日本農業賞 大賞に7個人・団体
2019年02月01日

JA全中とNHKは31日、第48回日本農業賞(全中、JA都道府県中央会、NHK主催)の受賞者・団体を発表した。個別経営の部は、富山県入善町のアグリゴールド矢木、静岡県浜松市の京丸園、愛知県幸田町のマルミファームが大賞を受賞した。集団組織の部は、仙台市の農事組合法人井土生産組合、長野県飯田市のみなみ信州農業協同組合柿部会、長崎県雲仙市の島原雲仙農協雲仙ブロッコリー部会が大賞。食の架け橋の部は、愛知県豊橋市の河合浩樹さんが大賞に選ばれた。
経営や技術の改善に取り組み、地域社会の発展にも貢献する農業者や営農集団などを表彰。食の架け橋の部は、農業者と消費者を結ぶ優れた活動や地域づくりのヒントになる食や農の活動をたたえる。
特別賞は、個別経営の部で栃木県鹿沼市のJB.YASHIKI、集団組織の部で茨城県筑西市のJA北つくばこだま西瓜部会が受賞した。食の架け橋の部は、宮崎県西米良村の小川作小屋村運営協議会だった。
応募は個別経営の部で91件、集団組織の部で95件、食の架け橋の部で32件。審査会(委員長=大杉立東京農業大学客員教授)が選んだ。受賞式は3月9日、東京都渋谷区のNHKホールで開く。
優秀賞などの受賞者・団体は次の通り。
◇優秀賞▽個別経営の部=北ファーム(金沢市、水稲、大麦)カーライフフジサワ(岡山市、水稲、二条大麦)西村鉄舟・綾(長崎県諫早市、カーネーション、ガーベラ)▽集団組織の部=TOKYO X生産組合(東京都八王子市、養豚)JAならけんハウス柿部会(奈良県五條市、ハウス柿)観音池ポーク出荷組合(宮崎県都城市、養豚)▽食の架け橋の部=人と種をつなぐ会津伝統野菜(福島県会津坂下町、野菜)フレッシュ・クラブ(大阪府東大阪市、野菜、水稲)◇奨励賞▽食の架け橋の部=ワインツーリズムやまなし(甲府市、ブドウ)
経営や技術の改善に取り組み、地域社会の発展にも貢献する農業者や営農集団などを表彰。食の架け橋の部は、農業者と消費者を結ぶ優れた活動や地域づくりのヒントになる食や農の活動をたたえる。
特別賞は、個別経営の部で栃木県鹿沼市のJB.YASHIKI、集団組織の部で茨城県筑西市のJA北つくばこだま西瓜部会が受賞した。食の架け橋の部は、宮崎県西米良村の小川作小屋村運営協議会だった。
応募は個別経営の部で91件、集団組織の部で95件、食の架け橋の部で32件。審査会(委員長=大杉立東京農業大学客員教授)が選んだ。受賞式は3月9日、東京都渋谷区のNHKホールで開く。
優秀賞などの受賞者・団体は次の通り。
◇優秀賞▽個別経営の部=北ファーム(金沢市、水稲、大麦)カーライフフジサワ(岡山市、水稲、二条大麦)西村鉄舟・綾(長崎県諫早市、カーネーション、ガーベラ)▽集団組織の部=TOKYO X生産組合(東京都八王子市、養豚)JAならけんハウス柿部会(奈良県五條市、ハウス柿)観音池ポーク出荷組合(宮崎県都城市、養豚)▽食の架け橋の部=人と種をつなぐ会津伝統野菜(福島県会津坂下町、野菜)フレッシュ・クラブ(大阪府東大阪市、野菜、水稲)◇奨励賞▽食の架け橋の部=ワインツーリズムやまなし(甲府市、ブドウ)
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政府は、農村移住を促すため、農地付きの空き家について、農地取得の下限面積を引き下げやすくする方針を固めた。農地法は農地の取得を認める下限面積を原則、都府県で50アール、北海道で2ヘクタールと定めている。今回、地域再生法を改正して市町村が下限面積を定められる仕組みを設ける。通常国会に改正案を提出する。
現行制度でも担い手が不足している地域では、農業委員会の判断で下限面積を1アール程度まで引き下げられる特例がある。
農水省によると、この特例で原則より低い下限面積を設定した農業委員会は2018年10月現在で全国で153あるという。ただ、特例を活用するには、農業委員会による公示などの手続きが必要となっている。
