[活写] ぐるぐるぐる…なぜ?
2019年02月03日

森の中に現れた、杉で描かれた奇妙な円(宮崎県日南市で)
宮崎県日南市の山中にひっそりと、杉の木で描かれた「ミステリーサークル」が姿を現している。正体は、宮崎南部森林管理署の試験地。直径69メートルの円の中に、杉の木が12重の輪を描く。中心に近いほど植栽密度は高い。高品質な木材生産に最適な密度を割り出そうと、1974年に苗木を植えた。
同署は長年、地上から観察してきたが、40年以上たってドローン(小型無人飛行機)で調べた際、この幾何学模様に気付いた。同じ円が二つ並び、カメレオンの目のようにも見える。
同市周辺は江戸時代から杉の造林が盛ん。「飫肥(おび)杉」の名前で知られ、県の杉丸太生産量は全国1位を誇る。今後、このサークルを観光に生かそうという動きもある。同署の野邊忠司さん(51)は「空から見ると、こんな奇妙な光景だとは思わなかった」と驚いている。(富永健太郎)
同署は長年、地上から観察してきたが、40年以上たってドローン(小型無人飛行機)で調べた際、この幾何学模様に気付いた。同じ円が二つ並び、カメレオンの目のようにも見える。
同市周辺は江戸時代から杉の造林が盛ん。「飫肥(おび)杉」の名前で知られ、県の杉丸太生産量は全国1位を誇る。今後、このサークルを観光に生かそうという動きもある。同署の野邊忠司さん(51)は「空から見ると、こんな奇妙な光景だとは思わなかった」と驚いている。(富永健太郎)
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岩手産ポークの前沢牛入りフランク JA岩手ふるさと
岩手県のJA岩手ふるさとが販売するフランクフルトソーセージ。味に定評のある県産ポークに、地元ブランドの前沢牛を練り込んだ。
県産豚肉の歯応えある食感に加え、前沢牛のうま味が重なり、かむほどに味わい深い本格派のソーセージに仕上がっている。スパイシーなペッパー味と、子どもでも食べやすいプレーン味の2種類がある。
1袋(冷凍)3本入り(1本90グラム)で1260円。JAの「産直来夢くん」や「産直センター菜旬館」、インターネットショップ「奥州うまいもん屋」などで販売している。問い合わせはJA流通販売課、(電)0197(41)5215。
2019年02月15日
エコフィード 業界挙げて防疫を シンポで豚コレラ対策
全国食品リサイクル連合会が13日、東京都内で開いたエコフィードに関するシンポジウムで、豚コレラも含めた防疫対策が改めて強調された。今回の発生農場には、エコフィードを利用している養豚場があったこと、感染ルートの一つとして飼料輸送が疑われていることもあり、発表者が輸送車両の消毒技術や飼料の衛生的処理方法などを示し、病害の発生源とならないための意識改革が必要だと訴えた。
2019年02月14日

豚コレラ追加支援 移動制限で減収補填 監視対象 11府県・181農場 農水省
農水省は12日、豚コレラ発生に伴い、豚を出荷できなくなった農場への新たな経営支援策を明らかにした。移動制限や出荷自粛により生じた減収などを補填(ほてん)する。想定する対象は、発生が確認された岐阜、愛知、長野、滋賀、大阪の5府県を含む11府県181農場に上る。同省は府県の詳細は示していない。岐阜、愛知両県向けに防護柵の設置支援のため総額1億8000万円を措置するなど、野生イノシシ対策の概要も示した。
同省は181農場の詳細は示していないが、愛知県はそのうち107農場が同県にあると公表している。
経営支援策は、家畜伝染病予防費負担金の2000万円で対応する。移動制限で豚が出荷できない期間が続くと、流通規格を超える大きさに成長し、価格が下がる場合がある。その際の売り上げ減少分に加え、出荷制限中にかかった飼料代の増加分などを補填する。
対象となるのは、発生農場の周囲にあって移動制限を受けた農場の他、発生農場と同じと畜場を使うなどの関連があり、同省が「監視農場」と位置付ける農場。監視農場には出荷、移動の自粛を要請している。
同省は「幅広く網を掛け、少しでも接点がある農場は対象にした。減収への備えを示すことで、感染防止に協力する農家の不安を取り除きたい」(動物衛生課)と考える。
岐阜、愛知両県向けの野生イノシシ対策の一環として、わな設置や遺伝子検査の経費支援に向けて、両県に合計1000万円を追加配分する。
捕獲活動の支援には、鳥獣被害防止総合対策交付金を活用。岐阜、愛知の両県は、鳥獣被害防止総合対策交付金での交付限度額を撤廃。両県に2000万円ずつ追加交付し、捕獲や家畜保健衛生所への運搬、わなの消毒などに充ててもらう。長野、滋賀、大阪は従来の限度額の範囲内で対応する。
イノシシ防護柵の設置には、同交付金を岐阜に1億2000万円、愛知に6000万円を交付する。6日以降の着工分が対象。国が費用の10分の9を支援する。
2019年02月13日

