[達人列伝](76)キウイフルーツ 和歌山県紀の川市・中垣芳久さん(64) 樹勢管理で甘さ十分 つぶさに観察、毎日継続

県内でいち早くキウイフルーツの栽培に着手し、産地化に貢献した中垣さん(和歌山県紀の川市で)

 全国指折りのキウイフルーツの産地として知られる和歌山県紀の川市。この地で高糖度のキウイフルーツ作りの名人として産地をけん引するのが中垣芳久さん(64)だ。1975年に県内でいち早く栽培に着手。和歌山では“キウイフルーツの父”的存在だ。2016年には全国果樹技術・経営コンクールで最高位の農水大臣賞に輝いた、産地が誇る篤農家だ。

 中垣さんのキウイフルーツは甘さが売りだ。JA紀の里の高糖度ブランド「熟姫(うれひめ)」の選定基準は収穫前の糖度が13・5以上。その割合は管内で生産される1割にも満たないとされるが、中垣さんは過去に自身の園地で実る全てを「熟姫」として出荷した実績を持つ。

 担当するJA営農センターは「全てが熟姫として出荷できるのは異例中の異例。キウイフルーツの栽培を知り尽くした中垣さんだからなせる技だ」と絶賛する。

 甘さの秘訣(ひけつ)は徹底した樹勢の管理だ。園地を小まめに見回り、樹木や土壌などの状態をつぶさに観察。摘らいや摘果で数を絞り込み、高品質化に欠かせない微量要素の葉面散布のタイミングを見極める。また、園地にかん水設備を張り巡らす。キウイフルーツは乾燥や過湿に弱いためで、約5メートルごとにパイプを配置し、水分をコントロールする。

 「一発でおいしい果物を作り上げる魔法のようなものはない。つぶさに観察し小まめに管理する。ベーシックなことを毎日こつこつとこなすことが一番大切」と力説する。

 常に試験栽培に挑戦する。キウイフルーツを栽培するきっかけが、当時最も栽培面積が多かったミカンの価格暴落だったからだ。過去の経験を踏まえ、常に先を見据えて時代の流れに適応しようと、試験園には他地域で栽培される梨や桃、リンゴなどが植えられている。

 「私にとって 果樹栽培は仕事であるが、趣味でもある。気になる果樹があればすぐに取り寄せて育てたいという気持ちを抑えることが できない。いつまでも好奇心を忘れず、常に挑戦する気持ちを持ち続けたい」と力を込める。(前田大介)
 

経営メモ


 1ヘクタールで「ヘイワード」を栽培。江戸時代から続く農家で、第17回全国果樹技術・経営コンクールで妻の加代さん(60)と共に農水大臣賞に輝いた。
 

私のこだわり


 「大切なのはつぶさな観察や小まめな管理を毎日続けること。一発でおいしい果物を作り上げる魔法のようなものはない」 
 

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