食料自給率向上の施策 「中小農家支援」65% 米需給で不安強く 本紙JA組合長アンケート

 日本農業新聞は、JAの組合長、理事長を対象に行った調査結果をまとめた。低迷する食料自給率の向上策で「中小規模の農家を含めた多様な担い手を対象とする所得政策の実施」が必要との声が65%と3分の2を占めた。地域農業の問題(複数回答)に87%が「高齢化・担い手不足」を挙げており、生産基盤弱体化が進む中で、中小農家を含めた支援が必要とする。米の生産調整見直しでは「大幅な需給緩和が不安」(45%)、「政策が不十分」(42%)との回答が多かった。

 全国のJAを対象に2018年11、12月に行い、511JA(回収率79%)から回答を得た。

 自給率向上に向けて必要な施策では、「親元就農を含めた新規就農支援対策の強化」(13%)、「農地基盤整備の強化」(8%)などが続き、多様な担い手支援が必要との声は際立って多かった。

 背景には、地域農業の担い手不足があるとみられる。地域農業にとって今後重要度が増す農業政策(複数回答)では、「所得補填(ほてん)など経営安定対策」が55%で最も多く、「担い手育成対策」「農業の労働力確保対策」が44%で並んだ。

 自由記述では「中山間地域を中心に家族経営の再評価など、風土に適した地域農業を視野に置くべきだ」「中小農家も地域農業者であり、農地維持に貢献している点に留意した政策を望む」「現在の農政は大規模農家や担い手に偏重した政策に集中している。中山間地や小規模家族経営農家が安心して農業を継続できる仕組みと支援が必要」など、地域政策を手厚くすることを望む声が目立った。

 全国のJAのトップは、生産基盤弱体化への危機感を強めている。今年は、新たな食料・農業・農村基本計画の見直し議論が本格化するだけに、活発な議論が求められる。

 米の生産調整見直しでは、大幅な需給緩和への不安や、豊作時の対策がないなど政策が不十分との指摘が挙がった。「民間主導でも需給調整を進められるため問題ない」としたのは7%だった。その他記述では「食料の安定供給に不安がある」「作ったもの勝ちの無法生産にならないか心配」など、不安を訴える意見が挙がった。

 一方、JA経営の厳しさも浮き彫りになった。JAを巡る事業環境を「以前より厳しくなった」としたのは95%。その理由(複数回答)として「組合員の減少、高齢化、世代交代」が80%で最も多く、「信用・共済事業の伸び悩み」が57%で続いた。特に信用・共済事業の伸び悩みは前回15年調査に比べて12ポイント増と大きく増加。「農協改革」(36%)を挙げる声もあった。

 経営基盤強化に向けた今後の重点分野(複数回答)を聞いたところ、「農産物などの販売強化」(50%)、「農業施設の効率的な運営」(48%)、「農業生産の拡大」(45%)を挙げる声が多く、営農・経済事業の伸長や効率化に活路を見いだそうとする姿勢がうかがえる。「店舗再編などの合理化」も47%を占めた。 
 

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