農村で宿泊したい施設 古民家希望4割超 改修助成拡充へ 農泊人気後押し 政府調査
2019年02月08日

農水省は7日、4割を超える人が「古民家・廃校などを改修した宿泊施設」での滞在を望んでいるとのアンケート調査結果を明らかにした。農泊を望む人が一定程度いることを裏付けた形。同省は2019年度予算案で、農泊向けに施設の改修などにかかる助成を拡充するなどし、地方の農泊の展開を後押しする考えだ。
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豚コレラ ワクチン餌 イノシシ使用を検討 週内にも判断 農水省
吉川貴盛農相は19日の閣議後会見で、豚コレラの感染拡大防止へ野生イノシシへのワクチン(餌に混合)使用を検討する考えを示した。ウイルスに感染した野生イノシシが拡大要因となっているとの見方がある中、岐阜県で新たに見つかった豚での感染事例でも、発生農場の周辺で豚コレラに感染した野生イノシシ2頭が見つかった。こうした事態を踏まえ、週内にも使用の是非を判断する見通しだ。
岐阜県で新たに確認された発生農場は、陽性反応が出たイノシシの発見地点から半径約3キロにある。吉川農相は「そういう(陽性反応のイノシシが感染原因となった)ことも考えられる」との認識を示した。
ワクチン使用の是非の判断に「時間はかけられない」(吉川農相)としている。22日に拡大豚コレラ疫学調査チームの検討会があり、野生イノシシの感染例を含め、これまでの調査結果が報告される。報告内容は、ワクチン使用の是非を決める上での判断材料となる見込みだ。
国内で、野生イノシシにワクチンを使用した事例はない。同省は、使用が決まった場合に備え、使用方法なども検討している。ワクチンを含ませた餌を食べさせる方法を取る見通し。ワクチンを置く場所は、感染が確認されたイノシシが見つかった地域とする方針だが、具体的な範囲は未定だ。
野生イノシシに対してワクチンを使用しても、国際獣疫事務局(OIE)が認める豚コレラの清浄国の判断には影響しない。
今回の発生を受け、岐阜県の監視対象農場は14から21に拡大。同省は、県内の全34農場に調査チームを派遣し、飼養衛生管理基準の順守状況を点検、指導している。岐阜県と同様に豚コレラが拡大している愛知県でも全198農場の巡回を検討しており、吉川農相は「愛知県も(チーム派遣の)必要性が十分ある」と指摘した。
岐阜県では同省や同県、他県の職員ら3、4人のチームが巡回中。ウイルス感染のリスクをなくすため、1日1農場を基本としている。18日までに巡回したのは11農場にとどまる。198農場が対象となる愛知県でも巡回を始めるとなると、人員の確保や効率的な調査方法の確立が課題となる。
2019年02月20日

岩手産ポークの前沢牛入りフランク JA岩手ふるさと
岩手県のJA岩手ふるさとが販売するフランクフルトソーセージ。味に定評のある県産ポークに、地元ブランドの前沢牛を練り込んだ。
県産豚肉の歯応えある食感に加え、前沢牛のうま味が重なり、かむほどに味わい深い本格派のソーセージに仕上がっている。スパイシーなペッパー味と、子どもでも食べやすいプレーン味の2種類がある。
1袋(冷凍)3本入り(1本90グラム)で1260円。JAの「産直来夢くん」や「産直センター菜旬館」、インターネットショップ「奥州うまいもん屋」などで販売している。問い合わせはJA流通販売課、(電)0197(41)5215。
2019年02月15日

地域課題解決に全力 「主張」実績発表 日々の思い熱く 全国青年大会
全国農協青年組織協議会(JA全青協)が東京都港区で開いた第65回JA全国青年大会で19日、若手農業者12人が日々の農業や青年組織の活動で感じたことや今後の目標を発表した。伝統作物の栽培継続や耕作放棄地の解消など、地域が抱える課題の解決に向けた報告が目立った。最優秀賞は20日に発表する。
2019年02月20日
TPP民間貿易 ゴルフ場会員権会社、会計士・・・ 乳製品輸入に異業種