第2回落札7・9万トン 「優先枠」累計は47% 備蓄米
農水省は13日、2019年産政府備蓄米の第2回入札(12日実施)の結果を公表した。今回新たに7万9775トンが落札され、初回を加えた「優先枠」の累計落札数量は9万7403トンとなった。累計落札率は年間枠(20万9140トン)の47%だった。初回で様子見した新潟や富山といった主産地で落札が伸びるなど、取り組み拡大に向けた動きが出ている。
2019年02月14日

[未来人材] 26歳。夫は農家、栄養士の資格生かす 料理で地域おこし 井澤綾華さん 北海道栗山町
北海道栗山町の井澤綾華さん(26)は、地域おこし協力隊で同町の農業振興に携わりながら、管理栄養士の資格を生かし料理研究家としても活動する。レシピ監修やイベントなどを通じ、家庭で簡単に作れる料理を提案。2年前に農家に嫁いでからは、地元JAと料理教室を開くなど、身近な食の専門家として活躍の場を広げる。
出身は札幌市。栄養学を学んだ大学時代、サークルで農家を訪ね、「食卓を支える農業の魅力に気付いた」。1年間休学し、島根県に滞在。6次産業化など農業の支援に携わり、地域おこしのやりがいを実感した。
2016年に同町に移住し、地域おこし協力隊員に就任。学生の農業体験などを支援する。17年には活動を通じて知り合った孝宏さん(30)と結婚。長女の乃々華ちゃんが生まれた。
孝宏さんは、約17ヘクタールで野菜などを栽培する井澤農園の後継者。綾華さんは農園を手伝いながら、料理や地域おこしの活動を続けている。1月にホクレンなどが開いた道産乳製品のイベントでは、チーズなどを使ったオリジナルの料理を披露するステージを担当。調理のこつや食材の栄養を解説し、連日人気を集めた。
地元のJAそらち南の相談を受け、JA特産のトウモロコシ粉「コーングリッツ」の地産地消も後押しする。欧州などでよく食べられているが日本ではなじみが薄いため、家庭料理のレシピを提案。町内で料理教室を開いた。
将来の夢は、農園直営のレストランを開き、地域に人を呼び込むこと。「娘には料理を手伝ってもらおうかと思って。それともトラクターに乗るのかな」。楽しみが増えていく。(石川知世)
2019年02月16日
地域の新着記事

豚コレラ防疫 手尽くせども 疑心暗鬼 夜も眠れず 発生農家「経営再開、自力では・・・」
感染が広がる豚コレラで、岐阜県や愛知県の養豚農家が恐怖感と闘いながら厳戒態勢で経営を続けている。徹底した防疫対策をしていた施設でも発生し、感染原因が解明されていないことから「全てに疑心暗鬼になる」(養豚農家)と悲痛な声が上がる。殺処分を余儀なくされた当該農場や仲間の農家からは、経営再開に向けた支えを求める切実な訴えも出ている。
2019年02月16日

世界農業遺産に申請 日本版認定も 農水省
農水省は15日、山梨県峡東地域のブドウ栽培と兵庫県兵庫美方地域の但馬牛飼養、滋賀県琵琶湖地域の伝統的漁業の三つを国連食糧農業機関(FAO)が認定する「世界農業遺産」に申請すると決めた。秋ごろにも申請手続きを済ませ、受理後1年以内に結果が出る見込み。国内版の「日本農業遺産」として、7県7地域を認定した。
2019年02月16日

