[達人列伝](74)セリ 宮城県石巻市・高橋正夫さん(71) 入念水管理で太い茎 一本一本丁寧に選別・調製

セリを収穫する高橋さん(宮城県石巻市で)

 宮城県石巻市の山あいにある河北地区に、江戸時代から約300年続く「河北せり」。山からの伏流水を生かして栽培したセリは、葉が鮮やかな緑色で、すがすがしい香りやしゃきしゃきとした食感が特徴だ。12月から本格化する収穫の様子が冬の風物詩として愛され続け、正月の雑煮に使われるほど人気を誇る。そんな伝統のセリを50年以上守り続けてきたのが、高橋正夫さん(71)。「見た目が良く、太くて生き生きとしたセリ作りは水管理で決まる」と強調。寒さが厳しくなる季節も丁寧な管理に余念がない。

 水温が冷た過ぎても温か過ぎても、水位が高過ぎても低過ぎても丈夫に育たない。そのため、高橋さんは毎日小まめに天気予報を見て、雨の量や風の強さや向きなどをきちんと確認。セリ田17カ所全てを毎日巡回し、それぞれの場所で水温や水位を予測しながら、入念に水管理する。時には朝昼晩のいずれも見回り、台風が来た日でも合間を見て田んぼを確認する。

 出荷の最盛期となる冬には氷点下となり、そのままでは田んぼが凍ってしまう。そのため、近くに掘った井戸から地下水をくみ上げるなど水管理を徹底する。

 セリは根っこごと持ち上げて収穫して、田んぼで泥をしっかりと落とし、自宅に持ち帰って選別、調製する。その後、入念に水洗いして箱詰めして出荷する。

 見た目が良く、日持ちするセリを出荷するためには、選別、調製が肝心だ。一本一本、しっかりと目で見て確認する。黄色い葉や数日以内に黄色になりそうだと予測できる葉を一枚一枚、丁寧に手で取り除く。全て手仕事で行う。

 JAいしのまきセリ部会の会長を務め、部会員14人に栽培技術を継承する高橋さん。JAは「高橋さんのセリは、色つやも良く、日持ちが良いので取引先から高く評価されている。農地の管理も行き届いていて、部会員の模範だ」と(河北営農センター)と話す。

 「河北せり」は、10~2月に根ごと収穫する「根セリ」と、4、5月に茎葉を刈り取る「葉セリ」の2種類がある。「鍋物では根っこも楽しめる。茎葉は天ぷらや漬け物、おにぎりにしてもおいしい」と笑顔を見せる高橋さん。地理的表示(GI)保護制度への登録に向けても尽力する。(海老澤拓典)
 

経営メモ


 妻と娘、娘の夫と一緒にセリを55アールで生産。収穫の最盛期となる12月にはパート従業員を10人雇う。
 

私のこだわり


 「買う人の立場を考え、見た目を良くすることを心掛けている。冬場の氷点下での農作業はつらいが、喜んでくれる消費者を思い浮かべると頑張れる」 
 

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