環太平洋連携協定(TPP)で日本が設けたバターや脱脂粉乳の低関税輸入枠を使い、異業種が輸入に参入していることが分かった。民間貿易のため参入しやすく、ゴルフ場会員権の売買が主な業務の会社など乳製品とは関係がなさそうな業者が触手を伸ばした。幅広い業種から関心を集め、発効2年目の2019年度分まで枠内のほとんどの数量を消化した。酪農関係者は、投機的な動きで市場が混乱する恐れもあると警戒する。(松本大輔)
投機目的 警戒も
公認会計士・税理士事務所、印刷会社、建設会社──。TPP枠でバターや脱脂粉乳を求めた業者・個人の中には、乳業メーカーや商社だけでなく、異業種の名前も並んだ。ゴルフ場会員権取引業者は「頼まれて申請した。詳細は分からない」と明かす。
バターや脱脂粉乳は生乳需給の調整弁。そのため国家貿易が輸入量の大部分を占める。国が輸入を管理し、直近の輸入実績などで一定の条件を満たした乳業メーカーや商社に売り渡す仕組みだ。一方、TPP枠は民間貿易。農水省に申請すれば誰でも参入できる。TPP発効以前も民間貿易の仕組みはあったが、高い関税をかけるなど無秩序な輸入を防いでいた。
TPP枠はバターと脱脂粉乳合わせて最大7万トン(生乳換算)。徐々に枠内の数量は増え、関税は削減される。枠を上回る申請があった場合は抽選となり、申請を受け付けた後に残量があれば再び申請を募る仕組みだ。
発効1年目の18年度の枠は協定上、6万トン。ただ年度途中の昨年12月発効のため、実際は2万トンとなる。同省によると同年度の枠はバター97%、脱脂粉乳100%を消化した。19年度の枠は6万2000トン。初回申請時点でバター94%、脱脂粉乳99%を満たした。幅広い業者の関心が集まり、すぐに枠のほとんどを消化する人気ぶりだ。異業種の参入に同省は「ふたを開けてみて、びっくりした」(牛乳乳製品課)と受け止める。「TPPでは、こうした参入を制限するために新たな条件を設けてはならないと定められている」(同)という。
酪農・乳業関係者でつくるJミルクの前田浩史専務は「バターや脱脂粉乳は、需要に合わせて市場に放出するなど、関係者が需給安定のために動いている」と説明。低関税の民間貿易で予期せぬ業者の参入が増え、需給緩和時にたたき売るなどの動きが出てくれば、弾力的な在庫管理が難しくなり、「市場に混乱を招く恐れもある」として、今後の動向を注視する。
日本は欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)でも同様にバターや脱脂粉乳などで最大1万5000トンの低関税輸入枠を設けた。これも民間貿易で、幅広い業者から農水省に申請が集まる。
2019年02月22日

「泊」は旅館、「食」は農家 おにぎり 里山料理 宿までお届け 宮城・鳴子温泉郷
宮城県大崎市の鳴子温泉郷で、農家グループが旅館に食事を届けるケータリング事業が活発化している。自ら調理して提供することで、収益の確保につなげる。旅行客の長期宿泊を狙う旅館からの需要や、温泉街で開かれる会議などの食事として需要がある他、今後は宿泊サービスと食事を分ける“泊食分離”で、訪日外国人(インバウンド)などからの需要も見込んでいる。(塩崎恵)
地元米 ファン獲得 NPO運営店
午後4時半、鳴子温泉郷の温泉旅館「宿みやま」に、木のおけに入ったおにぎり20個が届いた。同旅館が宿泊客の夕食用に注文したもので、鳴子温泉地域の農家らでつくるNPO法人鳴子の米プロジェクトが運営するおにぎり店「むすびや」が配達した。
同旅館では月に1、2回、同店におにぎりを注文する。館主の板垣幸寿さん(63)は「食事に変化を付けて、長期滞在につなげたい」と話す。
「むすびや」は、米「ゆきむすび」のおにぎりや弁当を販売する。価格は塩むすびなら1個80円から。大きさや具材は、希望に応じて対応する。旅館からの注文は、週1回程度。旅館で開かれる会議の昼食や、旅館の夕食に利用されており、宿泊客50人用の夜食の注文もあった。現在は旅館7軒が利用する。
法人の上野健夫理事長は「『ゆきむすび』を食べてもらい、ファンを獲得するチャンス」と話す。
