食品ロス削減 もったいないを行動に

 食品ロスの削減に向けて、市民や飲食業界を巻き込んで「サルベージパーティー」「フードシェアリング」という取り組みが広がっている。余った食材の調理法を共有したり、食材を余らせた人と必要としている人を結び付けたりすることだ。食品ロスの4割は家庭から出る。地域で、家族で考えてみよう。

 サルベージパーティーとは、海難事故から人や物資を救い出す「サルベージ」という言葉から、捨てられてしまう食材を救うとの意味が込められている。

 パーティーでは余った食材を持ち寄り、シェフと調理法を考える。飲食業の企画・立案を手掛けていた平井巧さん(39)が、飲食業から出る食品ロスを「もったいない」と感じたことが発端となった。残った食材で作る賄い飯からヒントを得た。ロスを減らすこつは「難しく考え過ぎないで、楽しく新しい調理法を学び、習慣化することが大切」という。

 フードシェアリングは、食べ物を分かち合うという意味がある。売れ残りを出したくない飲食店と格安な食材を求める消費者をつなぐスマートフォンのアプリも登場し、飲食店295軒、8万2000人の消費者が登録している。

 行政も動く。富山県は「3015運動」を県民に呼び掛ける。3015は同県が誇る北アルプスの立山の標高(メートル)にちなんだ。運動は、①毎月30日と15日に冷蔵庫をチェックして食材を使い切る②宴会の開始後30分と終了前15分に食事を楽しむ時間を設定して食べ切る──という内容だ。

 国会でも昨年12月、超党派による「食品ロス及びフードバンク支援を推進する議員連盟」が発足した。今国会で議員立法による「食品ロスの削減に関する法律案」の成立を目指す。

 まだ食べられるのに捨てられる食品ロスは全国で646万トン。6割は食品産業や小売り、外食が占め、残り4割は家庭由来だ。国民1人当たりに換算すると1日に茶わん1杯分のご飯が捨てられていることになる。

 国連加盟国が2030年までの達成を目指す「持続可能な開発目標」(SDGs)では、小売り・消費レベルで「世界全体の1人当たりの食料廃棄を半減させる」という目標を掲げている。国際社会の一員として、積極的に関わる必要がある。

 全世界の科学者を対象としたジャパンプライズに選ばれた、米オハイオ州立大学特別栄誉教授のラタン・ラル氏は、各国政府は国連の場では決議に賛成するが、本国に戻ると実行しないという。「選挙を気にしない、長期視点を持つリーダーシップが欠かせない」と説く。

 大量生産、大量消費、大量廃棄の悪循環の輪から抜け出すことが大事だ。飼料自給率の向上へ廃棄が出ても焼却せず、家畜の液状飼料として活用することも欠かせない。「もったいない」の気持ちを行動に移す時である。

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