[達人列伝](75)ミツバ 茨城県土浦市・柳澤 浩二さん(47) 苗移植で14回転実現 環境データ管理し収量増

ミツバの生育を確認する澤さん(茨城県土浦市で)

 ミツバの水耕栽培で、一般的な生産者の倍の単位収量を上げる農家がいる。茨城県土浦市の柳澤浩二さん(47)だ。収量が多いからといって、品質を下げるわけではない。JA土浦施設園芸水耕みつば部会の一員として、「天の川みつば」のブランド名で出荷。爽やかな香りと食べやすさで人気だ。移植を取り入れて、回転数を上げた。単価が安値の時期の10倍にもなるという年末に2回転できるメリットもある。

 ハウスに入ると爽やかな香りが漂う。柳澤さんが丹精し、自信を持って周年栽培している「天の川みつば」の香りだ。以前は、日持ちするように固めの品を出荷していたが、7、8年前から柔らかく口当たりが良い状態で出荷するように切り替えた。JA営農生活課の羽成貴哉さん(27)も「年間を通して品質がそろっていて素晴らしい」と太鼓判を押す。

 モットーは「苗八分」。良い苗を作れば、良い作物ができるという父、利夫さん(77)の教えを守り、移植のタイミングの見極めは、従業員が増えても柳澤さん自身がしている。

 一般的なミツバの水耕栽培は年間6、7回転だが、柳澤さんは倍の13、14回転させている。秘訣(ひけつ)は、苗の移植。ミツバの水耕栽培では複数の穴が開いたパネルを養液の入ったベッドの上に並べ、それぞれの穴に苗を植えて育てる。一般的には64穴のパネルを使うが、柳澤さんの場合、120穴のパネルで苗を育てる。混み合う直前の苗が12、13センチの高さに育ったところで、64穴パネルに移植して栽培する。苗を一度に多く育て、移植するひと手間を加えることで、ベッドが空く期間をなるべく減らし、回転数向上につなげている。

 穴を増やせば収量が増えるが、あまり増やすと風通しが悪くなり、病気が発生したり、苗が細くなったりする懸念がある。このため移植が重要となる。

 他の工夫にも熱心だ。4年ほど前から湿度や温度をデータ管理し、収量を上げ品質を高く保つ。炭酸ガスも取り入れ、通常よりも長く正午ごろまで使うことで成長を促進させた。今年から導入したミストは冬場も使い、生育に適した70~80%の湿度に保っている。

 目標は年15回転。柳澤さんは、「適切なタイミングを見極め、全ての作業を詰めていきたい」と新年の目標を掲げる。(山本一暁)
 

経営メモ


 水耕ミツバを約66アールで栽培。栽培ベッドの空きを減らし、年間13、14回転させ、収量向上に余念がない。労働力は妻と娘夫妻、従業員ら計20人。2017年は30万ケース(1ケース10袋)を出荷した。
 

私のこだわり


 「ミツバ作りは苗八分。良い苗を作れば、良い作物ができる」 
 

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