目の前で調理 新サービスも
鳴子温泉郷では、農家が作るオードブル「農ドブル」も2019年度から本格スタートする。泊まりに来た客に里山料理を振る舞うケータリングサービスで、県産農産物を使った料理を農家が客の目の前でも作り、提供し、交流する。県内の米やトマト、養鶏農家など15人が参加する。
同サービスは農家の所得向上を模索する中、加工品などは全国の類似商品と価格競争になると感じ、地元での販路を考えていたところ、客が集まる温泉街に目を付けた。宿泊客に農産物を食べてもらい、最終的に購入してもらうことが目的だ。
18年度は、旅館1軒で試験的に行った。季節の野菜を使った煮物やサラダ、漬物など6、7種類を農家が調理し、出来たてを提供。料金は1人5000円からで、20人から予約を受け付けた。旅館では団体研修などが開かれることが多く、月2、3回の利用があり、手応えを感じている。今後は、インバウンド需要を見込む。
企画した同市の「ブルーファーム」の早坂正年代表は、海外では宿泊と食事をする場所が別であることが一般的とし、「日本だけでなく世界をターゲットにすれば、70億人の市場になる。農家が自ら調理して提供することで利幅を増やす」と意気込む。18年度の試験結果を基に、値段やサービス内容を検討していく。
2019年02月19日
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TPP民間貿易 ゴルフ場会員権会社、会計士・・・ 乳製品輸入に異業種
環太平洋連携協定(TPP)で日本が設けたバターや脱脂粉乳の低関税輸入枠を使い、異業種が輸入に参入していることが分かった。民間貿易のため参入しやすく、ゴルフ場会員権の売買が主な業務の会社など乳製品とは関係がなさそうな業者が触手を伸ばした。幅広い業種から関心を集め、発効2年目の2019年度分まで枠内のほとんどの数量を消化した。酪農関係者は、投機的な動きで市場が混乱する恐れもあると警戒する。(松本大輔)
投機目的 警戒も
公認会計士・税理士事務所、印刷会社、建設会社──。TPP枠でバターや脱脂粉乳を求めた業者・個人の中には、乳業メーカーや商社だけでなく、異業種の名前も並んだ。ゴルフ場会員権取引業者は「頼まれて申請した。詳細は分からない」と明かす。
バターや脱脂粉乳は生乳需給の調整弁。そのため国家貿易が輸入量の大部分を占める。国が輸入を管理し、直近の輸入実績などで一定の条件を満たした乳業メーカーや商社に売り渡す仕組みだ。一方、TPP枠は民間貿易。農水省に申請すれば誰でも参入できる。TPP発効以前も民間貿易の仕組みはあったが、高い関税をかけるなど無秩序な輸入を防いでいた。
TPP枠はバターと脱脂粉乳合わせて最大7万トン(生乳換算)。徐々に枠内の数量は増え、関税は削減される。枠を上回る申請があった場合は抽選となり、申請を受け付けた後に残量があれば再び申請を募る仕組みだ。
発効1年目の18年度の枠は協定上、6万トン。ただ年度途中の昨年12月発効のため、実際は2万トンとなる。同省によると同年度の枠はバター97%、脱脂粉乳100%を消化した。19年度の枠は6万2000トン。初回申請時点でバター94%、脱脂粉乳99%を満たした。幅広い業者の関心が集まり、すぐに枠のほとんどを消化する人気ぶりだ。異業種の参入に同省は「ふたを開けてみて、びっくりした」(牛乳乳製品課)と受け止める。「TPPでは、こうした参入を制限するために新たな条件を設けてはならないと定められている」(同)という。
酪農・乳業関係者でつくるJミルクの前田浩史専務は「バターや脱脂粉乳は、需要に合わせて市場に放出するなど、関係者が需給安定のために動いている」と説明。低関税の民間貿易で予期せぬ業者の参入が増え、需給緩和時にたたき売るなどの動きが出てくれば、弾力的な在庫管理が難しくなり、「市場に混乱を招く恐れもある」として、今後の動向を注視する。
