自宅いつ戻れるか… 進まぬ区画整理 住民に不安の声 熊本地震仮設団地

年の瀬であっても、平日は人がまばら。高齢者には仮設住宅の中で一日を過ごす人も多い(熊本県益城町で)

 熊本地震の発生後3度目の正月を迎える熊本県の仮設団地。今も約1万世帯が県内外の仮住まいでの生活を余儀なくされる。建設業者不足でなかなか完成しない家を待つ人、町の区画整理が進まず自宅再建のめどがたたない人、災害公営住宅の整備を心待ちにする人など、多くの思いが交錯する。「生きている間に自宅を再建できるのかね」。高齢者のつぶやきが耳に残った。(木原涼子)

 2度の震度7に見舞われた益城町。18ある団地の入居率は今も6割を超える。

 その一つ、木山仮設団地では、150世帯が暮らす。冬休みに入り、子どもたちの声が響く。だが、人影はまばら。同団地東地区の荒瀬芳昭自治会長は「一日中テレビを見て過ごす高齢者が多い」と状況を話す。

 「常に暖房をつけていないと過ごせない」。仮設住居前の腰掛に座り、水上義則さん(77)は力なく話す。もう3年、自宅で正月を迎えていない。夜は底冷えで暖房がないと眠れない。部屋の天井が低く、壁も薄い。周囲の音が気になる。

 新居は家族が再建する予定だ。だが、工事が遅れ、引っ越しは来春以降。以前は近くに暮らしていた仲間も仮設を出ていった。話相手が減った。震災後には、脳梗塞をわずらった。「病気をした体にこの生活は辛い」。仮設住宅で暮らしながら、リハビリを続ける日々だ。

 JAかみましきの理事でスイカ農家の吉田一浩さん(66)はやっと引っ越しが決まった。地震直後の16年8月から息子の名義で自宅再建を進めてきた。自費で解体工事はしたが、業者不足で新居の着工は進まず、更地の状態が1年半続いた。「高齢者では新居のローンが組めない。災害公営住宅の入居を心待ちにしている人が多い」と実態を代弁する。

 月に数回、交流スペースにはぎれや道具を持ち寄り、人形やバッグ作りで交流する女性たち。「生きている間に自宅があった場所に帰れるのか」。元スイカ農家の吉村カヨコさん(70)は仲間と話し合う。

 自宅のあった同町木山地区は町の中心部。町の区画整備場所に該当している。町によると最終的に区画整理が完了するのは2028年3月。10年後だ。計画の全容は分からない。吉村家の新居再建は見通しが立たないままだ。

 益城町では1月から災害公営住宅の入居が始まる。第1弾は木造平屋の住居36戸分のみ。町は685戸を20年にまで完成させる計画だ。そのため県は、3年としていた仮設住宅の入居期限を1年延ばす方針だ。

 JA益城支所の松本和文支所長は、「将来的には仮設の集約という話も出てくるかもしれない。仮設内の安否確認などの情報伝達も含め、自治能力を弱めてはいけない。地域のJAとしてこれからも寄り添っていきたい」と強調する。
 

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