[達人列伝](77) イチゴ「越後姫」 新潟県新発田市・本間正司さん(68) 水管理 根をしっかり 温湯消毒でうどんこ抑制

「越後姫」にほれ込み、栽培技術を追究する本間さん(新潟県新発田市で)

 新潟県新発田市の本間正司さん(68)は、県独自のイチゴ品種「越後姫」にほれ込み、約30年間、栽培技術の向上に努めてきた。1996年に品種登録される以前から試験栽培に協力し、「越後姫の生みの親は県だが、育ての親は私だと思ってやっている」と笑う。他の主産地に比べ気温が低く日射量が少ない同県の気象条件の中、長年連れ添った“相棒”の癖や特長を見抜き、高品質果実を生産する。

 イチゴ栽培で最もこだわるのは水だ。その年の気候にもよるが、定植してから3週間は水だけをたっぷりやって根を張らせる。「イチゴは水で作れ」がモットーだ。「根がしっかり張ると株が培地に沈む。そうなれば大丈夫」と、培地の中の根の状態を日々の観察で見極める。「イチゴは反応が早い作物。少しのかん水量の違いや1日の作業の遅れで、出来栄えが全く違ってくる」という。

 出荷時期は高単価が期待できるクリスマス需要に照準を合わせるのが一般的だが、本間さんは「クリスマス需要の期間は短く、12月は日照が少ないので果実の色が乗らない」ため、日射量が回復する2月10日ごろにピークを合わせる。無理に頂果房を早くならせると、収量の多い二、三番果まで時間がかかるため、わざと定植時期を1カ月ほど遅らせる。

 本間さんの頭を長年悩ませてきたのが、うどんこ病だ。さまざまな薬剤を試したが、一度発生すると抑えることができず全滅した年もあった。しかし、数年前から、ポットに鉢上げする前に温湯消毒処理し、その後、開花するまで1週間に1度程度薬剤防除することで、発病を抑えることに成功した。

 JA北越後のいちご部会長を約10年間務め、ポット育苗や高設栽培の導入、首都圏への販売など、産地のためにさまざまな改革を実践してきた。現在は研修生を受け入れ、後進の育成に力を注ぐ。 ただし、教えるのは1年間。基本技術を教えた後は自ら栽培させ、考えさせることで成長を促す。研修生には「私と同じことをしても同じにはなれない。工夫を重ね自分なりのブランドをつくれ」と教えている。

 「やる気のある若い人が増えているのはありがたい。これからの産地を背負っていってほしい」と期待をかける。(雫石征太郎)
 

経営メモ


 イチゴ「越後姫」を1914平方メートルで妻と栽培する。収穫期にはパートを2人雇う。その他、野菜1ヘクタール。
 

私のこだわり


 「収穫より創意工夫する過程の方が喜びが大きい。越後姫がどこまで進化できるのか、品種としての限界を確かめたい」 
 

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