[達人列伝](73)ジャガイモ 広島県東広島市・増田典生さん(70) 手間かけて甘味強く 液肥を継続、促成栽培も

「マル赤馬鈴薯」を自信持って勧める増田さん(広島県東広島市で)

 広島県東広島市安芸津町木谷赤崎地区は、ミネラル分が豊富な赤土で栽培するジャガイモ「マル赤馬鈴薯(ばれいしょ)」の産地。芋は市場で10キロ3000円の値を付けることもあり、高級ブランドとして名をはせる。マル赤馬鈴薯出荷組合の組合長を務める増田典生さん(70)は、1890年代後半から続くブランドの守り手。手間のかかる促成栽培や液肥散布、新技術の実証に取り組み、消費者に喜ばれるジャガイモ作りをけん引する。

 赤レンガ色をした酸化鉄を含む赤土は、粘土質ながら水はけが良い。同組合には約140人が所属する。主な品種は「デジマ」で春作と秋作の年2回、延べ約80ヘクタールで栽培する。

 「デジマ」の肉色は黄色で玉は丸い。きれいな外観と、ほくほくでもっちりとした食感と甘味が特長だ。増田さんは「見た目がきれいでうまさもある。自信作」と胸を張る。

 増田さんは、栽培中はほぼ毎日畑を見て回り、病害虫予防に気を配る。土を耕す前と農薬散布のタイミングには、独自に液肥を散布する。「手を掛けてかわいがらなければ、良い物は作れない」と、10アール当たり1リットルを散布。手間もコストもかける。

 「マル赤馬鈴薯」は、皮が薄くむけやすいのが難点。外観を保つため、収穫には細心の注意を払い、掘り起こした芋は手作業で集める。液肥を継続利用したことで、増田さんのジャガイモは皮がむけにくく、甘味が強く仕上がるという。

 春は、温室で芽出しした種芋を定植し、マルチフィルムを張って促成栽培する。土から芽が出たら、マルチを裂いて芽を日に当てる。手間がかかり、霜の被害にも遭いやすいため、促成栽培に取り組む生産者は少ないが、「早く欲しい」という消費者の声に応えるため取り入れる。

 今年は新たな試みとして、ドローン(小型無人飛行機)を使った薬剤散布を試験した。中山間地域特有の傾斜がある狭い農地で、作業の省力化をしていく。

 西日本豪雨で土砂災害が発生し倉庫が被災したが、 急いで再建した。「消費者に喜ばれる品物を作るのが生きがいだ。長く生産していきたい。後継者も育てていきたい」と増田さん。妻の富美江さん(68)と二人三脚で、「マル赤馬鈴薯」ブランドを守る。(柳沼志帆)
 

経営メモ


 ジャガイモ65アールを妻と栽培する。手作業で行う収穫はパートを3、4人雇う。
 

私のこだわり


 「早く欲しいという消費者のため、人よりも早く収穫できるようにする。いかにして、きれいでうまい芋を作るかが常日頃の目標」

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