日本は欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)でも同様にバターや脱脂粉乳などで最大1万5000トンの低関税輸入枠を設けた。これも民間貿易で、幅広い業者から農水省に申請が集まる。
2019年02月22日
豚コレラ 損害農家融資を支援 補正予算で12億円 愛知県
愛知県は21日、豚コレラの発生とそれに伴う出荷制限で損害を受けるなどした養豚農家に対し、経営再建のための12億円規模の金融支援策を設けると発表した。農家が金融機関から資金を借り入れる際、県が利子と保証料を負担し、実質無利子・無保証で融資を受けられるようにする。18年度一般会計補正予算として、25日開会の県議会2月定例会に追加提案する。
「豚コレラ緊急対策」として11億8170万円を盛り込んだ。対象は、豚を殺処分した豊田市と田原市の9戸と、出荷遅延で売り上げが減ったり、飼料代が増えるなどした県内の農家。
損害を受けた農家には国から頭数に応じ手当金が支払われるが、申請や審査の手続きなどで交付まで4カ月ほどかかる見込み。その間のつなぎ融資で農家が円滑な資金繰りをできるようにする。
2019年02月22日

鳥獣対策 さあ出番 肉も皮も活用 捕獲へ率先
大阪府から鳥取県琴浦町に兄弟で移住した高橋龍太さん(29)、太雅さん(25)は、野生鳥獣の肉(ジビエ)や皮革の魅力発信に力を注ぐ。農作物に被害を与える野生鳥獣の駆除や資源活用を広め、地域の活性化につなげる夢を描く。
ジビエ兄弟 高橋龍太さん、太雅さん 農業救え 移住決断 鳥取県琴浦町
兄の龍太さんは、鳥取大学在学中にボランティアで同町を訪問。町や人情に引かれ、2015年から3年間、地域おこし協力隊員として活動してきた。活動中に、農作物などへの鳥獣被害を目の当たりにし、就任1年目にわな猟の狩猟免許を取得。被害調査や捕獲後の利活用を進めるジビエ教室などを開いた。
17年には、「ジビエの全てを愉(たの)しむ組織」として、新米猟師2人と任意団体カサドールを立ち上げた。野生獣の解体体験やトークイベントなどを定期的に開き、狩猟やジビエに興味がある人を呼び込む活動を展開。今は30、40代を中心に40人以上が参加するまでに拡大した。
「これ以上にやりたいことがない」と、任期が終了した17年、同町に定住を決めた龍太さん。皮革の販売や商品開発をなりわいにすることに決めた。これまでに販売した皮革が神社のお守り入れになった他、名刺入れを開発中だ。
弟の太雅さんは、やりがいのある仕事を探し、兄を追って17年から同町の地域おこし協力隊員として活動。ジビエ料理の移動販売を計画し、3月にもスタートさせる。県内のイベントでイノシシ肉を使ったタコスや肉巻きおにぎりを販売したところ、好評だった。「豚肉の方がおいしいと思っていたが、臭みも気にならず、イノシシ肉の方が好き」とほれ込んだ。
2人は、住民から野菜をもらったり食事に誘われたりと、気に掛けてもらっていることに感謝する。龍太さんは「農作物への被害が減ったらうれしい。どういう対策ができるか、いろいろな人と協力し良い物を作っていきたい」と意気込む。
ハンター行政マン 山梨県副知事と農政部次長 わな免許を取得
「鳥獣害の現場を知って、施策に役立てたい」「地域に貢献する」──。山梨県の行政トップである副知事と、農政部次長が、相次いで狩猟免許を取得した。2人は鳥獣被害やジビエに、関心を持つ人が増えることを期待する。
わな猟の狩猟免許を取ったのは柵木環副知事と坂内啓二農政部次長。共に農水省から同県に赴任している。
坂内さんは2018年4月に着任し、狩猟免許の取得を目指した。学科試験の勉強の他、わな猟の免許を持つ県職員からわなを借りるなどして使い方を練習。9月に免許を取得した。これに影響を受けたのが柵木さん。農水省時代から鳥獣対策の重要性を認識し、17年4月の副知事への着任後にジビエ料理を作る女性が狩猟免許を持っていることを知り、「免許取得は地域貢献につながる」と思い立った。19年2月に免許を取得した。
山梨県で減少傾向だった狩猟免許所持者数は、若手ハンター育成や免許取得者への経費助成などに力を注いだ12年度以降、増加傾向にある。
