綱渡りの生乳需給 飲用上げ弾みに増産を

 生乳需給は綱渡りが続いている。Jミルクは、2019年度の需給を予測し、前年度比0・9%増と4年ぶりの増産を見通した。だが、都府県の生産基盤弱体化に歯止めがかかっていない。4年ぶりの飲用乳価引き上げをてこに、官民挙げた着実な増産対策を進めるべきだ。

 相次ぐ自由化で、酪農家の生産意欲に悪影響を及ぼさないか。今春には日米貿易協定交渉も待つ。国産乳製品への打撃は、徐々に出てくると見込まれ、需給にどう響くか注視したい。

 こうした中で、Jミルクの生乳需給見通しは微増となった。北海道が昨秋の大地震の影響から立ち直る見込みが大きい。半面、都府県は減少幅が縮まってきたとはいえ、減産傾向が続く。需給見通しとセットで農水省は、来年度のバターと脱脂粉乳の輸入枠数量を発表した。

 注目したいのは、バター2万トン(製品換算)と、1年前の当初枠に比べ7000トンと大幅に輸入を増やした点だ。需要が増えているためだが、今後も消費増が続くか不透明だ。生乳に換算すれば約24万7000トンと酪農産地、数県分の数量だ。それだけに国内の乳製品市況をはじめ、需給状況によって来年度の乳製品価格交渉にも影響する。

 本年度は、都府県対策を重視した大手乳業メーカーが指定生乳生産者団体との価格交渉で、飲用向けを4年ぶりに引き上げた。一方で、加工向けは乳業によって対応は分かれたが、最終的に据え置きで決着した。

 自由化に伴って乳製品の輸入は拡大していく。それに加えて今回のバター輸入枠の大幅拡大。会見で「バター輸入枠が大き過ぎないか」との指摘に、同省は「あくまで枠であり5、9月の時点で生産状況を見て見直しもあり得る」と応じた。

 焦点は夏の気温と生乳生産の状況だ。改元絡みの10連休で学校給食向け牛乳の休止もあり、気温次第で一挙に加工向けが増える可能性もある。国は需給動向を精査し、輸入枠見直しも含めて迅速に対応するべきだ。

 間違いないのは、9月の生乳需給が例年以上の綱渡りとなることだ。9月の道外移出量は前年同期比23%増の6万トン強を見通すが、輸送能力の限界に近い。昨秋の北海道地震の教訓は道と都府県の均衡ある酪農発展だったはずだ。都府県の生産底上げが欠かせない。

 気になるのは、輸入枠発表時に示した同省の国内生乳生産の見通しがあまりにも楽観的なことだ。2歳未満の未経産牛の増頭などから、長期目標750万トンに向けて「順調に回復していく」とした。自由化が加速し、生産コストが上がる中で果たしてそうだろうか。

 国は畜産クラスターや初妊牛導入対策などを拡充するが、償還金返済や家畜ふん尿処理の環境対応など課題も多い。中山間地域や家族経営にも光を当て、北海道と都府県のバランスある発展を見据えた酪農行政が求められている。 
 

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