改正案では、市町村が「既存住宅活用農村地域等移住促進事業計画」を作成。空き家などの取得や研修など就農への支援に加え、下限面積の例外を記載する。特定区域内で農地を取得する際の「基準面積」を設定。農業委員会が同意すれば、この基準面積を下限として扱えるようにする。
ただし、現行同様、既存の営農に支障が出ないよう、特定区域内に①遊休農地がかなり存在する②担い手への農地集積に支障がない──を同意の要件とする方針だ。
2019年02月19日

地鶏 遺伝子型選び増体 「天草大王」平均6・7% 農研機構など
農研機構と秋田、岐阜、熊本、宮崎の4県の畜産研究機関は18日、地鶏生産の元となる種鶏を遺伝子型で選抜することで、地鶏の発育性を高め、出荷時体重を増やすことに成功したと発表した。出荷時の平均体重は40~222グラム増えた。特定の遺伝子型を系統選抜の目印にすれば、発育性向上に役立つ。増体により、4県の地鶏合計で生産者の売り上げが、年間約6600万円増えると試算する。
2019年02月19日
増える野菜輸入 国内産地の基盤強化
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生鮮野菜の輸入量は、安全性への懸念などから伸び悩んでいた。だが、18年には国産野菜の高騰を受け、1月から輸入が前年を上回った。3月には単月として13年ぶりに13万トンを記録。梅雨明け以降も、不順な天候が影響し国産が再び高騰し、7~11月の輸入量は前年を上回った。
品目別に見ると、結球野菜の増加が目立つ。伸び率が最も高かったのはハクサイで、17年と比べて6・4倍の1万6451トン。次いで結球キャベツが2・4倍の9万2357トンとなった。市場関係者は「輸入物は長期契約取引するケースが多い」と指摘、19年以降も高水準の輸入が続くとみる。
過去最高の輸入量を記録した冷凍野菜は、2年連続で100万トンを超えた。生鮮野菜の高騰が主因だが、日本冷凍食品協会によると「年間を通じて安定価格で販売している点が評価されている」とみる。冷凍野菜は長期保存ができるなど利便性があり需要が高い。このためスーパーだけでなく、コンビニやドラッグストアでも扱う店舗が増えている。労力不足を背景に、大手外食店でも調理済みの冷凍野菜を使うケースも多い。
心配なのは輸入野菜の定着だ。実際、生鮮のハクサイとキャベツは、国産の出回りが秋以降に増えても輸入が減らず、輸入に需要を奪われ、11、12月の国産の価格は平年を下回った。価格と安定供給を“武器”に、輸入野菜が加工・業務用市場のシェアを拡大している。
女性の社会進出による共働き世帯や単身世帯の増加、高齢化の進行などで食の外部化や簡便化は進み、ますます加工・業務用需要が高まることは必至で、国内産地の対応が急がれる。
実需側の国内産地への期待は高い。流通加工業者を対象とした農水省の国産原材料の使用割合調査(17年度実施)によると、「外国産を増やしたい」が1・3%だったのに対し、「国産野菜を増やしたい」が38%に上った。首都圏のスーパーでは、国産にこだわった冷凍野菜を販売したところ、売り上げは前年比2割近く伸び、安全・安心につながる国産ニーズは高いことがうかがえる。
追い風は、食品表示基準の改正だ。22年3月末までに全ての加工食品に原料原産地の表示が義務付けされる。輸入野菜の利用が多い加工業者の中には、国産に切り替える動きが出てくることも想定される。
こうした国産への期待や制度変更に伴う動きを好機と捉え、輸入に負けない強い産地づくりが求められている。
2019年02月22日

豚コレラ 愛知 処分2・2万頭 渥美半島入り口一般車両も消毒へ
愛知県は、田原市の養豚団地の一部農場で豚コレラの感染が見つかったことを受け、未感染の農場を含め、団地内と関連農場合わせて計16農場の豚1万4600頭の殺処分に踏み切った。ウイルスを封じ込め外部に拡大するのを防ぐ。今回を含めた県内の殺処分頭数は約2万2000頭に上る。田原市のある渥美半島は、養豚場が集中しているため、原則24時間体制で一般道の消毒などに乗り出す。