県では鹿肉を対象にした「やまなしジビエ認証制度」など、捕獲した鹿肉の有効活用も進める。「中山間地域の多い山梨県では、鳥獣害は地域の存立に関わる」と危機感を抱く2人の取り組みで、狩猟免許取得を考える県職員も増えているという。
2019年02月22日

ホウレンソウ2割安 降雨、気温高で潤沢
葉物野菜の相場が低迷している。2月中旬のホウレンソウの日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は、過去5年平均(平年)と比べ2割安の1キロ383円。主力の関東産は冷え込みが緩んで入荷量が増え、今後も増量が続く見通しだ。卸売会社は「安値で特売を仕掛けるスーパーが増えている」と指摘し、月末には相場が下げ止まると見通す。
2019年02月22日

「氷結」に愛媛産「せとか」キリンビール JAえひめ南原料提供 1本1円被災地に寄付
キリンビールは、愛媛県のJAえひめ南宇和島共選の中晩かん「せとか」を使ったアルコール飲料「キリン 氷結 愛媛産せとか」を4月中旬から全国で販売する。同社は西日本豪雨の被災地の復興を支援するため、売り上げの中から1本につき1円を寄付する。
2019年02月22日

畜産物不正持ち込み 中国最多 18年4・2万件 3年で1・5倍 歯止めかからず
2018年に中国の旅行客が日本に不正に持ち込んだソーセージやハムといった畜産物の数が、ここ10年で最多だったことが農水省のまとめで分かった。4万2280件と3年で1・5倍に急増。中国でまん延するアフリカ豚コレラ(ASF)は、豚の加工品などを介して感染する恐れがあり、同省は旅客にルール順守を呼び掛けるが、違反に歯止めがかからない。同省の推計だと、中国からの豚肉由来の畜産物は現在も月1500件のペースで見つかっている。(金子祥也)
18年に中国を含む世界から日本に不正に持ち込まれた畜産物は速報値で9万3957件(上位10カ国の合計)。10年は1万7815件だったが、インバウンド(訪日外国人)の増加で数が膨らみ、17年に9万件を突破。2年連続で過去最多の水準に達した。その4割超を占め、増え続けるのが中国。同国はASFが発生しているため、特に警戒が必要な国だ。
日本は家畜伝染病予防法で、畜産物の輸入に同省動物検疫所の許可が必要と定める。ただ、個人消費用は検査しても許可されることはほぼなく、旅行客の持ち込みは実質できない。
違法に持ち込まれた畜産物からは、実際に同省のモニタリング検査でASFウイルスが見つかっている。昨年10月、北海道の新千歳空港で没収したソーセージからASFウイルスを検出。他にも羽田、成田、中部、関西、福岡の各空港で感染した肉製品が出ており、18年10月から19年2月13日までの4カ月半で10件に達した。検査対象は没収物のごく一部で、感染した畜産物はもっと持ち込まれている可能性もある。
畜産物はX線による発見が難しいため、主に検疫探知犬が探す。没収物の半数を探知犬が見つけるなど精度は高いが、全国で33頭しかおらず、配備するのは主要7空港だけだ。不定期で地方空港や港にも出動するが頻度は少ない。例えば、船の寄港数日本一の博多港は9割が中国からのクルーズ船だが、これまで探知犬の活動はない。同所にはASF拡大を受け、各県から探知犬の要望が寄せられているという。
現在、地方空港では家畜防疫官による監視体制を強化。旅客が入国検査を終え、税関カウンターに向かうまでに声掛けする。ただ、「言葉の壁がある上、没収すると激高する人もいる」(企画調整課)ため、作業は難航することもある。携帯翻訳機・通訳を配備して対応を急いでいる。
畜産物の不正な持ち込みは、100万円以下の罰金か3年以下の懲役に問える。同所は「ポスターで罰則を強調し、違反を防いでいる」(同課)としているが、多過ぎる違反件数に対して罰則を適用した例は少ない。
自分たちで守るしか…
インバウンドが増えている九州の産地は危機感を強める。みやざき養豚生産者協議会は、県内に寄港するクルーズ船のごみ処分地を県に確認するなど神経をとがらせる。「経済効果もあり、観光客に来るなとは言えない。自分たちで守るしかない」と覚悟する。
