ウリ科野菜の苗 ロボットが挿し接ぎ 熟練者並み速さ・精度 サカタのタネが発売
2019年02月05日

サカタのタネが開発したウリ科野菜の接ぎ木ロボット「UPS─T2000」(サカタのタネ提供)
ウリ科野菜の苗を、「挿し接ぎ」という手法で接ぎ木するロボットが世界で初めて開発された。この接ぎ木法は、従来の手法に比べて生育向上が見込めるが、作業が難しく、熟練技術が必要だとされていた。ロボットで難しい技術が半自動化できるため、高齢化や人手不足が課題となっている苗生産の現場で活用できる。経験が浅い農業者でも、ベテラン並みのスピードと精度で挿し接ぎが可能だ。サカタのタネが2月、全国に向けて発売した。
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トラクター規制緩和 公道走行実施延期へ 対応方針定まらず 国交省
トラクターが作業機を装着したまま公道を走れるよう政府が規制緩和を検討している問題で、国土交通省は18日、実施は当初予定していた2018年度内から、2年以上延期になるとの見通しを示した。灯火器が見えにくくなる作業機や、けん引タイプの作業機の対応が定まらないためだ。同省が示した工程では、直接装着する作業機は20年度内、けん引タイプは21年度内に、緩和と対応の中身を固める。
2019年02月19日

鳥獣対策 さあ出番 肉も皮も活用 捕獲へ率先
大阪府から鳥取県琴浦町に兄弟で移住した高橋龍太さん(29)、太雅さん(25)は、野生鳥獣の肉(ジビエ)や皮革の魅力発信に力を注ぐ。農作物に被害を与える野生鳥獣の駆除や資源活用を広め、地域の活性化につなげる夢を描く。
ジビエ兄弟 高橋龍太さん、太雅さん 農業救え 移住決断 鳥取県琴浦町
兄の龍太さんは、鳥取大学在学中にボランティアで同町を訪問。町や人情に引かれ、2015年から3年間、地域おこし協力隊員として活動してきた。活動中に、農作物などへの鳥獣被害を目の当たりにし、就任1年目にわな猟の狩猟免許を取得。被害調査や捕獲後の利活用を進めるジビエ教室などを開いた。
17年には、「ジビエの全てを愉(たの)しむ組織」として、新米猟師2人と任意団体カサドールを立ち上げた。野生獣の解体体験やトークイベントなどを定期的に開き、狩猟やジビエに興味がある人を呼び込む活動を展開。今は30、40代を中心に40人以上が参加するまでに拡大した。
「これ以上にやりたいことがない」と、任期が終了した17年、同町に定住を決めた龍太さん。皮革の販売や商品開発をなりわいにすることに決めた。これまでに販売した皮革が神社のお守り入れになった他、名刺入れを開発中だ。
弟の太雅さんは、やりがいのある仕事を探し、兄を追って17年から同町の地域おこし協力隊員として活動。ジビエ料理の移動販売を計画し、3月にもスタートさせる。県内のイベントでイノシシ肉を使ったタコスや肉巻きおにぎりを販売したところ、好評だった。「豚肉の方がおいしいと思っていたが、臭みも気にならず、イノシシ肉の方が好き」とほれ込んだ。
2人は、住民から野菜をもらったり食事に誘われたりと、気に掛けてもらっていることに感謝する。龍太さんは「農作物への被害が減ったらうれしい。どういう対策ができるか、いろいろな人と協力し良い物を作っていきたい」と意気込む。
ハンター行政マン 山梨県副知事と農政部次長 わな免許を取得
「鳥獣害の現場を知って、施策に役立てたい」「地域に貢献する」──。山梨県の行政トップである副知事と、農政部次長が、相次いで狩猟免許を取得した。2人は鳥獣被害やジビエに、関心を持つ人が増えることを期待する。
わな猟の狩猟免許を取ったのは柵木環副知事と坂内啓二農政部次長。共に農水省から同県に赴任している。
坂内さんは2018年4月に着任し、狩猟免許の取得を目指した。学科試験の勉強の他、わな猟の免許を持つ県職員からわなを借りるなどして使い方を練習。9月に免許を取得した。これに影響を受けたのが柵木さん。農水省時代から鳥獣対策の重要性を認識し、17年4月の副知事への着任後にジビエ料理を作る女性が狩猟免許を持っていることを知り、「免許取得は地域貢献につながる」と思い立った。19年2月に免許を取得した。