防疫措置の対象農場は団地内の14農場と、団地内の生産者が管理する周辺2農場の計16農場。8戸が経営しており、事務所や堆肥場、死体を保管する冷蔵庫や車両を共同利用している。県は13、14と連日、団地内の2戸3農場で疑似患畜を確認していた。
3農場以外の検査結果は陰性だったが同じ作業形態、動線があるため、県は今後新たな発生が確認される可能性を懸念。団地全体を一つの農場とみなした上で、団地内の農家が管理する周辺の2農場を含め、一括して防疫対象とした。
団地内での殺処分は13日から始まっているが、防疫措置が完了するには今後、1週間から10日かかる見込みだ。
今回を含めた県内の殺処分頭数は、農水省によると、10年の口蹄(こうてい)疫の約23万頭に次ぐ規模。県全体の飼養頭数約33万頭(18年)の7%に当たる。
同省は、今回の養豚団地から半径約10キロ圏内の9カ所で、畜産関連車両の消毒地点を拡大。さらに、搬出制限区域外の一般道で一般車両も消毒する。
一般車両を想定した消毒は昨年9月に豚コレラが発生以来、初の措置となる。国道3本と県道1本の渥美半島の入り口に消毒地点を置く。同地点から半島の先端まで散水車を走らせ、消毒液を散布する。交通量が多い国道23号沿いに、消石灰帯を8カ所設ける。
畜産関係車両には、消毒地点のある道を積極的に通るよう呼び掛ける。警察や自治体、畜産関係団体の協力を得て、原則24時間体制で消毒する。
2019年02月16日
0・1%上げ 1万5709円 北海道米の代替で引き 18年産米1月相対
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2019年02月21日
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全国のJAの営農指導員の取り組みを審査・表彰する「JA営農指導実践全国大会」が21日、東京都内で開かれ、和歌山県JA紀州の田中俊史さん(40)の活動報告が、最優秀賞に輝いた。審査員特別賞には、青森県JAつがる弘前の鈴木美喜子さん(41)が選ばれた。JA紀州は、強固なミニトマトの産地を育成した点が評価された。JAつがる弘前は、リンゴ産地の中にピーマン産地を新たに生み出した。
2019年02月22日
バンカーシート 供給量 右肩上がり IPM普及で講演会
総合的病害虫・雑草管理(IPM)による防除の普及状況を共有しようと、東京農業大学総合研究所研究会生物的防除部会は21日、東京都世田谷区で講演会を開いた。研究者や農薬メーカーの担当者ら50人が参加。講演を通じて炭酸ガス処理装置や天敵温存資材の活用方法を確認し、IPMの今後を展望した。
2019年02月22日

「営農再開せず」「未定」計6割に 福島の12市町村調査
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同チームが2017年4月から18年12月末まで、12市町村の農業者1429人を個別訪問して意向を聞いた。「営農再開済み」(25%)と「今後、再開の意向」(15%)は合計で40%となる一方、「再開意向なし」45%、「再開未定」15%となった。
調査では、現状抱える課題も聞いた。営農を再開した農業者の課題(複数回答)は「農業機械・施設・家畜・新規作物等導入」が41%、次いで「労働力確保」と「販路や販売単価の確保」が21%となった。今後、営農再開の意向ある農業者の課題(同)として「野生鳥獣の被害防止対策」41%、「用排水路復旧」36%などが挙がった。
再開の意向がない・未定の主な理由は「高齢化や地域の労働力不足」と「帰還しない」がそれぞれ39%、「機械・施設等の未整備」は20%となった。
同チームは市町村などと連携してアンケートを追加実施し、実態を把握した上で、支援を強化する。
2019年02月05日

ウリ科野菜の苗 ロボットが挿し接ぎ 熟練者並み速さ・精度 サカタのタネが発売
