[あしたのデッサン] 温暖化と災害 共助の精神で地域防災

 熊本県和水町で震度6弱など、今年は地震で幕を開けた。地球温暖化は進み、気象災害も激しさを増す。災害はいつでも起きるという心構えを持ち、命を守ろう。防災・減災に向け、自分たちの地域は自分たちで守るという「共助」の精神が求められている。

 近年の災害を見ると、2015年の関東・東北豪雨、17年の九州北部豪雨、18年の西日本豪雨をはじめ、巨大化する台風や、大地震による被害が相次いでいる。国土交通省によると18年の土砂災害発生件数(速報値)は3451件。西日本豪雨が影響し、1982年の集計開始以来、最も多かった。死者・行方不明者数は161人に上り、過去3番目に多かったという。

 甚大な災害からどのように命を守り、地域を維持していくか。キーワードは「共助」だ。政府がまとめた18年版の防災白書によると、「共助」と自分の命を自分で守る「自助」に重点を置くべきだとする人が6割を超え、15年間で倍増したことが分かった。住民が主体となって防災マップを作ったり、ハザードマップを確認したりと、地域の防災力を高める取り組みが各地で広がっている。

 一方、全国で少子高齢化が進み、農山村のコミュニティー機能が弱っている。地域の力が衰退することは、共助の弱体化につながり、被害の拡大を招く。

 西日本豪雨発生時の住民避難の在り方などを議論していた広島市の検証委員会がまとめた報告書では、災害時に住民同士が危険性を伝え合う「声掛け避難」を推進すべきだと提言した。「自分は大丈夫」と考え、避難しなかった人が多かったことを教訓にした。日頃から近所で声を掛け合いながら避難する訓練を実践すべきだとしている。声掛けの訓練をすることで、住民同士の顔が見える関係の再構築につながる。

 予測技術の高度化も求められる。「観測史上初」の大雨が頻発し、「数十年に一度の現象」を示す「特別警報」は13年の運用開始以来、10回発令された。気象庁は18年、新しいスーパーコンピューターの運用を開始した。これまでに比べて性能は10倍。今後、台風や集中豪雨の発生など、早い段階から把握して防災気象情報を強化していくという。

 気象庁気候情報課の竹川元章予報官は、本紙のインタビューで、地域ごとに発信している気象情報を活用するよう呼び掛けている。天気の影響を受けやすい農業だけに、今日、明日といった直近の情報だけでなく2週間、1カ月、3カ月先の長期予報にも目を向けることが大事と指摘する。

 長い目で見れば、環境に優しい農業の実践など、異常な気象にブレーキをかける取り組みが肝要だ。異常が“常態化”している今こそ、そのことを認識し、個人で家族で地域で命を守ろう。
 

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