適正管理議論へ 和牛精液問題で農水省が検討会
2019年02月09日
農水省は8日、和牛の受精卵や精液を海外に不正に持ち出した事例が発覚したことを受け、適正な流通管理を議論する検討会を設置することを明らかにした。有識者や畜産関係者らで構成し、初会合を15日に開く。
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増える野菜輸入 国内産地の基盤強化
野菜の輸入が増えている。財務省の貿易統計によると、2018年の生鮮野菜の輸入量は17年比14%増の約95万トンと、05年以来の高水準。冷凍野菜は過去最高の約105万トンに達した。国産の作柄不良による高値が要因だ。輸入野菜の定着を防ぐためにも、今こそ国内産地の基盤強化が欠かせない。
生鮮野菜の輸入量は、安全性への懸念などから伸び悩んでいた。だが、18年には国産野菜の高騰を受け、1月から輸入が前年を上回った。3月には単月として13年ぶりに13万トンを記録。梅雨明け以降も、不順な天候が影響し国産が再び高騰し、7~11月の輸入量は前年を上回った。
品目別に見ると、結球野菜の増加が目立つ。伸び率が最も高かったのはハクサイで、17年と比べて6・4倍の1万6451トン。次いで結球キャベツが2・4倍の9万2357トンとなった。市場関係者は「輸入物は長期契約取引するケースが多い」と指摘、19年以降も高水準の輸入が続くとみる。
過去最高の輸入量を記録した冷凍野菜は、2年連続で100万トンを超えた。生鮮野菜の高騰が主因だが、日本冷凍食品協会によると「年間を通じて安定価格で販売している点が評価されている」とみる。冷凍野菜は長期保存ができるなど利便性があり需要が高い。このためスーパーだけでなく、コンビニやドラッグストアでも扱う店舗が増えている。労力不足を背景に、大手外食店でも調理済みの冷凍野菜を使うケースも多い。
心配なのは輸入野菜の定着だ。実際、生鮮のハクサイとキャベツは、国産の出回りが秋以降に増えても輸入が減らず、輸入に需要を奪われ、11、12月の国産の価格は平年を下回った。価格と安定供給を“武器”に、輸入野菜が加工・業務用市場のシェアを拡大している。
女性の社会進出による共働き世帯や単身世帯の増加、高齢化の進行などで食の外部化や簡便化は進み、ますます加工・業務用需要が高まることは必至で、国内産地の対応が急がれる。
実需側の国内産地への期待は高い。流通加工業者を対象とした農水省の国産原材料の使用割合調査(17年度実施)によると、「外国産を増やしたい」が1・3%だったのに対し、「国産野菜を増やしたい」が38%に上った。首都圏のスーパーでは、国産にこだわった冷凍野菜を販売したところ、売り上げは前年比2割近く伸び、安全・安心につながる国産ニーズは高いことがうかがえる。
追い風は、食品表示基準の改正だ。22年3月末までに全ての加工食品に原料原産地の表示が義務付けされる。輸入野菜の利用が多い加工業者の中には、国産に切り替える動きが出てくることも想定される。
こうした国産への期待や制度変更に伴う動きを好機と捉え、輸入に負けない強い産地づくりが求められている。
2019年02月22日

日本農業のグローバル化 知恵結集し輸出促せ 木之内農園会長 木之内均
日本社会は今、あらゆる分野のグローバル化について騒がれている。しかし、農業分野ではどうだろうか。
農水省の輸出促進対策などもあり、多くの日本の農産物や加工品が海を渡り、世界各地で日本食ブームを巻き起こしている。輸出対策が始まる前に、私は日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査員として、東南アジア各国を回ったことがあるが、その頃は、日本の農産物を海外で販売することなど、考えもしなかった。
だが、実際に海外諸国へ行ってみると、鳥取県の梨や青森県のリンゴが既に輸出を成功させており、高い評価を受けていた。
当時は牛海綿状脳症(BSE)のため輸出できなかったが、和牛の肉は各国から要望があり、オーストラリア産「WAGYU」が知名度を伸ばしていた。
高評価に可能性