山梨県で減少傾向だった狩猟免許所持者数は、若手ハンター育成や免許取得者への経費助成などに力を注いだ12年度以降、増加傾向にある。
県では鹿肉を対象にした「やまなしジビエ認証制度」など、捕獲した鹿肉の有効活用も進める。「中山間地域の多い山梨県では、鳥獣害は地域の存立に関わる」と危機感を抱く2人の取り組みで、狩猟免許取得を考える県職員も増えているという。
2019年02月22日
風土を何よりも大切にし、〈うぶすな〉と読む産土を強調した
風土を何よりも大切にし、〈うぶすな〉と読む産土を強調した。社会派俳人・金子兜太cとうた)さんが逝ってから、ちょうど1年がたつ▼先日、兜太さんの故郷、埼玉県小川町に近く、長年住んだ熊谷市を訪ねた。中央公園にある句碑は〈利根川と荒川の間 雷(らい)遊ぶ〉。夏場に雷と雨が多い風土をずばり表し産土への愛着を込めた。きょう、一周忌を踏まえ会見とドキュメンタリー映画「天地悠々 兜太・俳句の一本道」の試写会がある。まさに〈天地悠々〉と生きてきた▼月刊『俳句会』2月号は特集「兜太と一茶」を組む。2人の代表作が50ずつ載る。一茶の自由な句を楽しみ〈荒凡夫〉と名付け敬愛する。〈荒〉は自然と同じ。自由な風を俳諧に吹かせたことを評価した。好奇心と人一倍の知識欲が似通う。兜太さんの故郷と、信州出身の一茶は山続きの地縁も持つ▼書家でもあった。有名な揮毫(きごう)は「アベ政治を許さない」。3年半前に安保関連法案で国会周辺を取り巻くデモのプラカードで掲げられた。安倍という字は「安心、安寧が倍になると書く。あえてアベにした」と喝破する▼その安倍さんだが週末の23日には首相在職日数で吉田茂を抜き戦後2番目に。一方で長期政権の驕(おご)りも気になる。「アベ政治を許さない」の重い意味を改めて思う。
2019年02月20日
組織挙げ改革実現 全国青年大会宣言
全国農協青年組織協議会(JA全青協)が開いた第65回JA全国青年大会は20日、ポリシーブック(政策提言集)を携え、自己改革の実現に向けて組織を挙げ取り組むとする大会宣言を採択し、閉会した。食料・農業・農村基本政策と食料安全保障に関する特別決議も採択した。
2019年02月21日

ホウレンソウ2割安 降雨、気温高で潤沢
葉物野菜の相場が低迷している。2月中旬のホウレンソウの日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は、過去5年平均(平年)と比べ2割安の1キロ383円。主力の関東産は冷え込みが緩んで入荷量が増え、今後も増量が続く見通しだ。卸売会社は「安値で特売を仕掛けるスーパーが増えている」と指摘し、月末には相場が下げ止まると見通す。
2019年02月22日
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JA営農指導実践全国大会 最優秀 田中さん(和歌山・紀州) ミニトマト出荷調製 実需者負担を評価
全国のJAの営農指導員の取り組みを審査・表彰する「JA営農指導実践全国大会」が21日、東京都内で開かれ、和歌山県JA紀州の田中俊史さん(40)の活動報告が、最優秀賞に輝いた。審査員特別賞には、青森県JAつがる弘前の鈴木美喜子さん(41)が選ばれた。JA紀州は、強固なミニトマトの産地を育成した点が評価された。JAつがる弘前は、リンゴ産地の中にピーマン産地を新たに生み出した。
2019年02月22日
バンカーシート 供給量 右肩上がり IPM普及で講演会
総合的病害虫・雑草管理(IPM)による防除の普及状況を共有しようと、東京農業大学総合研究所研究会生物的防除部会は21日、東京都世田谷区で講演会を開いた。研究者や農薬メーカーの担当者ら50人が参加。講演を通じて炭酸ガス処理装置や天敵温存資材の活用方法を確認し、IPMの今後を展望した。