北海道 筆でレンズで 農の日々描く
日本の食を支え、俳句や写真などの創作活動で農業・農村の魅力を発信する。北海道にそんな農家がいる。題材は身近な農村の美しさや温かさ、厳しさなど、日々の営農で浮かぶ思い。多忙な作業の傍ら、作品のアイデアをつかむために周囲の観察を欠かさない。農家ならではの視点を生かした作品は、著名な俳句賞を受賞するなど高い評価を得ている。
俳句 “牛後”から表現豊かに 下川町・鈴木和夫さん
牛の尾を引き摺(ず)るやうに寒波来る
仔(こ)牛の寒衣(かんい)脱がせ裸と思ふ春
牛死せり片眼は蒲公英(たんぽぽ)に触れて
秋晴の定位置にあるトラクター
牛糞(ふん)を蹴ればほこんと春の土
トラクターに乗りたる火蛾(が)の死しても跳ね
角(つの)焼きを了(お)へて冷えゆく牛と我
(第64回角川俳句賞受賞作品より)
下川町で乳牛70頭を放牧などで飼う鈴木和夫さん(57)は、俳人としての顔も持つ。俳号は「鈴木牛後(ぎゅうご)」。「大きな組織の末端(牛後)でいるよりも小さな集団のトップ(鶏口=けいこう)になる方が良い」という意味の熟語「鶏口牛後」から、「末端(庶民)の視線を大事にしたい」とあえて「牛後」という言葉を借りた。
日頃の農作業や豊かな自然が題材だ。作品の一つ「美味(うま)き草不味(まず)き草あり草を刈る」。この作品を含む牛や風景をテーマにした50句は2018年、俳句の新人賞として名高い「角川俳句賞」に輝いた。牛や酪農を題材にした新鮮さと、確かな表現力が評価された。「牛を見ていると、おいしそうに食べる草と食べない草があることが分かってくるんです」と鈴木さん。
鈴木さんが俳句に出合ったのは10年ほど前。「酪農に従事しているからこそ、牛や風景など都会にはないものを詠める。季節や時期によってさまざまな顔を見せる自然や農業は題材に事欠かない」と話す。句集を作ることが目標だ。妻の淳子さん(55)も「これからも活躍してほしい」と活動を見守る。
鈴木さんが淳子さんに贈った句もある。「花を来し君と落花を見に行かむ」。若い頃から一緒に桜を見てきたあなたと、花が散るところまでを見たい──。新規参入で酪農経営を軌道に乗せるまで苦楽を共にした妻と、これからも2人で歩んでいきたいという気持ちを込めた。
写真 空と大地 一瞬狙う 芽室町・粟野秀明さん
芽室町で小麦やテンサイなど55ヘクタールで畑作を営む粟野秀明さん(55)は、十勝の広大な自然や生産現場の臨場感を写真で表現する。トラクターにカメラを積み、風景が美しいと感じたらすぐ作業を止めて撮影。地域の魅力を凝縮した一瞬を狙う。
写真は8年ほど前から本格的に始めた。一眼レフを買って半年後、地元の農業団体などが主催する「とかち農業・農村フォトコンテスト」に初めて応募。グランプリに選ばれ「写真熱が高まった」(粟野さん)。その後は独学で技術を磨いた。
主な撮影場所は自分の畑。今年度の同コンテストでグランプリに輝いた「大地のウェーブ」では、傾斜地のテンサイ畑を撮影。線状に並んだ苗が、地形に沿って波打って見える様子を捉えた。
作品はブログや写真展などで発表する。1月下旬には2度目の個展を札幌市で開催。作品53点を展示し、6日間で約1500人が来場したという。市内から訪れた男性は「農業をしながら素晴らしい作品を撮っていることに感動した。畑の造形美が伝わってくる」と絶賛した。
写真を通じ、粟野さん自身も農村の見方が変わったと実感する。「普通だと思っていた紅葉も、レンズを通すと美しく見えた。わが家の畑の魅力を再発見できた」。今後は風景に加え、「人物を主体にした写真などにも挑戦したい」と意気込む。
2019年02月14日