私はこの現象に驚いたと同時に、日本農業の可能性の大きさに、夢を感じずにはいられなかった。ところが日本の農業界では、まだ海外に目を向ける人はほとんどいない状況だった。
農業は大地に足をつけ、日々こつこつと動植物の世話をすることから始まる。日本の農村は、まさしく江戸時代の鎖国状態のようだった。
あれから十数年、農水省の輸出促進策の効果もあり、今では日本の農産物が世界に通用することを、多くの人々が認識する時代となった。
だが、このことが日本の農業者や産地を本当に潤しているのだろうか。私にはそう見えない。
私が会長を務める木之内農園を含めて、いくつかの農業法人や若手農家の中には海外進出を模索している人がいることは確かである。しかし、それは点にとどまる。
日本農業のように島国で閉ざされた所で育った個人や小さな法人経営体では、現実として海外進出のリスクや投資に耐えられるだけの体力を持つ経営体は、ごく一部にすぎない。
資金もさることながら、言葉や人種、宗教や文化の違いを乗り越えて、海外で本格的に農業ビジネスを展開できる経営体は無いと言っても過言ではない。
技術は世界水準
私は若い頃にブラジルで1年以上過ごし、その後も多くの国で農業に関わる仕事をしてきた。つい先日も米国のフロリダで開かれた米国イチゴ学会に参加した。
世界の農業者や研究者、農業関連企業の方と話をすると、全員が世界の市場を見据えた上で、自分の事業の進め方を考えている。日本のように、国内市場を中心に考えている農業とは全く異なっている。
日本農業は、島国で狭い耕地や四季の変化を持続的に利用し、高温多雨なモンスーン気候の中で繊細な営農技術を培ってきた。さらに、世界で最も高品質で安定的な生産ができる技術も編み出してきた。
生産現場が育んできたこの技術と、至れり尽くせりの機械や資材メーカーの技術、そして流通やマーケティング。全ての業界が協力して日本の農業と農畜産物のプラットホームを整え、世界に向けて貢献することこそが、日本農業の本当のグローバル化であり、求められる道筋ではないかと感じてならない。
きのうち・ひとし 1961年神奈川県生まれ。九州東海大学農学部卒業後、熊本県阿蘇で新規参入。(有)木之内農園、(株)花の海の経営の傍ら、東海大学教授、熊本県教育委員を務め若手育成に力を入れる。著書に『大地への夢』。
2019年02月18日
農地付き空き家 取得面積に特例 市町村が 「下限」設定へ
政府は、農村移住を促すため、農地付きの空き家について、農地取得の下限面積を引き下げやすくする方針を固めた。農地法は農地の取得を認める下限面積を原則、都府県で50アール、北海道で2ヘクタールと定めている。今回、地域再生法を改正して市町村が下限面積を定められる仕組みを設ける。通常国会に改正案を提出する。
現行制度でも担い手が不足している地域では、農業委員会の判断で下限面積を1アール程度まで引き下げられる特例がある。
農水省によると、この特例で原則より低い下限面積を設定した農業委員会は2018年10月現在で全国で153あるという。ただ、特例を活用するには、農業委員会による公示などの手続きが必要となっている。
改正案では、市町村が「既存住宅活用農村地域等移住促進事業計画」を作成。空き家などの取得や研修など就農への支援に加え、下限面積の例外を記載する。特定区域内で農地を取得する際の「基準面積」を設定。農業委員会が同意すれば、この基準面積を下限として扱えるようにする。
ただし、現行同様、既存の営農に支障が出ないよう、特定区域内に①遊休農地がかなり存在する②担い手への農地集積に支障がない──を同意の要件とする方針だ。
2019年02月19日
農事用電力継続へ 大手10社 20年以降も当面 電気料金自由化
電気料金自由化に伴う経過措置が2020年4月から原則撤廃されることを踏まえ、関西電力、九州電力など大手電力会社が、農事用電力料金を20年以降も当面、継続する方針を固めた。農事用電力は農業水利施設などで農家らが活用しており、一般の低圧電力に比べて安価な料金メニューが設定されている。土地改良区や農家からの強い要望を踏まえた。
2019年02月21日
改元が近づく
