TPP11発効 再協議は不透明

 米国を除く11カ国による環太平洋連携協定の新協定(TPP11)が30日、発効した。焦点だった牛肉セーフガード(緊急輸入制限措置)の発動水準や乳製品の低関税輸入枠は、当初参加していた米国を含む水準を維持。見直しに向けた再協議の動向も不透明なままでの発効となった。加盟国の閣僚は1月19日、東京都内で「TPP委員会」の初会合に臨み、加盟国拡大への対応を協議する。国内農業にどのような影響が出るか注視が必要だ。
 
 世界の国内総生産(GDP)の13%を占め、域内人口が5億人を超える新たな経済圏となる。新協定は、参加11カ国のうち国内の議会承認手続きなどを終えたメキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアの6カ国域内で適用された。来年1月14日にはベトナムも加わる。

 来年2月には欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)も発効し、日本の通商戦略は新たな局面を迎える。

 TPP11発効によって、農林水産物の約53%で関税が即時撤廃された。段階的に削減する品目は4月から2年目の水準になる。牛肉だと現在の関税率27・5%(オーストラリア産冷凍は26・9%)は、4月から全て26・6%に下がる。

 輸入枠は、発効月の今年12月~来年3月の4カ月分を計算する。例えばバター・脱脂粉乳の1年目は協定上計6万トン(生乳換算)だが、実際は2万トン。2年目は協定通り6万2000トンとなり、以後増えていく。バター・脱脂粉乳の輸入枠「TPP枠」は、米国を含む水準のまま見直されていない。牛肉のセーフガード発動水準も同様だ。

 TPP11には、米国の復帰が見込めない場合、こうした枠を見直す再協議規定が盛り込まれた。米国と貿易協定交渉入りに合意してもなお、日本政府は見直しには後ろ向きだ。発効後、枠は加盟国が満たす見通し。セーフガードは機能しない可能性が高い。仮に見直し条件がそろっても加盟国が縮小に応じるかは見通せない。

 発効後、新たな焦点となるのが新規加盟国の動向だ。加盟のルールや是非は、協定の最高意思決定機関のTPP委員会で判断する。加盟手続きを終えて60日たった「締約国」が正式な構成員になる。初会合の時点では、日本など7カ国がそれに当たる。

 新規加盟を希望する国は、同委員会に通知する。締約国は同意すれば作業部会を立ち上げ、分野別に事務レベルの交渉を進める。候補の筆頭はタイだ。早くから加盟への意欲を示してきた。米や鶏肉、砂糖などで有力な対日輸出国でもあり、注視が必要だ。

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