TPP11で「輸入拡大」 国産打撃に現実味 対米協定も注視 流通業者

 米国を除く11カ国の環太平洋連携協定の新協定(TPP11)発効を踏まえて流通業者を対象に行った本紙調査では、関税削減・撤廃を機に、より安さを打ち出せる食肉や果実などで調達を強める動きが鮮明になった。TPP11による国内市場への大きな打撃が現実味を帯びてきた格好だ。日米貿易協定を見据え、米国産の扱いを探る動きが早くも出ている。

 輸出国は、高齢化などで生産基盤が弱まっている国内産地の隙を突こうとしている。牛肉の国内自給率が低下する中、大手スーパーは発効に先駆けて、今月上旬にオーストラリア産牛肉の小売価格を最大2割引き下げた。関税の下げ幅を超えた過剰な対応で、こうした流れが多くの品目で広がる恐れが強い。

 果実でブドウは、チリ、オーストラリアなどと産地リレーで周年販売を可能にし、スーパーなどが国産が出回らない時期の売り込みを図ろうとする。リンゴでは国内の供給力低下から、海外に調達先を探る動きがある。

 九州の生協は「(夏に出回る)国産の有袋物の生産が減っている」ことを懸念し、ニュージーランド産に注目。同国産は現状17%の関税が段階的に削減され、11年目に撤廃される。

 米国の動向に注視する流通業者も多かった。関東の青果卸は、日米貿易協定によって、「米国産オレンジの関税がなくなる」と予想する。オレンジの輸入先として主力なだけに、「関税が下がれば、販売効果が見込める」(別の関東の青果卸)。食肉では「TPP11発効で、米国産も価格が下がる」と西日本の生協は意識する。米国産農畜産物に潜在的な需要が強かった。

 来年1月下旬にも日米貿易交渉が始まり、2月1日には欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)が発効する。日本の農畜産物輸入が既に多い中、日本はかつてない市場開放をする。現状の国内対策が十分に機能するか検証を進めながら、農家の生産意欲を維持できる支援が欠かせない。 
 

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