改元が近づく。日曜日の天皇在位30周年式典を経れば、平成への郷愁と新しい時代への思いも一気に高まるだろう▼全国を巡回中の天皇、皇后両陛下ご成婚60年写真展は、お二人の歩みが描かれる。会場を訪れた皇后さまは、幼かった頃の皇太子さまらの写真に思わず「まぁ小さい」と笑顔に。天皇陛下の印象深い写真は、被災地と寄り添い、東日本大震災の避難所で震度3の余震に見舞われても話し掛ける姿である▼『旅する天皇』(竹内正浩著)は「天皇は日本一の旅人である」で説く。30年間の旅の記録は62万4321キロ、地球を15周半回ったのと同じ距離だという。その中では、世界平和を念じながら、南方諸島へ先の大戦の慰霊の旅も。こだわったのは、“大災害の時代”平成にあっての被災地への訪問である▼改元はどんな漢字二文字になるのか。前向きで平易が原則だが、これまでの明治、大正、昭和、平成のローマ字の頭文字M、T、S、Hは除かれる見通し。願いと違った世相でも困る。典型は幕末の「安政」。いい漢字が並びいい感じ。だが「安政の大獄」に象徴されるように時代は逆に進む▼平成最後の「歌会始」で皇后さまは〈今しばし 生きなむと思ふ寂光に 園の薔薇(さうび)のみな美しく〉と詠む。お気持ちが痛いほど伝わる。
2019年02月22日
農政の新着記事
ため池 適正管理へ 法案を閣議決定 政府
政府は19日、農業用ため池の管理保全法案を閣議決定した。決壊による災害が起きるのを防ぐため、防災上重要なため池の改修などを進めることが柱。管理や防災工事にかかる費用は国や自治体が支援することも盛り込んだ。梅雨や台風への備えが進むよう、今国会での早期成立を目指す。
吉川貴盛農相は、同日の閣議後会見で、法案の狙いとして農業用水の確保と決壊による水害などの防止を挙げ「ため池の管理はこれから最も大切になる」と強調した。
法案では、所有者や管理者が都道府県に届け出することを義務付け、豪雨や耐震対策など適正な管理を求める。不適切だった場合、都道府県が勧告する。
人的被害を含め周辺地域に被害を与える恐れがある農業用ため池を都道府県が「特定農業用ため池」に指定し、着実に防災工事を実施させる。利用はあるが所有者が不明な場合、市町村が管理権を得ることができるようにする。20年度までに指定した全てのため池でハザードマップの作成を掲げる。
国や自治体は、ため池の管理に必要な資金や技術指導を所有者らに支援する。国は都道府県に対し、防災工事にかかる費用の一部を補助する。
農業用ため池を巡っては、2018年7月の西日本豪雨で広島県など6府県で32カ所ため池が決壊した。農水省によると、国が把握するため池9万6000カ所のうち、30%の2万8700カ所は、所有者が不明だ。
2019年02月20日
豚コレラで自民議連会合 ワクチン是か非か 農水省、豚には「慎重」 養豚協会接種要請
豚コレラの感染拡大を防ぐ緊急ワクチン接種の是非が議論を呼んでいる。19日の自民党養豚農業振興議員連盟の会合で、日本養豚協会が早急な接種を要請したが、農水省は慎重姿勢を崩さなかった。接種すれば長年かけて築いてきた清浄国の立場を失い、豚肉の輸出などにも影響しかねないからだ。だが、終息は見えず、農家からは接種を求める声が高まる。政府・自民党は難しい調整を迫られている。
2019年02月20日
農地付き空き家 取得面積に特例 市町村が 「下限」設定へ
政府は、農村移住を促すため、農地付きの空き家について、農地取得の下限面積を引き下げやすくする方針を固めた。農地法は農地の取得を認める下限面積を原則、都府県で50アール、北海道で2ヘクタールと定めている。今回、地域再生法を改正して市町村が下限面積を定められる仕組みを設ける。通常国会に改正案を提出する。
現行制度でも担い手が不足している地域では、農業委員会の判断で下限面積を1アール程度まで引き下げられる特例がある。
農水省によると、この特例で原則より低い下限面積を設定した農業委員会は2018年10月現在で全国で153あるという。ただ、特例を活用するには、農業委員会による公示などの手続きが必要となっている。
