという。正月用の顧客300件分を何とか確保しようと、きねつき餅つき機1台で1日90キロを目標に必死で作業を進める。年内分は12月28日まで製造に集中する。

 林喜一代表は「餅は腰が強く、よくのびるのが特長。滑らかな舌触りの変わらぬ味でお客さんに届けたい」と力を込める。

 同市の中山間地域の作柄不振は深刻で、6月以降の少雨と8月下旬の日照不足によって、「作況指数以上に減収している」という声が上がっている。
 

小豆、ユズ、長ネギ、赤カブ… 需要期に痛い不作


 年末年始に需要期を迎える小豆は、主産地の北海道で生産量が厳しい状況だ。道内屈指の産地、JAおとふけでは6月中旬からの日照不足と低温で根が傷み、7月からの猛暑も打撃となった。多くの圃場(ほじょう)で初期生育が不良だった。影響は長引き、生育量が確保できず今年は平年に比べ3割収量が少なくなった。JAは「出荷量が減っただけでなく、粒も小さい小豆が多かった」(農産課)と明かす。

 JAあさひかわも「小豆は相当厳しかった。6月や7月の天候でかなり枯れて、豆が消えてしまったような圃場もあった」(米穀農産課)と深刻な状況を説明する。

 冬至に向けて需要が高まるユズ。JA徳島市によると、7月の西日本豪雨の後に日照りが続き、日焼け果の発生や、乾燥によって果実肥大が進まなかったという。猛暑に加えて、「秋からの高温による腐敗果の発生が心配だ」(南部営農経済センター)という。高知県のJA土佐香美でも日焼け果が発生し、生果用の一部を加工用に回すなどの対応を余儀なくされた。

 山形県鶴岡市では、7月に20日間降雨がなく、その後に断続的に豪雨が発生したことが長ネギの生育に影響した。JA鶴岡園芸特産課によると、現在出荷終盤を迎えている露地栽培の長ネギはシーズンを通し、平年比1割減の出荷量となる見込みだ。同課は「7月の日照りと8月の豪雨で土壌湿度が高くなり、軟腐病も発生した」と話す。

 8月の豪雨は、山焼き農法で作る庄内地区特産の赤カブ「田川焼畑赤かぶ」にも影響を与えた。「地元を中心とした県内の漬物加工業者へ材料として販売しているが、今年は、昨年の半分くらいしか出荷できない」(同課)と頭を悩ませる。
 

台風、豪雨も影響大


 今夏は記録的な高温となった。気象庁によると、6~8月の天候は東日本で平年に比べ1・7度高く、1946年の統計開始以来最も高かった。沖縄・奄美地方以外の全国各地で猛暑となり、農作業中、熱中症になり救急搬送される農家も続出した。

 雨の降り方も特徴的だった。6月は西日本の日本海側や東日本は曇りや雨の日が少なかった。一方、北海道は低気圧や前線の影響を受け、長雨が続いた。7月は西日本豪雨など各地で局所的な集中豪雨による被害が発生した。

 9月には広い範囲で秋雨前線が停滞した。相次ぐ台風の影響も大きく、関東から九州で降水量は多く、日照時間はかなり少なかった。 

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