鹿児島県黒豚生産者協議会の牛留道夫会長は「インバウンド需要も良いが、豚コレラ終息までは防疫に注力してほしい」と国に注文。台湾でASF侵入対策として不正持ち込みの罰金額を引き上げたことを踏まえ、「日本でも検査を厳しくしてほしい」と訴える。
2019年02月21日

「一村逸品」 大賞に宮城・JA仙台「仙大豆ソイチョコみかん」 香ばしさと爽やかさ融合
日本農業新聞は20日、第15回一村逸品大賞の中央審査会を東京都内で開き、大賞に宮城県・JA仙台の「仙大豆ソイチョコみかん」を選んだ。
焙煎(ばいせん)した県産大豆「ミヤギシロメ」を丸ごとチョコレートで包んだ菓子。香ばしい大豆の風味に爽やかなミカンの香りが融合。ミカンは、震災復興時に人的支援を受けた愛媛県のJAおちいまばりが提供した。審査委員長を務めた漫画家のやくみつるさんは「地味に見えたが、いただくとおいしい。愛媛との連携も良い」と評価した。
JA仙台の菅野育男組合長は「長年の苦労が実った思い。昨年の豪雨で甚大な被害を受けたにもかかわらず、ミカンを提供していただいた姉妹JAのおちいまばりさんにも感謝したい」と語った。
大賞に続く金賞には、「超低糖度ジャム」(山梨県・農業法人清里ジャム)と、「JA小松市のとまとケチャップ」(石川県)の2点を選んだ。
受賞団体は5月9日に開催予定の日本農業新聞全国大会で表彰する。
2019年02月21日
農事用電力継続へ 大手10社 20年以降も当面 電気料金自由化
電気料金自由化に伴う経過措置が2020年4月から原則撤廃されることを踏まえ、関西電力、九州電力など大手電力会社が、農事用電力料金を20年以降も当面、継続する方針を固めた。農事用電力は農業水利施設などで農家らが活用しており、一般の低圧電力に比べて安価な料金メニューが設定されている。土地改良区や農家からの強い要望を踏まえた。
2019年02月21日

外国人雇用制度 課題積み残し 生活支援誰が? 派遣元のサポート期待 技能実習生受け入れ法人
昨年の臨時国会で改正出入国管理法が成立し、4月から新たに外国人を雇用する制度がスタートする。短期間の受け入れも可能となり、農・漁業では直接雇用だけでなく派遣形態でも受け入れができるようになるため、生産現場の期待は高い。ただ、外国人労働者が地域社会になじめるような生活支援の枠組みなど不透明な部分が多く、制度開始を前に、不安を訴える声が上がる。働く外国人にとっては、家族の呼び寄せが基本的にできないなど、先送りされた課題も残る。
鳥取県大山町の「当別当育苗」では、フィリピンからの技能実習生、アンジェリカ・キントさん(27)がポット苗を運ぶ作業に励む。「ここに来てよかった。親切で学ぶことが多い。ごますりじゃなくて、本音よ」。個室が整備されるなど働く環境に感謝するものの、母国に残した3人の子どもを思うと、切ない気持ちがこみ上げるという。夫と義理の母が子育てをするが「お金をためて仕送りをするの。早く会いたいわ」と話す。
年間160万ポット のスイカやトマトなどの苗を専業農家向けに出荷する同社。32年前に商社マンから農家に転職した當別當英治さん(68)が経営し、5年前から技能実習生を年間4人程度受け入れる。「気持ちよく働いてもらった方が経営にプラスになる。コミュニケーション不足は仕事のミスにつながる」と考え、実習とは別に、来日後1年間は毎日、自ら日本語を教え、対話を深める。食事や旅行などイベントも欠かさず、研修生の母国の文化や国民性を勉強して理解し、日常生活をサポートしてきた。
国際貢献の名の下に行う研修と、事実上は労働力として受け入れる現場の実態に「無理がある」と感じていたことから、新制度に期待は大きい。作物に応じた派遣を希望し「直接雇用ならサポートもできる限りするが、派遣で生活支援を派遣会社が担うことになれば農家の負担軽減になる」と考える。
家族呼び寄せ 要望強く
