[達人列伝 78] 中晩かん 松山市・山岡 建夫さん(66) 作業分散で品質向上 リレー栽培導入の先駆者

「作業しやすい園地が良い果実を生む」と話す山岡さん(松山市で)

 かんきつ生産量全国一を誇る愛媛県。松山市から船で15分ほど沖合にある興居島の山岡建夫さん(66)は複数の品種を導入し、長期間かんきつを出荷するリレー栽培の先駆者だ。今では山岡さんの園地構成を管内の多くの農家が採用する。特色あるさまざまな県産かんきつをより多くの人に食べてもらうため、食味の良い果実の安定出荷で産地を支える。

 「かんきつ栽培は管理の基本を徹底することだ」。人と違う特別な管理方法を取るわけではないが、山岡さんの園地は露地、ハウスともにしっかりと剪定(せんてい)が行き届き、均一な高さにそろった木が並ぶ。開心自然形で、木の内側まで日光が入るように仕立てる。基本を徹底するための秘訣(ひけつ)は、約半年間続く多品種のリレー栽培にある。

 栽培する品種は現在6種類。もともとは伊予カンだけを作っていたが、価格が低迷した約20年前に、県の試験場で有望品種を探し、施設中晩かんの導入を始めた。

 山岡さんは「周年で作業ができる園地にすることで、全ての品種に手が行き届き、品質の高位平準化が図れる」と説明。2018年度の成績は、施設「紅まどんな」(品種名=愛媛果試第28号)の「特選」比率が管内平均を4ポイント上回った他、伊予カンの価格は1キロ平均200円と同4割上回るなど、出荷するかんきつの全ての品質が高水準だ。

 年間のスケジュールは、早生ミカンの収穫が11月中旬から始まり「愛媛果試第28号」や伊予カンの収穫、出荷が続く。1月中旬から加温ハウスの「せとか」が始まり、「甘平」を1月下旬から出荷する。露地「せとか」の収穫が3月上旬から始まり、「南津海(なつみ)」が4月中旬から5月中旬まで続き、約半年続くかんきつの収穫、出荷を終える。地元のJAえひめ中央営農部は「かんきつ経営でリレー栽培を導入した先駆者」と評価する。

 特に力を入れるのは「紅まどんな」の栽培だ。品種登録された05年からいち早く経営に取り入れた。食味にほれ込み自ら松山市長に売り込んだこともあった。

 まだまだ探究心は衰えない。愛媛県はかんきつの新品種の開発を進めており、山岡さんは導入に期待を寄せる。「愛媛県ならではのかんきつを消費者に届けるために、最適な品種の組み合わせをこれからも模索したい」と意欲を見せる。(丸草慶人)
 

経営メモ


 6種類のかんきつを3・3ヘクタールで栽培する。昨年息子に経営移譲した。第10回全国果樹技術・経営コンクールで最高位の農水大臣賞に輝いた。
 

 私のこだわり


 「施設の温度や水管理、木全体に日が当たるような剪定、摘果など、基本作業の徹底がおいしいかんきつを作る」 

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