「積もった重さ」一目で 雪下ろし目安に 地図上で7段階表示 計算システムを新潟、山形で活用

防災科学技術研究所が運用する「雪おろシグナル」の閲覧画面。地図上に積雪の重さが色分けされる

 積雪時に屋根の雪下ろし作業をするかどうかの判断に役立つ積雪荷重計算システム「雪おろシグナル」が新潟、山形の両県で活用されている。ホームページ(HP)上の地図に県内の積雪状況を「重さ」で色分けして表示し、適切なタイミングを知らせるもの。1月中旬から2月上旬は雪害事故の発生が特に多くなる時期。後を絶たない除雪作業中の事故防止へ、最新技術の開発や人材育成など安全対策が進む。
 
 システムは防災科学技術研究所と新潟大学、京都大学が共同で開発した。昨年1月に新潟県で運用が始まり、山形県で今月16日から、富山県でも2月に開始する予定だ。

 積雪の深さが同じでも雪の密度で重さが違うことがあり、雪下ろしの判断が難しい。そのため、気象庁の気温や降水量などのデータと積雪の深さを集め、雪が融ける量や重さの変化を計算し、地域ごとの積雪重量を算出する仕組みを開発した。

 県のHPなどから雪おろシグナルのウェブサイトにアクセスすると、積雪の重さが一目で分かるよう7段階に色分けされた地図が表示される。知りたい場所を拡大してクリックすると、地域の積雪重量の値を見ることができる。

 雪下ろしを行う基準となるのは「黄色」で、1平方メートル当たり300キロ以上。建物が倒壊する危険がある700~1000キロは「赤」で表示される。前回の雪下ろしの日時を入力することで、現時点の屋根の雪がどれくらいの重さになったかが分かる。

 同研究所によると、昨冬に新潟県で運用を始めたところ、5万6000件の閲覧があり、記録的な大雪となった2月には1日で6000件を超えた。県外からの閲覧も多く、出身者が実家の状況を知ったり、空き家の管理に役立てたりするために使うこともあるとみる。今後、自治体のデータと組み合わせて、空き家の除雪時期を把握するなど、地域の防災力の向上に生かすことも検討しているという。

 平島寛行主任研究員は「屋根の雪下ろしは安全なうちに行えば建物の倒壊が防げるが、回数が増えれば事故のリスクも高まる。適切なタイミングを知るために活用してほしい」と話す。
 

転落注意 命綱、安全なはしご使って


 総務省消防庁によると、昨冬(2017年11月~18年3月)の雪の被害は死者116人。雪下ろしなど除雪中の事故が102人で、そのうち、86人が65歳以上の高齢者だった。今冬は16日時点で、山形県で4人、北海道で3人など死者10人、重傷は57人となっている。昨冬と12月末時点で比べると、死者、重傷ともに半減したという。ただ、山形県の調査では、県内の死者は18日時点で7人に上る。

 長岡技術科学大学の上村靖司教授によると、除雪作業中の事故の6、7割は高い所からの転落による。屋根除雪での命綱の着用は、命綱をつなぐポイントがないことから、ほとんど進んでいないという。上村教授は「まずは命綱を家屋に固定する金具(アンカー)の設置を進めることが必要だ」と強調する。新潟県では魚沼市などで設置にかかる費用の助成をしている。

 また、最近の調査では屋根からだけでなく、はしごからの転落が多いことが分かってきた。はしごが横に滑ったり、屋根に移るときに転落したりといった危険がある。上村教授が代表を務める「越後雪かき道場」は、メーカーと協力して安全性を高めたはしごを開発して市販化した他、講習会を各地で開催して、除雪の安全対策の普及を行っている。

 国土交通省は今年度から、専門的な知識や技術を持つアドバイザーを派遣し、安全対策や地域ぐるみの除雪を支援している。
 

23、24日 北日本で吹雪 27日から西日本に寒気


 気象庁によると、北海道や東北の一部地域では平年並みかそれ以上の雪が降っており、雪下ろしに苦慮している。一方で関東甲信以西では強い寒気が南下しにくく、暖冬傾向で、内陸や山地を除き、平地では平年より積雪が少ない。

 積雪の深さは21日午後1時時点で青森市酸ケ湯で339センチ、20日時点の11月からの累積積雪量は796センチで平年比96%、山形県大蔵村は積雪深が238センチ、累積積雪量は633センチで同90%。昨年2月に記録的な大雪となった富山市では累積積雪量は39センチで同25%だった。

 一方で、岩手県久慈市では累積積雪量は120センチで同218%、秋田県横手市は477センチで同130%などと平年に比べて雪が多い。北日本では先週、寒気の影響で大荒れの天気となり、北海道では暴風雪により視界が遮られるホワイトアウト現象が各地で発生、鉄道の運休などの影響が出た。21日には北海道安平町で1月として3時間降雪量が過去最高の32センチを記録、局地的な大雪となった。

 今後、23日から24日にかけて、北日本では低気圧が通過し冬型の気圧配置が強まることから、日本海側を中心に、北海道太平洋側でも吹雪となる恐れがある。また、27日ごろには西日本に寒気が入りやすくなり、雪となる所があり、雪下ろしや雪かき中の事故に注意が必要だ。

 同庁は今後の雪の見通しについて「一時的にそれなりに降るところもあるが、平年と比べて雪が少ない傾向が続く」(気候情報課)とみる。

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