日本農業賞・大賞 喜びの声 感謝…仲間に、地域に

 第48回日本農業賞の受賞者が31日、決まった。先進的な経営や技術の改善に取り組み、担い手として地域の発展に貢献している農家や生産部会、法人と、食と農をつなぐ優れた個人や団体を選んだ。大賞受賞者に喜びの声や今後の抱負を聞いた。
 

個別経営


米+園芸通年雇用 ■アグリゴールド矢木代表・矢木龍一さん(55)=富山県入善町

 目標にしていた賞だけに大変うれしい。富山ではあまり盛んではない施設園芸に取り組み、地域では早くから通年雇用を実現した。担い手不足が懸念される中、農業を魅力ある仕事にするため、一層労働環境を良くし、全国の農業経営者が目指す見本になりたい。

 ▽受賞理由=100ヘクタールを超す水稲に加え、冬場の雇用を確保するため2014年からミニトマトの施設栽培を開始した。17年にはイチゴ栽培にも取り組み、県内の農業法人では初めてグローバルGAP(農業生産工程管理)を取得。一年を通じで収益確保につなげた。

障害者を積極採用 ■京丸園代表・鈴木厚志さん(54)=静岡県浜松市南区

 多様な人たちが力を発揮できるユニバーサル農業の取り組みが評価されうれしい。これまで支えてくれた顧客や、活動を後押ししてくれた福祉関係の人たちに感謝している。地元JAとの協力とさらなるブランド化を進めて、これからも全国に安心・安全の野菜を届けたい。

 ▽受賞理由=障害者や女性の積極雇用を推進。水耕栽培の芽ネギ、ミツバなど主力の小型野菜を中心に20年で売り上げを4倍、4億円に伸ばした。

良質な豚安く作る ■マルミファーム代表・稲吉克仁さん(48)=愛知県幸田町

 大賞を頂けて、驚いているとともに、うれしい。父が取り組んできたことを引き継いで続けてきた。設備や機械を社員が頑張って使いこなし、良い成績を上げることができたおかげで評価を得られたと思う。全国の仲間から情報をもらえ、地元の理解もあった。多くの人に感謝したい。

 ▽受賞理由=繁殖・肥育一貫の養豚経営でリキッドフィーディングの導入、高生産性豚品種への全頭切り替えなどに取り組み、粗利益や出荷枝肉重量などで全国トップクラスの経営を実現。良質な豚を「高く売るより安く作る」という理念で新しい畜産経営を目指す。
 

集団組織


被災から再生尽力 ■農事組合法人井土生産組合代表理事・鈴木保則さん(58)=仙台市

 受賞は大変うれしい。東日本大震災を経て法人の設立後、さまざまな面で支えていただいたJAグループや関係機関、消費者などに感謝したい。今後も周りとの絆を大切にしていく。まだ被災地の農業復興は道半ば。自分たちと同じ境遇の周りの法人との連携も深め、復興に尽力したい。

 ▽受賞理由=「われわれ15人が集落の農地を守る」という強固な意志で、東日本大震災の津波被害を受けた地域農業を再生。年間売上高1億5000万円にまで発展した。水稲は乾田直播(ちょくは)で多収量を実現。甘さや柔らかさが売りのネギを「仙台井土ねぎ」としてブランド化。6次産業化や消費者との交流にも積極的だ。

「市田柿」品質誇り ■みなみ信州農業協同組合柿部会部会長・常盤昌昭さん(74)=長野県飯田市

 受賞は、長い歴史の中で産地を築いてきた農家の先輩方、JA、行政、研究機関をはじめとした多くの皆さんの努力の結晶だ。そうした先人に敬意を払いたい。若手を育成し、「市田柿」を守る使命と責任を部会組織一丸で果たしていきたい。

 ▽受賞理由=2060人の部会員で、特産干し柿「市田柿」を年間1500トン生産し、販売額は20億円に上る。品種を統一し、収穫時期の目安を設定するなどで原料柿の品質をそろえる。2016年には県内初の地理的表示(GI)保護制度に登録。輸出にも取り組む。

部会一丸後継育つ ■島原雲仙農協雲仙ブロッコリー部会部会長・本多幸成さん(60)=長崎県雲仙市

 単価日本一を目指し、部会員一丸となって取り組んできたことが受賞につながった。まだ目標には届いていないが、努力が報われた気持ちだ。部会にはまだ伸びしろがあると思う。後継者やJAと共に、今以上の産地を目指していきたい。

 ▽受賞理由=部会員51人の半数超がブロッコリー専業農家。生産量は同県産の過半を占める。経営改善の意欲が高く、部会活動は活発。「若手後継者会」の設立や研修生の受け入れ・就農支援を手掛けるなど、若手農家の育成に注力する。
 

食の架け橋


異業種と連携活発 ■河合浩樹さん(56)=愛知県豊橋市

 栽培だけでなく国産レモンの情報発信ができる農家を目指している。連携を評価されての受賞だが、取り組みの最大の背景は、多彩な品目を組み合わせ一年中出荷できる体系を整えた農業経営にある。受賞は関わってくれた人のおかげ。次のチャレンジを見据えたい。

 ▽受賞理由=異業種連携をする「初恋レモンプロジェクト」を結成し、イベントや多彩な加工品開発を手掛ける。無農薬レモンを30年にわたり栽培し、安定出荷を確立。ミカンオーナー制度や東三河地区の農家と「豊橋百儂人」をつくり地域農業の活性化を進める。

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