酪農教育ファーム 大切な命 伝えたい 担い手は農高生 学び深めて共に成長

飼養している乳牛「ショウチュウ」を囲む相原高校畜産科学科の生徒。多い時は週に4回の酪農教育ファーム活動に取り組む(神奈川県相模原市で)

 酪農を通じて、食や命の大切さを伝える酪農教育ファームで農業高校が活躍している。農高の認証牧場は年々増え、昨年11校に達した。学校内の牧場を小学生や保育園などに開放。交流が、お互いの学びの場となる。酪農教育ファームの取り組みは、発足から20年。高校生をその担い手とし、新たな広がりを見せる。(鈴木健太郎)

 神奈川県相模原市の県立相原高校。同校の乳牛を子どもたちが囲んだ。搾乳体験した同市の坂詰晃生君(3)は「牛のおっぱいって温かいね」と興奮気味に話した。

 同校は、JR横浜線橋本駅から徒歩2分。住宅に囲まれる。2011年に認証牧場になった。牛15頭や豚30頭を飼養。同校では牛乳や肉の即売会、搾乳体験を行うイベントを定期的に開く。

 酪農教育活動は、授業や部活動(畜産部)の一環。近隣の保育園からの申し込みが多く、週4回実施することもある。体験内容の企画は、全て生徒が行う。畜産部の部長を務める畜産科学科3年の山田実沙季さん(18)は「まずは動物に触れて親しんでもらう。最初は鼻をつまんでいた子どもも、最後は平気になるんですよ」と笑みを見せる。山田さんの将来の夢は酪農家だ。

 伝えるのは命の大切さだ。牛乳は本来、子孫(命)を育てるためのもの。「牛の命を分けてもらっているということを伝えたい」。畜産部の思いだ。

 同校畜産科学科の小笠原直樹教諭(33)は、「教えることで生徒の学びが深まる。幅広い世代との交流もいい経験だ」と学習効果を実感する。
 

認証11校に 消費拡大も


 兵庫県加古川市の県立農業高校は、18年4月に認証を取得。生徒の提案だった。取得後は小学生を対象に2回の活動を行った。同校の岡本記佳教諭(41)は「(活動を通じて)生産するだけでなく“伝える”ことで消費拡大につながることを学んでいる」と話す。

 安全面など一定の条件を満たして酪農教育に取り組む認証牧場は現在は、全国で287。農高はその一部だが、関係者の期待は大きい。中央酪農会議は「酪農家の戸数が減る中、酪農への理解を深める担い手になっている」と今後の広がりを期待する。

 認証制度は01年にスタート。認証牧場数は、10年の口蹄(こうてい)疫発生以降は、ほぼ横ばいで推移する。高齢で活動をやめる事例も増えており、担い手の掘り起こしが課題となる中、農業高校の参入は新たな力になっている。ファームを体験する消費者は年間約46万人。小・中学校などを通じた体験者は約20万人を維持し、変わらないニーズがある。
 
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