手乗りハス「種」「苗」も アイデア商品続々と 大木園芸 千葉県東金市
千葉県東金市の大木園芸は、観賞用の花ハス「手乗りハス」の苗や鉢花、その種となる「レンコン丸」を生産、販売している。「レンコン丸」はポットで根域を制限し、輪っか状に育てたもの。丸いパックに詰めコンパクトな形で流通、販売できる。園芸店や通信販売で徐々に扱いを伸ばしている。
園主の大木正人さん(67)は、かつて植木を販売していた。現在は花ハスが専門で、趣味が高じて20年近く前から販売を始めた。小型の容器で咲かせるものを集め「手乗りハス」と名付け、茶わんバスなどの一般的な呼称と差別化している。
栽培は、夏から秋に肥大したレンコンを、1~3月に株分けして植え替える。「レンコン丸」の荷造りもこの時期で、出荷は2月から3月20日ごろまで続く。
「レンコン丸」は5年ほど前から取り組み始めた。底穴のない13・5センチのポットで育てると、レンコンは輪っか状になる。ポットから出して不要な部分を切り、食品などに使うクリーンカップに水と詰めて商品とする。ふたのラベルで品種ごとの花を紹介する。
透明な容器に入っているので、客は商品の状態を見て購入できる。店にとってはクレームやトラブルが少ないのが利点だ。
販売の主力は苗で、これまで総売り上げの約8割を占めている。「レンコン丸」は1割にも満たないが、大木さんは「だんだん認知され、扱うところが毎年1、2社、増えてきた」と話す。今期は園芸店6社、通販4社となった。
「手乗りハス」「レンコン丸」は大木園芸の登録商標。「レンコン丸」では作り方などで特許出願中だ。既に2品種が登録され、6品種を出願している。
2019年02月11日

大阪 殺処分できず 愛知の肥育豚 静岡も搬入、監視 豚コレラ
静岡県は7日、菊川市のと畜場に、愛知県で豚コレラの陽性となった農場から肥育豚が出荷されていたとして、同じと畜場を使っていた農家を監視することを決めた。出荷用の車両などに付着することで、ウイルスが別の農場に持ち込まれる恐れがあるためだ。また、豚コレラの発生が確認された大阪府東大阪市の当該農場では、殺処分などの防疫措置作業ができない異例の事態に陥った。
菊川市のと畜場には、6日に豚コレラが確定した愛知県豊田市の農場の関連農場(田原市)から4日までの計5日間で200頭が出荷された。
静岡県で監視対象となる農場は最大で16カ所。県はこれらの農場に対し、28日間、豚の異常と死亡を家畜保健衛生所に報告するよう要請。出荷以外の豚の移動を自粛するよう求めた。
また、陽性が確認された5府県の農場からも、肥育豚が各地のと畜場に出荷されている可能性があるとして、長野県などでも農場の監視を検討している。
防疫作業を進める大阪府東大阪市の農場は住宅街にあるため、殺処分ができなかった。その理由について府は、事前に想定していた焼却場が遠いことに加え、住民に配慮したことを理由に挙げる。
府は事前に、国が所有する「レンダリング装置」を使い、殺処分した家畜を破砕・加熱処理する方法を想定していた。ただ、今回は農場が都市中心部で、郊外の処理場所までの移動ができない事態となった。都市で家畜伝染病が発生した場合の対応の難しさが浮き彫りになった。
2019年02月08日