改正案では、市町村が「既存住宅活用農村地域等移住促進事業計画」を作成。空き家などの取得や研修など就農への支援に加え、下限面積の例外を記載する。特定区域内で農地を取得する際の「基準面積」を設定。農業委員会が同意すれば、この基準面積を下限として扱えるようにする。
ただし、現行同様、既存の営農に支障が出ないよう、特定区域内に①遊休農地がかなり存在する②担い手への農地集積に支障がない──を同意の要件とする方針だ。
2019年02月19日
トラクター規制緩和 公道走行実施延期へ 対応方針定まらず 国交省
トラクターが作業機を装着したまま公道を走れるよう政府が規制緩和を検討している問題で、国土交通省は18日、実施は当初予定していた2018年度内から、2年以上延期になるとの見通しを示した。灯火器が見えにくくなる作業機や、けん引タイプの作業機の対応が定まらないためだ。同省が示した工程では、直接装着する作業機は20年度内、けん引タイプは21年度内に、緩和と対応の中身を固める。
2019年02月19日
中山間地ルネッサンス バイオマスに優先枠 雇用創出を後押し 19年度農水省
農水省は、予算に優先枠を設けて中山間地を支援する「中山間地農業ルネッサンス事業」の拡充を決めた。2種類ある関連事業の優先枠の予算規模をそれぞれ増額。その上で、バイオマス施設の整備でも、優先枠を新たに設ける。農産物にとどまらない中山間地の資源を幅広く活用し、雇用創出などを後押しするのが狙いだ。2019年度から始める。
2019年02月17日

停電、断水に備え 酪農災害対応で手引 北海道
昨年9月の北海道地震による道内全域の停電で酪農に大きな被害が出たことを踏まえ、道は酪農家やJAの災害対応のマニュアルをまとめた。被災の経験を参考に、自家発電での搾乳に必要な電力を把握する方法や発電機の扱い方、断水時の備えなどを示す。今後、JAを通じ道内の全酪農家に配る。
条件想定、作業手順も
大規模停電では搾乳が滞り乳房炎が発生した他、自家発電装置のない乳業工場は操業を停止。道の推計では、集出荷できなかった生乳は2万3000トンを超える。停電を経験した酪農家の間では自家発電機を整備する動きが広がっている。
マニュアルは、まず搾乳などに必要な電力を把握することが重要だと指摘。使用電力が大きいほど、発電機などへの投資額も増える。経営に合った発電規模を決めてから設備を整えるよう呼び掛ける。
停電時に想定するパターンは①通常通り②生乳を出荷できるよう搾乳と生乳冷却③搾乳だけ──の三つ。動かす機械類の消費電力を合計し、その1・2倍ほどの能力を持つ発電機を備える。バルククーラーなど一部の機械は、起動する時に電力使用が増えることも計算に入れる。
発電機の調達では、「購入」「レンタル」「他の生産者と共同利用」「JAのものを利用」などから最適なものをあらかじめ選定する。
発電機を使い始めるための作業手順も示した。「電源切替開閉器」を通じて配電盤とつなぐ方法などを図で示す。
断水への備えでは、牛の飲み水や機械の洗浄に必要な水の量の計算法を示した。過去には、設備が不十分で、給水車が来ても貯水できない例が多発したと指摘。ポリタンクなどに加え、ビニールシートとコンテナなどで簡易貯水槽ができることも紹介する。
道は、個々の酪農家だけでなく、地域全体の停電対策の検討にも活用されることを期待。「JAなどが地域の酪農家に災害対策を働き掛けるきっかけにしてほしい」(畜産振興課)とする。3月中に、道のホームページに掲載する予定だ。
2019年02月16日

豚コレラ 愛知 処分2・2万頭 渥美半島入り口一般車両も消毒へ
愛知県は、田原市の養豚団地の一部農場で豚コレラの感染が見つかったことを受け、未感染の農場を含め、団地内と関連農場合わせて計16農場の豚1万4600頭の殺処分に踏み切った。ウイルスを封じ込め外部に拡大するのを防ぐ。今回を含めた県内の殺処分頭数は約2万2000頭に上る。田原市のある渥美半島は、養豚場が集中しているため、原則24時間体制で一般道の消毒などに乗り出す。
防疫措置の対象農場は団地内の14農場と、団地内の生産者が管理する周辺2農場の計16農場。8戸が経営しており、事務所や堆肥場、死体を保管する冷蔵庫や車両を共同利用している。県は13、14と連日、団地内の2戸3農場で疑似患畜を確認していた。