2019年02月22日

「営農再開せず」「未定」計6割に 福島の12市町村調査
東京電力福島第1原子力発電所事故で被災した福島県内12市町村の農業者に対する営農再開調査で、「営農再開の意向なし」と「未定」が合わせて6割に上ることが分かった。東北農政局と福島県、福島相双復興推進機構で構成する福島相双復興官民合同チームが公表した。
同チームが2017年4月から18年12月末まで、12市町村の農業者1429人を個別訪問して意向を聞いた。「営農再開済み」(25%)と「今後、再開の意向」(15%)は合計で40%となる一方、「再開意向なし」45%、「再開未定」15%となった。
調査では、現状抱える課題も聞いた。営農を再開した農業者の課題(複数回答)は「農業機械・施設・家畜・新規作物等導入」が41%、次いで「労働力確保」と「販路や販売単価の確保」が21%となった。今後、営農再開の意向ある農業者の課題(同)として「野生鳥獣の被害防止対策」41%、「用排水路復旧」36%などが挙がった。
再開の意向がない・未定の主な理由は「高齢化や地域の労働力不足」と「帰還しない」がそれぞれ39%、「機械・施設等の未整備」は20%となった。
同チームは市町村などと連携してアンケートを追加実施し、実態を把握した上で、支援を強化する。
2019年02月05日

ウリ科野菜の苗 ロボットが挿し接ぎ 熟練者並み速さ・精度 サカタのタネが発売
ウリ科野菜の苗を、「挿し接ぎ」という手法で接ぎ木するロボットが世界で初めて開発された。この接ぎ木法は、従来の手法に比べて生育向上が見込めるが、作業が難しく、熟練技術が必要だとされていた。ロボットで難しい技術が半自動化できるため、高齢化や人手不足が課題となっている苗生産の現場で活用できる。経験が浅い農業者でも、ベテラン並みのスピードと精度で挿し接ぎが可能だ。サカタのタネが2月、全国に向けて発売した。
2019年02月05日

日本農業賞 大賞に7個人・団体
JA全中とNHKは31日、第48回日本農業賞(全中、JA都道府県中央会、NHK主催)の受賞者・団体を発表した。個別経営の部は、富山県入善町のアグリゴールド矢木、静岡県浜松市の京丸園、愛知県幸田町のマルミファームが大賞を受賞した。集団組織の部は、仙台市の農事組合法人井土生産組合、長野県飯田市のみなみ信州農業協同組合柿部会、長崎県雲仙市の島原雲仙農協雲仙ブロッコリー部会が大賞。食の架け橋の部は、愛知県豊橋市の河合浩樹さんが大賞に選ばれた。
経営や技術の改善に取り組み、地域社会の発展にも貢献する農業者や営農集団などを表彰。食の架け橋の部は、農業者と消費者を結ぶ優れた活動や地域づくりのヒントになる食や農の活動をたたえる。
特別賞は、個別経営の部で栃木県鹿沼市のJB.YASHIKI、集団組織の部で茨城県筑西市のJA北つくばこだま西瓜部会が受賞した。食の架け橋の部は、宮崎県西米良村の小川作小屋村運営協議会だった。
応募は個別経営の部で91件、集団組織の部で95件、食の架け橋の部で32件。審査会(委員長=大杉立東京農業大学客員教授)が選んだ。受賞式は3月9日、東京都渋谷区のNHKホールで開く。
優秀賞などの受賞者・団体は次の通り。
◇優秀賞▽個別経営の部=北ファーム(金沢市、水稲、大麦)カーライフフジサワ(岡山市、水稲、二条大麦)西村鉄舟・綾(長崎県諫早市、カーネーション、ガーベラ)▽集団組織の部=TOKYO X生産組合(東京都八王子市、養豚)JAならけんハウス柿部会(奈良県五條市、ハウス柿)観音池ポーク出荷組合(宮崎県都城市、養豚)▽食の架け橋の部=人と種をつなぐ会津伝統野菜(福島県会津坂下町、野菜)フレッシュ・クラブ(大阪府東大阪市、野菜、水稲)◇奨励賞▽食の架け橋の部=ワインツーリズムやまなし(甲府市、ブドウ)
2019年02月01日
日本農業賞・大賞 喜びの声 感謝…仲間に、地域に