二人三脚 豪雨禍乗り越え 地鶏肉加工所来月完成へ 過疎集落住民23人 「ジロー」で守る 「ここで生きる」決意新た 高知県安芸市 小松さん夫妻
住民23人の高知県安芸市の山あいの集落・畑山で、地鶏「土佐ジロー」の新たな食肉加工所が来月に稼働する。小松圭子さん(35)が代表を務め、夫の靖一さん(60)と経営してきたが、念願の加工所建設に向けて動きだした矢先、西日本豪雨が襲った。集落に続く唯一の道路が土砂崩れや崩落で寸断するなど深刻な被害に遭った。多くの人の支えとともに、夫婦二人三脚で未来を描く。
かつては800人が暮らす集落だったが、人口は激減。急峻(きゅうしゅん)な山あいに位置し、市街地からは車で40分ほどかかり、携帯電話の電波も1社を除き、届かない。圭子さんは「過疎地の最先端」と表現する。
集落に生きる場所を求めて2010年、「土佐ジロー」を飼養する地元の農家、靖一さんと結婚した圭子さん。「1000年続いた村を、消滅させてしまって良いのか」と、2人の子どもを育てながら、はたやま夢楽の代表として奮闘。土佐ジローの飼養、加工・販売、ユズの栽培に加え、行政から指定管理を受ける温泉宿、食堂「はたやま憩(いこい)の家」の運営と、なりわいづくりに汗を流してきた。今では全国から土佐ジローの味を求めて集落に年間3000人が訪れる。
自然豊かな山里の暮らしには、同時に厳しさも付きまとう。市の指定管理者として運営してきた土佐ジローの加工場が、18年度中に取り壊されることが決定。昨年6月中旬から、新施設建設費用の一部をクラウドファンディング(CF)で集めている最中、西日本豪雨が集落を襲った。
集落に続く唯一の道路は土砂崩れや崩落で寸断。電話も通じず孤立した集落で、圭子さんと子ども、集落の住民は自衛隊のヘリコプターで救助された。靖一さんたちは土佐ジローの管理や住民の安否確認に駆け回り、道路は住民が自力で直した。そんな集落の姿に、圭子さんは「集落で生きるそれぞれが、生きる知恵を発揮した。ここで生きていきたいと改めて思った」と振り返る。
CFでは、全国の400人から温かい言葉とともに847万円が集まった。「私たちの活動への通知表のようなものに思える」と圭子さん。
小松さん夫妻の存在が、同じく中山間地での暮らしを模索する人の励みになっている。同県いの町から、はたやま憩の家を訪れた植田英さん(71)と尾崎敏明さん(64)。植田さんは高知市からいの町に移住し、もち米復活へ、同町にUターンした尾崎さんは地域の猟友会や仲間と地域づくりの方策を探っている。植田さんは「地域おこしは賛同が得られずに心が折れることがある。そんな時、小松さんの所に行くと元気をもらえる」と話す。
圭子さんはインターネット交流サイト(SNS)や、講演などを通じて「田舎でそれぞれの価値観が生かされる生き方」を発信する。そのためにも「なりわいを築くことが重要だ」と言う。
靖一さんは「地域おこしはイベントやハレの日をつくることではなく、軸になるのは1次産業だ」と強調する。ササミ、砂肝、トサカまで、一切れずつ靖一さんが客の前で焼いて提供する「土佐ジロー」が、全国からリピーターを呼び込む。
古里で暮らし続けていける産業をつくろうと飼養を始めて31年目、一緒にやりたいと圭子さんが言ってくれたことで「頑張ってきたことが報われた」と靖一さんは笑う。圭子さんは「楽しく暮らせる可能性がある。やれるところまでやっていきたい」。夫妻の二人三脚は続いていく。
2019年02月08日

[岐阜・JAぎふ移動編集局] 女子バレーチーム日々の業務と両立 V1昇格へ奮闘 監督も総務課勤務 「職場、仲間に恩返しを」
日本女子バレーボールV2リーグに所属する岐阜県JAぎふの実業団チーム「JAぎふリオレーナ」が、最上位リーグV1への昇格を目指し奮闘している。今季、ここまで14戦を終えて10勝4敗の3位。選手はJAでの業務と練習を両立させながら、女子スポーツの世界でJAの知名度アップに貢献している。
チームは1979年に創設。選手は平日フルタイムでJAに勤務し、業務が長引けば練習開始の午後6時に集まれないこともある。
仕事との両立は、椿本真恵監督が常に厳しく選手に指導していることの一つ。久光製薬などで第一線で活躍した椿本監督自身も、総務課での事務作業をこなす。椿本監督は「仕事をしっかりやれば、居場所ができるし、職場の人にも応援してもらえる」と強調する。
チームには全国の高校や大学の強豪校から選手が集まる。静岡県出身で祖父が農家だった最年長の中村早紀子さん(31)は今年からコーチ兼任でチームを支える。井上実咲さん(26)は所属していたチームが廃部となり、昨年移籍してきた苦労人。岐阜市出身の吉井奎乃さん(22)は「リオレーナでバレーがしたい」と京都の強豪校を卒業後、JAに入組した最年少選手だ。
2、3日に行われた上位との直接対決で痛恨の連敗を喫し、3位に転落。上位6チームで争うプレーオフ進出をほぼ確実にしているだけに、残り3戦をしっかり勝つことを目指す。
プレーオフで1位になれば自動昇格が決まる。中村さんは「昇格することが支えてくれるJAやファン、職場の仲間への恩返しになる」と意気込む。9、10の両日には岐阜市の岐阜メモリアルセンターふれ愛ドームで今季ホーム最終2連戦(ともに午後1時開始)を予定している。
2019年02月06日

