障害者 農高生 授業通じて相互理解を 農福連携―向き合うきっかけに

 障害者が活躍する場の確保と農業の担い手拡大の両立を目指す農福連携を授業に取り入れる取り組みが、全国の農業高校で広がってきた。一緒に農作業をすることで、障害者と農高生の相互理解を育むきっかけにもなっている。障害者が活躍できる雇用の在り方を考えた就農を見据える農高生もいる。

 障害者支援施設の利用者と一緒に野菜を栽培する授業を展開する、福島県鏡石町の県立岩瀬農業高校。昨年12月には、ヒューマンサービス科の3年生と社会福祉法人「矢吹厚生事業所」の利用者が参加し、収穫したサツマイモの料理会を同校の調理室で開いた。高校生3、4人と利用者1人がグループを組んで調理。高校生が丁寧に教えながら協力してサラダやきんぴら、スイートポテトなどを作った。クッキーを焼いた鈴木義信さん(65)は「高校生と一緒に収穫したサツマイモを、おいしく料理できた。来年も参加したい」と笑顔で話す。

 同事業所の作業指導員、石川マキ子さんは「普段は触れ合うことがない高校生と一緒に作業できることが刺激になり、育てた野菜を自分で食べることで達成感を覚えられる」と障害者へのメリットを説明する。

 同科では園芸福祉を学ぶコースがあり、子どもや高齢者と花きや野菜作りに取り組む。農福連携の授業は生徒から「障害者とも一緒に活動したい」との声が上がったことがきっかけ。障害者自立支援施設を見学したり、障害者の就労の実態を調べた。同校の昼休みに利用者が製造した弁当を販売していた同事業所に声を掛け、昨年4月にスタート。品目は、高校生が障害者の作業のしやすさを考えて、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ダイコンなどを選んだ。

 同校の20アールの畑で、高校生が障害者にアドバイスしながら、土寄せ、種植え、収穫などに励む。

 生徒の矢吹梨咲さんは「障害者との関わりがなかったので、最初は協力できるか不安だった。一緒に作業や交流を重ね、自分たちと変わらずコミュニケーションできることが分かり、うれしかった」と笑う。

 将来は農家になりたいと希望する生徒の柳田幹弥さんは「障害者を雇用して一緒に働ける農園をつくりたい」と意気込む。

 同校と同事業所は来年度以降もこの授業を継続する予定だ。

 指導する金成理恵子教諭は「人手が足りない農業と工賃を上げなければならない障害者福祉──という地域の課題に向き合うきっかけになる。障害者が農業をするのに、何が課題でどうやって解決するのか、という視点で常に考えて勉強できている」と話す。 同じ世代同士が一緒に活動している農高もある。北海道大野農業高校(北斗市)では、北海道教育大学付属特別支援学校高等部(函館市)と、農作業を通した交流を30年以上続けている。

 同高校の畑を使い、生活科学科の1年生が、同支援学校の生徒にアドバイスしながら、エダマメ、ジャガイモ、トウモロコシを植えて収穫。来年度も続ける予定だ。

 同高校の中澤誠史生活科学科長は「一緒に土に触れ、農作物を収穫する喜びを両校の生徒が共有し、相互理解につながっている」と強調する。
 

“特別”を“当たり前”へ 農福連携を研究、推進する酪農学園大学の義平大樹教授の話


 農業を志す高校生が農福連携の内容や意義を学び理解することで、将来就農する際、障害者が働きやすい環境づくりに力を入れてくれると期待している。

 現在、農福連携は特別な取り組みと認識されている。高校での授業をきっかけに、当たり前の活動であるとの認識が広がるのではないか。全国の農業高校に広がってほしい。

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