関東~近畿1カ月雨なし 太平洋側 カラッカラ 野菜、果樹 水やり懸命

敷きわらをした苗木の確認をする市川さん(山梨県笛吹市で)

 関東や東海、近畿地方で降水量が極端に少ないカラカラの状態が続く。茨城県や埼玉県では、この1カ月ほぼ全域で降水ゼロ。露地野菜や果樹産地では、かん水の頻度を増やすなどして対策に懸命だ。関東地方では、31日に雪か雨の予報が出ているものの、引き続き乾燥に注意が必要だ。一方、西日本では暖冬とみられる影響で、作物の生育前進や病害が発生している。

 山梨県笛吹市の農家、市川博一さん(65)は「こんなに乾燥している年は珍しい。おいしい桃を食べてもらうため乾燥対策は必須」とかん水に懸命だ。この他、根元にわらを敷くなどして、水分の蒸発を防いでいる。

 果樹地帯では、若い木や樹勢の弱い木などへの影響が懸念される。JAフルーツ山梨、JAふえふきなどは放送などでかん水を呼び掛ける。県農業技術課は、剪定(せんてい)も登熟具合や樹勢を確認し、厳冬期を過ぎてからの作業を指導する。

 関東各地では、タマネギやブロッコリーなどの生育が止まったという声が出ている。一部自治体は、ホームページ上でマルチフィルムや防風ネットの設置などの対策を紹介している。

 東海地方では、静岡の3河川と愛知の1河川で渇水対策本部を設置。特に静岡県内では少雨の影響で河川の一部が干上がる「瀬切れ」が発生するなどしており、天竜川水系と大井川水系で昨年末から取水制限を実施している。浜松市北区のJAみっかびは29日付で、ミカン生産者にかん水を呼び掛けるメールを送付。管理徹底を呼び掛けた。

 愛知県内ではスプリンクラーによるかん水を徹底する。JA愛知みなみの営農担当者は「これまで農作物への被害はない」とする。JAあいち中央管内では、収穫最盛期のニンジンと定植時期を迎えているタマネギ畑にスプリンクラーを設置。JAは「生育は順調なだけに、枯れないよう注意してほしい」と話す。

 兵庫県のJAあわじ島管内では、10月末~11月上旬に定植したレタスの一部で、生育遅延が発生。畝間かん水を農家に促す。対策の効果もあり、「出荷量全体への影響はなさそう」(営農部)としている。
 

「雪下野菜」断念 病害早期発生も


 豪雪地帯として知られる島根県飯南町では、暖冬とみられる影響を受けている。JAしまね雲南地区本部は雪を活用して昨年から始めた「雪下野菜」の出荷を断念した。

例年は雪が1メートルは積もるが今冬の積雪は20センチほど。雪の下に貯蔵した野菜を2、3月にかけて販売する計画だったが、気温が高く生育が進み、12月末には出荷を余儀なくされた。

 同野菜の取り組みは農家の冬の収入源や、「南限の雪下野菜生産地」として観光資源にするのが狙い。同地区本部の高橋英次営農指導員は「生活面では楽だけど、出荷は大変だ」と頭を悩ませる。

 岡山県病害虫防除所は24日、タマネギべと病に注意を促す防疫情報を関係者に通知した。例年は3、4月に確認されるが、既に全体が感染症状を示したタマネギが県南部で発生。昨年11月下旬から12月に気温が平年より高く、12月は降水量が多く、病気が発生しやすい気候条件だった。
 

異例の冬、広範囲で乾燥


 太平洋側を中心に広い範囲で異例の少雨が続いている。気象庁によると、29日までの30日間で東北の一部地域から中国地方の太平洋側の降水量は、平年比2割以下の地点が多かった。宇都宮市、群馬県伊勢崎市、東京都八王子市、山梨県甲州市勝沼町、三重県鳥羽市などではここ1カ月、降水量はゼロ。埼玉県や茨城県は県内全域でほぼ雨が降っていない。千葉市、神奈川県小田原市、静岡市、愛知県岡崎市、大阪府豊中市、兵庫県洲本市、岡山市なども平年比1割以下の降水量しかない状況だ。

 同庁によると、通常雨が降るときは日本の西側で偏西風が蛇行するが、1月は東側で蛇行し大陸側の乾いた空気が流れ込みやすかった。一方で九州や中国地方の気温は平年に比べて高くなった。

 現在、暖冬など異常気象をもたらすエルニーニョ現象が発生している。同庁は「同現象が発生している時、関東以西で気温が高く降水量が多くなる傾向がある。今冬は、エルニーニョ現象の影響ではない」(気候情報課)と説明する。

 同庁は東北、関東甲信や近畿、中国四国の広い範囲で乾燥注意報を発表し、火の扱いなどに注意を呼び掛けている。国立感染症研究所のインフルエンザ調査によると、全都道府県の保健所地域478カ所で警報レベルを超えている。

 ただ同庁によると2月は極端な少雨は解消する。関東以西で気温、降水量は平年並みになりそうだ。 
 

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