福井豪雪から1年 再建の歩み鈍く… 全国で災害、業者不足 ハウス復旧は3、4割
1000棟以上の農業用ハウスが被害を受けた福井豪雪から1年が経過した。約10億円に上る農業被害を受けた福井県では、今でも未着工の農業用ハウスが目立つ。県内全体のハウス被害の約3割を占めた坂井市の復旧率は、2018年12月末時点で3、4割にとどまるなど、営農再開に向けた歩みは鈍い。施設を建て直すにも作業員不足が常態化しており、「いつから満足した営農ができるのか」と農家は頭を抱える。(前田大介)
定植できずいら立ちも
県によると、県内全体で被災したハウスは1075棟(昨年1月の被害含む)。このうち740棟余りが完成済みか再建中のハウスで「現時点で完成した棟数は把握できていない」(県生産振興課)という。
県内の自治体で最多375棟のハウスが被害を受けた坂井市の復旧率は3、4割だ。被害を受けた中には水稲の育苗ハウスもあり、今後の米生産に影響が出ないよう、市は「JAと連携し施行業者に『早く造ってほしい』と要望している」(農業振興課)と話す。
「いつ完成するのか」。15アールのビニールハウスが倒壊した鯖江市でイチゴやミディトマトなどを栽培する園芸農家、福岡弘己さん(56)は未完成のハウスを見ていら立ちをあらわにする。
豪雪で所有する22棟のうち6棟がつぶれ、建物だけで1000万円近い損害が出た。10月ごろにハウスの建設が始まったが、いまだ完成に至っていない。「県内の施行業者は数が少なく、いつも忙しそうに飛び回っている。人手が足りていれば、とっくに定植していたのに……」と嘆く。
福井市の農業用ハウス施行業、モリシタは豪雪から1年たった今もハウス建設に追われる。依頼が増えだした昨年6月には、見積もりさえ一時、数カ月待ちという忙しさだった。人員不足で県外にも応援を求めるも、大規模な豪雨や台風、地震が全国で相次いだことも重なり、思うように集められなかったという。
従業員や県外からの応援なども含め約20人で100棟近くは完成させたが、未着工もあり、3月上旬まで予定が埋まっている。森下幸蔵代表は「農家の気持ちは痛いほど感じる。もう少し待ってほしい」と語る。
<メモ>福井豪雪
2018年2月4日から雪が降り始め、7日には福井市の積雪が147センチに達するなど、37年ぶりの豪雪となった。その影響で交通は大混乱。県北部の国道8号では約10キロの区間で60時間以上にわたり通行止めとなり、立ち往生した車は最大約1500台に上った。物資の輸送が困難になり、市民生活にも影響が出た。農業用ハウスなどが被害を受け、農業被害額は約10億円。死者12人を含む死傷者は133人を数えた。
2019年02月06日

米袋が名刺入れに 「新潟県産」アクセント 新潟市の福祉施設
新潟市西区にある福祉施設、就労継続支援B型「ラグーン」は使用済み米袋を再利用した名刺、カード入れを開発した。米袋にデザインされた「コシヒカリ」「新潟県産」「新潟米」などの文字をうまく使った。「米どころ新潟らしい」と好評だ。
使用済み米袋は丈夫だが、他にこれといった利用方法がなかった。同施設の職員で稲作農家の小林奈美子さんは、県外の人と名刺交換する際、「新潟をアピールできるものはないか」と考え、空き袋を再利用した名刺入れを思い付いたという。
名刺入れのデザインは米袋の文字をうまく使うことがポイントだ。表面に「コシヒカリ」の文字を持ってきたり、中に稲穂の絵を出したりと、見た目で注目されるように工夫を重ねた。厚紙を使って全体の強度を高めた。
小林さんは「私の家は米農家。空き袋の有効利用と新潟の特徴を発信できるツールとして考え出した。県外の人と名刺交換する時には驚きと同時に『新潟らしい』と喜ばれる」と話す。
名刺入れのサイズは横11センチ、縦7・5センチで、価格は1個450円。
「ラグーン」はカフェも運営し、そこで出る空き袋を使った買い物袋や土産用袋を作り「エコバッグ」として販売している。
2019年02月04日

[活写] ぐるぐるぐる…なぜ?
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2019年02月03日