3農場以外の検査結果は陰性だったが同じ作業形態、動線があるため、県は今後新たな発生が確認される可能性を懸念。団地全体を一つの農場とみなした上で、団地内の農家が管理する周辺の2農場を含め、一括して防疫対象とした。
団地内での殺処分は13日から始まっているが、防疫措置が完了するには今後、1週間から10日かかる見込みだ。
今回を含めた県内の殺処分頭数は、農水省によると、10年の口蹄(こうてい)疫の約23万頭に次ぐ規模。県全体の飼養頭数約33万頭(18年)の7%に当たる。
同省は、今回の養豚団地から半径約10キロ圏内の9カ所で、畜産関連車両の消毒地点を拡大。さらに、搬出制限区域外の一般道で一般車両も消毒する。
一般車両を想定した消毒は昨年9月に豚コレラが発生以来、初の措置となる。国道3本と県道1本の渥美半島の入り口に消毒地点を置く。同地点から半島の先端まで散水車を走らせ、消毒液を散布する。交通量が多い国道23号沿いに、消石灰帯を8カ所設ける。
畜産関係車両には、消毒地点のある道を積極的に通るよう呼び掛ける。警察や自治体、畜産関係団体の協力を得て、原則24時間体制で消毒する。
2019年02月16日
和牛精液流出防止で初検討 新制度構築を
農水省は15日、和牛の精液や受精卵の海外流出防止策などを話し合う検討会の初会合を開いた。家畜の遺伝資源の育成者権を巡り国内外の法制度がない中、国内での管理の徹底や不適切に流通した場合の厳しい取り締まりをどう担保するかが焦点。有識者からは新たな仕組みを提案する声も上がった。現場での管理実態なども聴取し、対応方針を取りまとめる。
2019年02月16日
豚コレラ巡り農相 愛知全県調査も視野 飼養衛生管理徹底へ 衆院予算委
吉川貴盛農相は15日の衆院予算委員会で、豚コレラの拡大防止に向け、感染例が相次ぎ見つかっている愛知県内全198農場を対象に、適正な衛生管理をしているか、調査を検討する考えを示した。拡大防止には、飼養衛生管理基準の順守と早期発見、迅速な殺処分という対応が「今のところはベスト」と強調し、ワクチン接種は慎重に判断するとした。
2019年02月16日

豚コレラ 封じ込めへ 1万2000頭殺処分 連日発生の田原市養豚団地
愛知県は14日、一部農場で豚コレラの発生が確認された田原市の養豚団地で、団地内で飼養する全ての豚を豚コレラの疑似患畜とし、約1万2000頭を殺処分することを決めた。同日午前までに発生が確認された団地内の3農場を除き、他の農場の検査結果は陰性だった。ただ、全農場で施設や機材、車両などを共同利用しており、各農場へのウイルス侵入の可能性を懸念。封じ込めを狙い団地内の全農場を防疫対象とした。
農水省の要請を受けた措置。同県の大村秀章知事は、自衛隊の災害派遣要請を決めた。
田原市の養豚場では13日、同県2例目となる豚コレラの発生が確認されていた。14日午前には、隣接する同市の養豚場で発生が新たに確認。いずれも同じ養豚団地内にある。
国の拡大疫学調査チームによる現地調査によると、発生農場を含む養豚団地の全農場は、事務所や堆肥場、豚の死体を保管する冷蔵庫、車両などを共同利用していることが分かった。
県は13日から、2例目の発生農場から半径3キロ圏内の移動制限区域にある33農場で検査を開始。このうち「発生リスクがより高いと判断した」(県畜産課)同養豚団地を先行検査をしていた。
団地内では3カ所を除いて検査結果は陰性だった。ただ、共同利用している施設や機材を通じて各農場にウイルスが侵入している恐れがあるため、団地内の全農場で防疫措置に踏み切った。
一方、2例目の農場から半径3~10キロ圏内の搬出制限区域には、34農場がある。移動制限、搬出制限両区域での飼養頭数は10万頭に上り、県全体の3割に当たる。
昨年秋に発生した豚コレラは岐阜県に集中していたが、今月6日に愛知県豊田市の養豚場とその系列である田原市の養豚場で発生が確認され、子豚の出荷を通じて長野、岐阜、滋賀、大阪の4府県にも広がった。
農水省は感染経路の究明を急いでいる。豚コレラは豚やイノシシの病気で、人に感染することはなく、感染した豚を食べても健康に影響はない。
2019年02月15日