第48回日本農業賞の受賞者が31日、決まった。先進的な経営や技術の改善に取り組み、担い手として地域の発展に貢献している農家や生産部会、法人と、食と農をつなぐ優れた個人や団体を選んだ。大賞受賞者に喜びの声や今後の抱負を聞いた。
個別経営
米+園芸通年雇用 ■アグリゴールド矢木代表・矢木龍一さん(55)=富山県入善町
目標にしていた賞だけに大変うれしい。富山ではあまり盛んではない施設園芸に取り組み、地域では早くから通年雇用を実現した。担い手不足が懸念される中、農業を魅力ある仕事にするため、一層労働環境を良くし、全国の農業経営者が目指す見本になりたい。
▽受賞理由=100ヘクタールを超す水稲に加え、冬場の雇用を確保するため2014年からミニトマトの施設栽培を開始した。17年にはイチゴ栽培にも取り組み、県内の農業法人では初めてグローバルGAP(農業生産工程管理)を取得。一年を通じで収益確保につなげた。
障害者を積極採用 ■京丸園代表・鈴木厚志さん(54)=静岡県浜松市南区
多様な人たちが力を発揮できるユニバーサル農業の取り組みが評価されうれしい。これまで支えてくれた顧客や、活動を後押ししてくれた福祉関係の人たちに感謝している。地元JAとの協力とさらなるブランド化を進めて、これからも全国に安心・安全の野菜を届けたい。
▽受賞理由=障害者や女性の積極雇用を推進。水耕栽培の芽ネギ、ミツバなど主力の小型野菜を中心に20年で売り上げを4倍、4億円に伸ばした。
良質な豚安く作る ■マルミファーム代表・稲吉克仁さん(48)=愛知県幸田町
大賞を頂けて、驚いているとともに、うれしい。父が取り組んできたことを引き継いで続けてきた。設備や機械を社員が頑張って使いこなし、良い成績を上げることができたおかげで評価を得られたと思う。全国の仲間から情報をもらえ、地元の理解もあった。多くの人に感謝したい。
▽受賞理由=繁殖・肥育一貫の養豚経営でリキッドフィーディングの導入、高生産性豚品種への全頭切り替えなどに取り組み、粗利益や出荷枝肉重量などで全国トップクラスの経営を実現。良質な豚を「高く売るより安く作る」という理念で新しい畜産経営を目指す。
集団組織
被災から再生尽力 ■農事組合法人井土生産組合代表理事・鈴木保則さん(58)=仙台市
受賞は大変うれしい。東日本大震災を経て法人の設立後、さまざまな面で支えていただいたJAグループや関係機関、消費者などに感謝したい。今後も周りとの絆を大切にしていく。まだ被災地の農業復興は道半ば。自分たちと同じ境遇の周りの法人との連携も深め、復興に尽力したい。
▽受賞理由=「われわれ15人が集落の農地を守る」という強固な意志で、東日本大震災の津波被害を受けた地域農業を再生。年間売上高1億5000万円にまで発展した。水稲は乾田直播(ちょくは)で多収量を実現。甘さや柔らかさが売りのネギを「仙台井土ねぎ」としてブランド化。6次産業化や消費者との交流にも積極的だ。
「市田柿」品質誇り ■みなみ信州農業協同組合柿部会部会長・常盤昌昭さん(74)=長野県飯田市
受賞は、長い歴史の中で産地を築いてきた農家の先輩方、JA、行政、研究機関をはじめとした多くの皆さんの努力の結晶だ。そうした先人に敬意を払いたい。若手を育成し、「市田柿」を守る使命と責任を部会組織一丸で果たしていきたい。
▽受賞理由=2060人の部会員で、特産干し柿「市田柿」を年間1500トン生産し、販売額は20億円に上る。品種を統一し、収穫時期の目安を設定するなどで原料柿の品質をそろえる。2016年には県内初の地理的表示(GI)保護制度に登録。輸出にも取り組む。
部会一丸後継育つ ■島原雲仙農協雲仙ブロッコリー部会部会長・本多幸成さん(60)=長崎県雲仙市
単価日本一を目指し、部会員一丸となって取り組んできたことが受賞につながった。まだ目標には届いていないが、努力が報われた気持ちだ。部会にはまだ伸びしろがあると思う。後継者やJAと共に、今以上の産地を目指していきたい。
