クイズ番組を見て、ぼけ防止にと

 クイズ番組を見て、ぼけ防止にと家人と競って考えたりする▼昔から謎解きは盛んだった。室町時代の『後奈良院御撰何曾(ごならいんぎょせんなぞ)』には、いろいろななぞなぞが載っている。代表的なものを引く。「母には2回会うけど、父には1回も会わない」ものとは。母の発音が当時「ファファ」だったことを知っている博識な人なら、答えはたやすい▼江戸時代には、文字や絵画にある意味を隠して、それを当てさせるのがあった。「判じ物」と呼ばれる。例えば「春夏冬二升五合」。「春夏冬」は秋がないので「あきない」と読み、二升は「升升」で「ますます」となる。五合は「半升」で「はんじょう」。答えは「商いますます繁盛」。いまでも酒屋の看板で見掛ける「ビール冷えて●(ます)」も同じ部類に入る▼作家の井上ひさしさんが生前、劇団研修生の採用試験で出した作者名を書かせる問題に思いもよらない答えが返ってきた(かっこ内が正解)。『網走まで』高倉健(志賀直哉)。『伊豆の踊子』山口百恵(川端康成)。『ファウスト』王貞治(ゲーテ)。受験者の年代をうかがわせる愚答珍答である。『巷談(こうだん)辞典』(河出文庫)にある▼先のなぞなぞの答えは、「唇」。テレビやラジオ、インターネットもない時代に興じたいにしえの暮らしに思いをはせる。
 
編注=●はますの記号 

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