ウリ科野菜の苗を、「挿し接ぎ」という手法で接ぎ木するロボットが世界で初めて開発された。この接ぎ木法は、従来の手法に比べて生育向上が見込めるが、作業が難しく、熟練技術が必要だとされていた。ロボットで難しい技術が半自動化できるため、高齢化や人手不足が課題となっている苗生産の現場で活用できる。経験が浅い農業者でも、ベテラン並みのスピードと精度で挿し接ぎが可能だ。サカタのタネが2月、全国に向けて発売した。
2019年02月05日

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2019年02月01日
日本農業賞・大賞 喜びの声 感謝…仲間に、地域に
第48回日本農業賞の受賞者が31日、決まった。先進的な経営や技術の改善に取り組み、担い手として地域の発展に貢献している農家や生産部会、法人と、食と農をつなぐ優れた個人や団体を選んだ。大賞受賞者に喜びの声や今後の抱負を聞いた。
個別経営
米+園芸通年雇用 ■アグリゴールド矢木代表・矢木龍一さん(55)=富山県入善町
目標にしていた賞だけに大変うれしい。富山ではあまり盛んではない施設園芸に取り組み、地域では早くから通年雇用を実現した。担い手不足が懸念される中、農業を魅力ある仕事にするため、一層労働環境を良くし、全国の農業経営者が目指す見本になりたい。
▽受賞理由=100ヘクタールを超す水稲に加え、冬場の雇用を確保するため2014年からミニトマトの施設栽培を開始した。17年にはイチゴ栽培にも取り組み、県内の農業法人では初めてグローバルGAP(農業生産工程管理)を取得。一年を通じで収益確保につなげた。
障害者を積極採用 ■京丸園代表・鈴木厚志さん(54)=静岡県浜松市南区
多様な人たちが力を発揮できるユニバーサル農業の取り組みが評価されうれしい。これまで支えてくれた顧客や、活動を後押ししてくれた福祉関係の人たちに感謝している。地元JAとの協力とさらなるブランド化を進めて、これからも全国に安心・安全の野菜を届けたい。
▽受賞理由=障害者や女性の積極雇用を推進。水耕栽培の芽ネギ、ミツバなど主力の小型野菜を中心に20年で売り上げを4倍、4億円に伸ばした。
良質な豚安く作る ■マルミファーム代表・稲吉克仁さん(48)=愛知県幸田町
大賞を頂けて、驚いているとともに、うれしい。父が取り組んできたことを引き継いで続けてきた。設備や機械を社員が頑張って使いこなし、良い成績を上げることができたおかげで評価を得られたと思う。全国の仲間から情報をもらえ、地元の理解もあった。多くの人に感謝したい。
▽受賞理由=繁殖・肥育一貫の養豚経営でリキッドフィーディングの導入、高生産性豚品種への全頭切り替えなどに取り組み、粗利益や出荷枝肉重量などで全国トップクラスの経営を実現。良質な豚を「高く売るより安く作る」という理念で新しい畜産経営を目指す。
集団組織
被災から再生尽力 ■農事組合法人井土生産組合代表理事・鈴木保則さん(58)=仙台市
受賞は大変うれしい。東日本大震災を経て法人の設立後、さまざまな面で支えていただいたJAグループや関係機関、消費者などに感謝したい。今後も周りとの絆を大切にしていく。まだ被災地の農業復興は道半ば。自分たちと同じ境遇の周りの法人との連携も深め、復興に尽力したい。
▽受賞理由=「われわれ15人が集落の農地を守る」という強固な意志で、東日本大震災の津波被害を受けた地域農業を再生。年間売上高1億5000万円にまで発展した。水稲は乾田直播(ちょくは)で多収量を実現。甘さや柔らかさが売りのネギを「仙台井土ねぎ」としてブランド化。6次産業化や消費者との交流にも積極的だ。
「市田柿」品質誇り ■みなみ信州農業協同組合柿部会部会長・常盤昌昭さん(74)=長野県飯田市
受賞は、長い歴史の中で産地を築いてきた農家の先輩方、JA、行政、研究機関をはじめとした多くの皆さんの努力の結晶だ。そうした先人に敬意を払いたい。若手を育成し、「市田柿」を守る使命と責任を部会組織一丸で果たしていきたい。