▽受賞理由=部会員51人の半数超がブロッコリー専業農家。生産量は同県産の過半を占める。経営改善の意欲が高く、部会活動は活発。「若手後継者会」の設立や研修生の受け入れ・就農支援を手掛けるなど、若手農家の育成に注力する。
食の架け橋
異業種と連携活発 ■河合浩樹さん(56)=愛知県豊橋市
栽培だけでなく国産レモンの情報発信ができる農家を目指している。連携を評価されての受賞だが、取り組みの最大の背景は、多彩な品目を組み合わせ一年中出荷できる体系を整えた農業経営にある。受賞は関わってくれた人のおかげ。次のチャレンジを見据えたい。
▽受賞理由=異業種連携をする「初恋レモンプロジェクト」を結成し、イベントや多彩な加工品開発を手掛ける。無農薬レモンを30年にわたり栽培し、安定出荷を確立。ミカンオーナー制度や東三河地区の農家と「豊橋百儂人」をつくり地域農業の活性化を進める。
2019年02月01日

豚PMS判定広がる 区別化販売に生かす 開始1年で4400頭以上
昨年1月から始まった豚肉の脂肪交雑基準(PMS)判定を利用する生産者や流通業者が増えている。判定する日本食肉格付協会によると、1年間に4400頭以上で利用された。肉質改良目的や霜降り肉の優位性を高める狙い。国内市場で輸入豚肉の攻勢が強まる中、同協会は「国産の肉質を生かした区別化販売につなげてほしい」と話し、活用を呼び掛ける。
2019年01月30日
栄養成分分析できます 表示義務化に低価格で対応 大阪府立環境農林水産総研
大阪府羽曳野市にある府立環境農林水産総合研究所が、簡易分析器を活用し、農産加工品などの栄養成分の分析サービスを行っている。食品表示法で義務化された一般用加工食品の栄養成分表示の経過措置期間が2020年3月末で終了することを踏まえた取り組み。地方独立行政法人が同様のサービスをするのは全国でも珍しいという。昨年10月に始めてからの分析件数は15件だが、経過措置期間の終わりに向けて、ニーズが高まる見通しだ。
2019年01月29日
農作業事故「把握」37% JAの取り組み調査 啓発活動浸透も… 計画策定は32% 全中
JA全中は28日に農水省が開いた農作業安全に関する会議で、JAグループの取り組み状況を報告した。「農作業安全年間取組計画」を策定したり、農作業事故発生状況の把握をしたりするJAはまだ4割以下にとどまっていることが分かった。全中は「今後、しっかりやっていくよう提起したい」と農作業安全への一層の取り組みを促した。
2019年01月29日
口蹄疫 簡易検査30分で キット開発迅速対応へ 農研機構・日本ハム
牛や豚の経営に大きな被害をもたらす口蹄(こうてい)疫について、生産現場で約30分あれば簡易検査できるキットを、農研機構と日本ハムが開発した。発生の確定には東京都小平市にある同機構動物衛生研究部門での遺伝子検査が必要だが、このキットで現場で早期に疑いが分かれば、迅速な対応が期待できる。日本ハムは薬事承認を取得。農水省は近く、家畜伝染病予防法に基づく防疫指針を改定し、利用できる環境を整える方針だ。
キットの利用では、口蹄疫で特徴的な症状の水疱(すいほう)が破れた皮を採材。皮をすり潰して付属キットで前処理を行い、試薬の塗ってあるキットに検体を塗る。陽性の場合は20分ほどで線が浮かび上がる仕組みだ。
特別な 機材は不要で、キットだけで判定ができる。
キットは農家や一般の獣医師には販売せず、家畜保健衛生所に供給する。
同省は近日中に、牛豚等疾病小委員会を開き、同キットの判定をどのように運用するか議論する。検討結果は「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針」に反映し、現場で利用を進める考えだ。
2010年に宮崎県で発生した際には牛や豚など約29万頭が殺処分され、多大な被害をもたらした。早期の判定が可能になれば、対策も迅速にできると見込む。
キットの名称は「NHイムノスティック 口蹄疫」。農水省のイノベーション創出強化研究推進事業で共同開発した。
2019年01月20日