家族の呼び寄せや生活支援をどこが担うかなど、4月からの制度開始を前に積み残された課題は多い。新制度では、外国人から要望の強い家族の呼び寄せは原則できないが、子どもを母国に残す場合、一時帰国は可能になる。ただ、来日、帰国時と同様に、一時帰国でも飛行機代は外国人が負担することになる見通しだ。人権の観点から家族帯同への要望は強く、経済同友会も1月に必要性を提言している。
新制度では、受け入れる農家や派遣会社が支援できない場合、日本語習得や社会で暮らすための教育、住宅確保や手続きのサポートといった生活支援などを国が認定する「登録支援機関」が担う。業界団体や弁護士、社会労務士などが想定される。監理団体が登録支援機関になることもできる。ただ、同機関がどの地域で、どこまできめ細かくサポートできるかは不透明だ。外国人雇用を視野に入れる関東の農家は「実習生のように、受け入れ農家が責任を問われない派遣(形態)に期待している」と本音を明かす。
法務省は今月から新たな仕組みについて、47都道府県で説明会を開いている。同省は「雇用計画や支援計画の基準などを記した政省令を公表できていないが、説明できる範囲で理解を求めていく」(入国管理局)とし、細部は「検討中」を繰り返す。
4月からの施行を前に、自治体担当者は「国に聞いても不明確な点ばかり。人手不足対策は切実な問題なので、走りながら課題を検証して、運用を改善していくしかない」などと説明する。全国に先駆けて外国人を派遣する「農業サービス事業体」を発足し、5月から外国人を生産現場に派遣する長崎県は「政府の方針を受けて生活支援などを決めていきたい」(農業経営課)としている。
現行制度 教訓生かせ
外国人技能実習生や新たな在留資格を研究する早稲田大学の堀口健治名誉教授の話
新たな制度は4月に始まるが、仕組みが定まっておらず“生煮え”の状況だ。当面、農家やJAは技能実習生で対応を進めることになるだろう。
技能実習制度では、訪れる外国人も受け入れる農家側も双方にメリットがあるよう、生活面も含めて多くの農家は配慮してきた。新制度では、技能実習制度に比べると作業に制限がないことがメリットとされるものの、トラブルも想定される。費用負担や手続きなど、どこが責任を負ってフォローするのか、派遣で支援体制が機能するのかなど、課題が残される。技能実習制度の教訓や仕組みを生かした対応が求められる。
2019年02月21日

18年豆乳 製造量10年で倍増 無調整、風味付け好調
2018年の国内豆乳類の製造量は前年比6・9%増の36万2794キロリットルで、過去最多を更新したことが日本豆乳協会の調べで分かった。前年超えは10年連続となり、08年から倍増した。特に、大豆と水のみを原料とする無調整豆乳や、風味を付けた豆乳飲料が支持を広げた。同協会は「健康志向で牛乳からの切り替えが進み、定着している」と分析する。
分類別で最も伸びが大きかったのは、紅茶や抹茶などの風味を付けた「その他豆乳飲料」。製造量は前年比14・2%増の5万9163キロリットルで、前年の減少から増加に転じた。夏場に凍らせてアイスにする食べ方が話題となった。秋から冬にかけては、駅の自動販売機で温かい豆乳飲料を発売するなど、需要を盛り上げている。キッコーマンは「新しい楽しみ方で豆乳飲料を飲む人が増えている」とみる。
無調整豆乳も、7・8%増の9万7385キロリットルと好調だ。消費者の健康志向から、風味や原料にこだわるニーズが高まっている。国産大豆を使った無調整豆乳などを販売するマルサンアイは、「原産地や国産にこだわる顧客から支持されている」と話す。
分類別で製造量が最も多い調製豆乳は、4・8%増の19万570キロリットルだった。飲むだけでなく、シチューやスープ、みそ汁に入れるなど調味料としての活用も進む。自宅でも冷蔵庫に常備する習慣が広がっており、同協会は「繰り返し購入する人が増えている」と分析する。
同協会は、20年までに豆乳類の国内製造量を50万キロリットル強に伸ばす目標を掲げる。
「学校給食の料理などの活用や、インバウンド(訪日外国人)需要を見据えて普及を強めていく」と意気込む。
2019年02月21日