▽受賞理由=2060人の部会員で、特産干し柿「市田柿」を年間1500トン生産し、販売額は20億円に上る。品種を統一し、収穫時期の目安を設定するなどで原料柿の品質をそろえる。2016年には県内初の地理的表示(GI)保護制度に登録。輸出にも取り組む。
部会一丸後継育つ ■島原雲仙農協雲仙ブロッコリー部会部会長・本多幸成さん(60)=長崎県雲仙市
単価日本一を目指し、部会員一丸となって取り組んできたことが受賞につながった。まだ目標には届いていないが、努力が報われた気持ちだ。部会にはまだ伸びしろがあると思う。後継者やJAと共に、今以上の産地を目指していきたい。
▽受賞理由=部会員51人の半数超がブロッコリー専業農家。生産量は同県産の過半を占める。経営改善の意欲が高く、部会活動は活発。「若手後継者会」の設立や研修生の受け入れ・就農支援を手掛けるなど、若手農家の育成に注力する。
食の架け橋
異業種と連携活発 ■河合浩樹さん(56)=愛知県豊橋市
栽培だけでなく国産レモンの情報発信ができる農家を目指している。連携を評価されての受賞だが、取り組みの最大の背景は、多彩な品目を組み合わせ一年中出荷できる体系を整えた農業経営にある。受賞は関わってくれた人のおかげ。次のチャレンジを見据えたい。
▽受賞理由=異業種連携をする「初恋レモンプロジェクト」を結成し、イベントや多彩な加工品開発を手掛ける。無農薬レモンを30年にわたり栽培し、安定出荷を確立。ミカンオーナー制度や東三河地区の農家と「豊橋百儂人」をつくり地域農業の活性化を進める。
2019年02月01日

豚PMS判定広がる 区別化販売に生かす 開始1年で4400頭以上
昨年1月から始まった豚肉の脂肪交雑基準(PMS)判定を利用する生産者や流通業者が増えている。判定する日本食肉格付協会によると、1年間に4400頭以上で利用された。肉質改良目的や霜降り肉の優位性を高める狙い。国内市場で輸入豚肉の攻勢が強まる中、同協会は「国産の肉質を生かした区別化販売につなげてほしい」と話し、活用を呼び掛ける。
2019年01月30日
栄養成分分析できます 表示義務化に低価格で対応 大阪府立環境農林水産総研
大阪府羽曳野市にある府立環境農林水産総合研究所が、簡易分析器を活用し、農産加工品などの栄養成分の分析サービスを行っている。食品表示法で義務化された一般用加工食品の栄養成分表示の経過措置期間が2020年3月末で終了することを踏まえた取り組み。地方独立行政法人が同様のサービスをするのは全国でも珍しいという。昨年10月に始めてからの分析件数は15件だが、経過措置期間の終わりに向けて、ニーズが高まる見通しだ。
2019年01月29日
農作業事故「把握」37% JAの取り組み調査 啓発活動浸透も… 計画策定は32% 全中
JA全中は28日に農水省が開いた農作業安全に関する会議で、JAグループの取り組み状況を報告した。「農作業安全年間取組計画」を策定したり、農作業事故発生状況の把握をしたりするJAはまだ4割以下にとどまっていることが分かった。全中は「今後、しっかりやっていくよう提起したい」と農作業安全への一層の取り組みを促した。
2019年01月29日
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牛や豚の経営に大きな被害をもたらす口蹄(こうてい)疫について、生産現場で約30分あれば簡易検査できるキットを、農研機構と日本ハムが開発した。発生の確定には東京都小平市にある同機構動物衛生研究部門での遺伝子検査が必要だが、このキットで現場で早期に疑いが分かれば、迅速な対応が期待できる。日本ハムは薬事承認を取得。農水省は近く、家畜伝染病予防法に基づく防疫指針を改定し、利用できる環境を整える方針だ。
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キットの名称は「NHイムノスティック 口蹄疫」。農水省のイノベーション創出強化研究推進事業で共同開発した。
2019年01月20日